少しだけ眠って迎えた朝。
病室は時が止まったように
しーんとしていた。
目だけ動かして窓を見ると
明るい日差しが差し込んでいた。
ぼーっと眺めていると
病室のドアを開ける音がした。
ゆっくり顔を向けると
「お母さん…………」
母とその後ろに父が居た。
「○○○………!」
母は涙目で駆け寄ってくる。
「良かった………目が覚めて………」
父も涙を流していた。
両親には事件の日の夜に
連絡が入ったらしく
でも
海外ということもあって
すぐに来れるわけではなかったようだ。
事件の翌日夕方に韓国に来て
私の様子を確かめて
医者から話を聞いたり
Big Hitの関係者から話を聞いたり
そうして
私が目を覚ますのを待っていたらしい。
韓国で
どういうことがあったのかを話しながら
両親と
久しぶりに穏やかな時を過ごした。
父はホテルへ泊まる為
一旦帰ることに。
母は傍に居たいと
病室に残った。
「何回も言うけどね
お母さんもうホント
頭ついていかなかったから
ここに来るまで
あんたが目覚ますまで
生きた心地しなかったんだから~!
救急車で運ばれて入院したってことで
もうパニックなのに
電話の主はBig Hitとかって言うし。
胡散臭い詐欺かと思ったら
あんたの好きなBTSの事務所だなんて……
もうホント…………」
「だからごめんて………」
「韓国では大ニュースだったんでしょ?
ジョングクくんとのこと」
「……………」
「本当に付き合ってたの……?
こっそり教えてよ」
さっきとは打って変わって
母のニヤニヤしながらの
お喋りが始まったので
だいぶ落ち着いたんだなと
ホッとした。