翌朝


どこからか
僕を呼ぶ小さい声が聞こえた。







声の感じから
メンバーではないのが分かる。



女の子……?





でも眠くて…


「イロナー」という声と共に
揺すられる手を払い除けた。






少しすると今度は

「グクー起きてー」

という声が耳に入ってきた。






グク?

起きて?




その呼び方と言葉は…………ヌナ?






まさかと思って
少し目を開けて起き上がってみると




ヌナがいる……?




「……?ヌナ……………?ウェ?」






僕は夢を見てるのかと思った。




でも

「勝手に入ってごめんね…」




そう言われてやっと
現実だってことに気づいた。





眠いけど
目覚ましには心地良い声で

僕は奇跡的に起きることができた。







ダイニングに行くと
メンバーはみんな起きてて


でもヌナが起こしてくれてから
僕がわりと早く来たので驚いていた。




朝が苦手なのは変わらないから
ヒョンたちの冷やかしが
めんどくさかったけど……









ヒョンたちが準備にとりかかっている間

僕はソファでぼーーっとヌナを見ていた。




普通は部屋でぼーーっとしてるけど
ヌナのパタパタしてる姿を見てると
目が開きそうだったから……笑









しばらくすると
彼女は何故かダイニングと廊下を
行ったり来たりし始めるから


僕は面白くてしばらく見てたけど


何か困ってるんだろうなと思って
助け船を出した。








そしたらごはんだよって
どう伝えればいいのかって悩んでたらしく

僕は可愛いなと笑った。





遠慮せずに僕に聞けばいいのに…





別に日本語でも通じると思うけど


「밥먹자~(パンモクチャ~)」


そう言えば良いと教えると






「ありがとね」

とお礼を言って







「밥먹자…밥먹자…」


と唱えていたから
またクスクス笑ってしまった。







あまり時間がなかったので
朝ごはんをささっと食べると


特別な荷物はなかったから
ただ顔だけ洗って
着替えて

玄関先へ行った。






みんなが揃うと彼女が見送ってくれる。





「いってらっしゃい」


と彼女が声を掛けると



みんな慣れてないからか
ビックリしていた。





僕たちからすると
いってらっしゃいという言葉自体
慣れないし

でも
日本語の暖かみのあるそういう言葉に
日本人の細やかな気遣いを感じる。






移動車の中でもメンバーは

''いってらっしゃいっていいね''

とか

''見送ってくれる彼女っていいね''


と絶賛していた。