彼女は少し高めのコース料理を頼んだらしく
本当に沢山の料理が運ばれてきた。
お寿司とか
日本の美味しいものが
色鮮やかに美しく並べられていて
僕はかなり感動した。
上品って
こういうことを言うんだろうなと
背筋が伸びるようだった。
料理も終盤に差し掛かった頃
僕は彼女に最近の仕事の話をした。
「今は海外での仕事の話が
沢山出てるんですね~。
もう世界のBTSです。
もう…スーパースターですよ、ホントに…」
彼女はそう言って
何となくシュンとしたような気がした。
「どうかしましたか?」
僕が心配になって聞いてみると
彼女は自覚がなかったのか
「え?」
とキョトンとしていた。
「なんかヌナ…顔が暗くなったから…」
僕がそう呟くと
「あ…全然そんなことないです!」
顔の前で手をブンブン振って
明るくそう言った。
「そんなことありますよ~」
僕がジーっと彼女を見つめると
彼女は目を下に向けつつも
正直に話してくれた。
「…なんか…やっぱり…
今目の前にいるのが
本当にジョングクさんだって
信じられなくって…。
近くにいるけど遠い存在だし…。
あ!えっと……い、良い意味です!
そんな方と今こうして食事してることが
なんかもうホント…すごいなぁって思って」
彼女は自分の言っていることに
頷くかのように話をしている。
「確かに僕たちは
知られるようになってきたと思います。
でも、遠くに感じて欲しくないです。
ファンにも……ヌナにも…。
ファンが応援してくれるから
僕たちが活動できてるから…
スタンスとか気持ちとか
そういうのは全然変わってないんです」
僕はアイドルとして生きる
今の本当の僕自身の想いを
彼女に伝えたかった。
「遠いだなんて…。
今僕はヌナの目の前にいるのに…。
一緒に旅行もしてるんですよ?」
僕は話していて
何となく悲しい気持ちになってきた。
「ジョングクさんって…
本当に綺麗な心を持ってますよね。
本当に大人です。
謙虚だし
誰にでも分け隔てなく接する事ができて…」
彼女は
大きな目で僕をじっと見つめながら
そう話した。