「サンウさんから
予め聞いておいたことを
私からお話させていただきますね」


芦野さんはゆっくりとした口調で
そう切り出した。








「ジョングクさんは前々から
こうなった時のことを
サンウさんと話していたそうで

ジョングクさんは
落ち着いて対応できるので
その点安心してください
ということをおっしゃっております」


「え…………前々から…
話してたんですか…?」



私はグクの話を聞いて、驚いた。









「ジョングクさんは
とても聡明な方と思います。
○○○さんとお付き合いをされる上で
きちんとその辺は
考えておられたんだと思います。
あなたを守る為に…」





芦野さんの話を聞いて
私はグクの事を想った。





グクは私の心配事も
密かに気を配ってくれていたんだ……






そう思うと

彼の事を信じて
彼の指示に従うことが最善だと思った。









「今回の報道で明らかになったのは
家政婦の存在と
ジョングクさんに恋人がいるのでは
という疑惑です。

ですので、その2点に重点を置いて
騒ぎを鎮めなければいけませんよね」

「そうですね……」






「重要なのは、広げないことです」

「広げない……こと……?」




「その2つの覗き穴を
広げないようにすることが重要です。

よく報道されると
論点が違う方向に
いってしまったりしますよね?
それを避けていきましょう
ということです」





芦野さんはすごく話上手な方だった。




混乱している頭を
瞬時に整理してくれる。




私は一瞬にして
芦野さんを信頼できるようになった。










「まず家政婦の存在ですが
これは事実であり
別に問題がある事項でもないので
否定しない方が良いと思います。

BTSの皆さんは非常にご多忙である事は
周知のことです。

何もやましいことではないですよね?




問題はジョングクさんの恋人報道です。

あ!
私は○○○さんの事を
決して悪く言っておりませんよ?

むしろ私としては
○○○さんのような女性は
ジョングクさんには
プラスだと思いますので
付き合い続けて欲しいと思っております。

あ、私個人の意見ですけどね」




そう話してくれる芦野さんに
私は胸が熱くなった。






「話が反れてすみません。

ジョングクさんが会いに行った女性が
○○○さんであることも
隠さない方が良いと思います」


私は意外な意見に
思わず口を開いた。





「え………でもそれって……
認めることになりますよね…?
今のBTSにそれはまずいんじゃ………」







「そう思いますよね?
普通はそう思います。
でも人間って否定されると
掘り下げたくなる気持ちが増すんですよ。
粗探しをしようと。

だから否定を避けるんです。

ジョングクさんが会いに行った人は
家政婦の女性。
これは肯定です」

「はぁ…………」