私はよく寝返りを打つタイプだったから
テヒョンくんに拘束されて
眠りは浅かった。
なので朝は早く目が覚めて
簡単な朝食を作った。
そろそろテヒョンくんも
起きないといけない時間かなと
ベッドの所に行くと
テヒョンくんは枕を抱き締めて寝ていた。
「テテ~
そろそろ起きないとじゃない?」
「うーーーーん………」
テヒョンくんは半目でこっちを見た。
「あ……ヌナが………いる」
彼は寝ぼけているようだった。
「ヌナァ…。
ぎゅうしてくれないと起きれない……」
彼は意味の分からない事を言う。
5歳児かよ、
とふふっと笑ってしまったけど
「じゃあごはん先食べてるよ?」
と言うと
「ごはん…?」
とムクッと起き上がった。
彼は寝癖がついたまま
私の後ろをついてくる。
可愛いなぁと内心思いながら
彼の前にごはんを並べた。
2人で一緒に食べる朝食は
新鮮な感じがして
いいなぁと思っていると
「ヌナと結婚したら
毎日こういう風に過ごせるのかな~」
なんて言ってくるから
えっ と思った。
何も考えずに
そう言ってるのかもしれないけど
私は
結婚というWordに反応してしまう。
「あはは……どうかな~」
私はぎこちなく苦笑いして返した。
それに対してテヒョンくんは
そんなことお構いなしに
美味しそうにモグモグ食べていた。
ごはんを食べ終わると
テヒョンくんは仕事に行く準備をした。
玄関まで送りに行くと
テヒョンくんは靴を履いて
私に可愛く手を振った。
「ヌナと仲直りできてホント良かったぁ。
じゃあ、行ってきます!」
テヒョンくんは明るくそう言って
ドアノブに手をかけたけれど
再び振り返った。
「ん?何か忘れ物した?」
そう聞くと
「ヌナにぎゅうするの忘れた」
そう言って手を広げてきた。
新婚じゃないんだから…
と呆れて突っ立っていると
彼は無理矢理ハグをしてきた。
「よし。今日撮影だから頑張ってくるね!」
無邪気に笑う彼に
ふっと笑みがこぼれた。
「いってらっしゃい」
彼を笑顔で送り出した。
私はなんかこういうの
いいなぁ………
不覚にもそう思ったのであった。