3週間にわたるヨーロッパ横断旅行もいよいよ後半に突入して、今はベルリンのミッテ(中心街)に滞在しています。
せっかく旅行しているので、今回はベルリンの様子を僕の日記から抜萃して紹介したいと思います。
っと、その前に、今日のビックニュース!
ブラ熊による学部留学説明会の報告書が完成しました!
僕たちの日本の教育にかける思いをぶつけているので、ぜひ新しくなったwebページと一緒にご覧ください!
説明会に参加できなかった方にも分かるよう説明をつけてあります。
もちろんシェアも大歓迎です!というよりお願いします!
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さてお待ちかね、ベルリン滞在中特に印象が深かった二つの博物館、ベルリンの壁博物館とユダヤ博物館についてです。
其の一:ベルリンの壁博物館
フリードリヒ通りは、ちょうど今読んでいる森鴎外の「舞姫」にも出てくる大通り。
ひたすら南下すると、ベルリンの壁博物館が見えてくる。
かつての弾痕が残るものものしさと裏腹に、観光バスから絶え間なくカメラを持った人々が流れ出ては記念撮影をする。
既にここはアミューズメントパークになっている。
博物館では、第二次世界大戦の集結から、NATOやワルシャワ条約機構の成立、数度の核戦争の危機など冷戦の歴史に触れながら、ベルリンの壁の歴史を伝える。
なかでも興味深いのは、西ベルリンから東ベルリンへ脱出する人々が使った方法の展示で、兵士に変装したり、地下にトンネルを掘ったり、飛行機で飛んだり、海からヨットでイギリスへ渡ったり、高いビルから滑車を使ったり、あげくは防弾仕様に改造したトラックで警備線を突破したり、している様子が実際に使われた機材と一緒に展示されていた。
とはいえ、一握りの成功例の裏には無数の失敗があり、数百人が裁判にかけられたほか、処刑されたり国境で射殺されたりしたという。
一見するとアミューズメントパークのような博物館の最後にドキッとさせられることに気付いた。
この博物館の運営は、今でも国際平和を訴える団体の手で行われている。
日本が知らない戦後の戦争が、生々しく蘇る。
日本で終戦と呼ばれた1945年は、世界のほとんどの国々にとっては次の戦争の幕開けにすぎなかった。
アメリカとロシアの対立が各地でくすぶり始め、独立を得たばかりのアジアの旧植民地も次第に政局の渦に巻き込まれ、翻弄された。
数えきれない幸運の結果、安穏たる戦後を迎えた日本が知ることのなかった戦後がベルリンにはあったのだ。
其の二:ユダヤ博物館
ユダヤ博物館は、評判通りバビロン捕囚からホロコーストに至るまでのユダヤの歴史を分かりやすく説明した見所の多い博物館であった。
ディアスポラ、と呼ばれる約束の地を追われたユダヤ人たちが歴史をどのように生き抜いてきたかが、努めて中立的な視点で描かれる。
また、ユダヤの文化に触れることのない人でも分かるように、節々に用語の説明があるほか、映像を使った解説も盛んに取り入れられていて、観覧者は飽きることを知らない。
僕も気付けば3時間ばかりいた計算になる。
建築は奇抜にして歪。
同じフロアを何本もの直線の通路が貫通し、階全体が傾斜している地下や、ビル数棟をつなげた広大な展示スペースは全て回るのに丸一日はかかってしまいそうであった。
これまで見聞きしていた以上にドイツに於けるユダヤの歴史は深く、ローマ時代にさかのぼって今日まで、十字軍の迫害や黒死病流行に伴う追放、ナチスによる虐殺まで幾度もの歴史的迫害に加えて、税金や職業選択などへの差別待遇といった出来事に翻弄される姿が、逞しく生き抜いた人々の話しとともに描き出されている。
そして、この地ドイツのユダや博物館に集うドイツ人もまた、真摯に歴史に向き合いたいと少なからず思っているのではないか?
戦後の展示で、アウシュビッツの戦争犯罪人を訴追すべきか、という問いを街頭でしているインタビュー映像が流れていた。
画面の人々は、一種はにかむような戸惑いをみせ、ふと自らが政治的苦境に立たされていることに気付いくと、きわめて慎重に言葉を選んでいた。
だれもが戦争の暗澹たる過去は過去として葬ってしまいたい、そう思っているように僕には見えた。
でもそれは自然ではなかろうか?
むしろ、不健康なのは、問題は問題として散々取りざたしておきながら、日本の在日朝鮮人問題、アジアに於ける戦前の日本の振る舞い、あるいは第二次世界大戦に於ける日本の責任さえもまともに研究して公共に示した博物館を持たない日本こそが、異常というべきではないか?
誰にとっても過去は過去であり、美化したいものだ。
それで、自らいてし得難い醜態を見るとき人は目を背ける。
でも、それでいていいのではないか?
目を背ける自分を蔑む自分が人々の良心の中にある限り。
日本人にとってもこれは例外ではあるまい。
大戦も、実は原発も、自らの過ちを見て目を背ける自分に気付くこと。
これこそが過ちを二度と繰り返さないための第一歩なのではないか。
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