家を出て独立した息子たちに会うというのは
なかなか難しいこととなった。
そんな大層なと思われるだろうが
息子の親とはこんなものである。
娘さんの場合、嫁いだ後も
頼るは
実家のお母さんで
会える機会も多いだろうが
息子の場合そうはいかない
まだ独身の息子であってもそう頻繁には会えない
(うちだけかもしれないが
これが自立だと考えようと自分を言い聞かせている)
次男とは私の事情で
再び一緒に住むことになったが
これまた予想だにしなかったことで
2人の息子が独立して家を出た時
あと何回この子たちと会えるんだろう?と考えたりもした。
たった二人の兄弟だが
性格は全く違う
根底にあるものは同じと思うが
表現の仕方が全く違う
長男は正直本当にそっけない
シビアである
毒舌でバサッと切る言葉を言うが
その言葉は無駄なく隙もない
きついけど当たってる
LINEの返事も
「はい」とか
「いいえ」とか、妙に丁寧語だったり
既読スルーの時もある
時により距離を感じる
ぶっちゃけ慣れてないと
傷つく・・・
自分は母ちゃんだからいいけど
もしもこれが彼女だったら嫌われてるんかな?と不安に思うだろうな
(親として心配になるけど、まぁ彼女にはしないか?)
その長男とお盆に会えなかったので
日曜日
日帰りで彼の住む名古屋に行ってきた
新幹線を使えば名古屋は近いのに
いざ行くとなるとなかなか踏ん切りもつかなくて
案外ハードルが高い
今回東京にも行ったので名古屋を通るたび
長男のことを思い出していた。
お盆に帰らなかったから
電話してみた。
(滅多にかけないし、かけてもこない、息子とはこんなもんである)
お盆に帰らないのは目に見えていた
台風まで来ていたので、なおのことである
その際に
「○○が迷惑じゃなかったら、顔見たいし行っていい?」と聞いた。
(親と言ってもちゃんと遠慮はある)
「ええわ」(来んでええ)と言われても不思議じゃない
でも「それはええよ」(来ていい)ということだった。
すみません関東の方、大阪弁の「ええ」は難しいかもしれませんねぇ
そう話していたので
「土日どっちか空いてる?
会いに行くけどいい?顔見たいから、ご飯一緒にたべよう」と
LINEした金曜日
案の定
返事なし
これはあかんなと思ったら
土曜日のお昼ごろ、
「日曜ならあいてる」と返事があった
「なら、行くわ
昼でも夜でも都合いい時間に合わせて行くから」
と返事したら
「何食いたい?」と3つの候補を挙げてくれた。
予約してくれようとしてるようだ
結果
昼は予約できず
夜にご飯を食べる約束になった。
日帰りなので一緒に過ごすのはたった数時間
それでも自転車に
乗って迎えに来てくれて
めっちゃ自然体の
あ~、この子やなぁという感じがした。
でも、それがなんだか嬉しかった。
歩いて予約のお店に行って他愛ない近況を話して
家にいた時と何にも変わらない
長男がポツリと
「去年母さん来た時
めっちゃ老けてヤバイなと思ったけど
今年は元気そうでよかった
去年より若返ったわ」
そう言った
笑えたけど
(どこまで言っても毒舌で、老けてヤバイて…。
でもそれが彼の言葉らしいと思った)
心配してくれてたんや
心配かけたなぁと
改めて
申し訳なくてありがたくて…。
もうとっくの前から知ってるけど
親といえども名ばかりで
立場は完全に逆になり
自分が見守っているつもりが
見守られる立場になってきている
一緒にいたのは
ご飯を食べる間の
とても短い時間だったけど
心は嬉しさで満たされる
帰り道
方向音痴の私は名古屋駅が見えると
息子に言った
「さすがにもうわかるからええよ」と
「いやいや駅まで送るよ」と
改札まで見送ってくれた。
「じゃあね、身体に気をつけなさい」
「母さんもな」
と
手を振って改札に入った。
息子の後ろ姿が見たくて
ちょっとしてから
振り返ってみると
まだ見送ってくれていた
手を振る彼の姿に
こちらも手を振るが
ちょっと、
いや、かなり泣きそうになった。
嬉しい日だった。
幸せやなと思えた。
そばで支えてくれる次男と
離れていてもそっけなくても
ちゃんと気にかけてくれている長男
頼もしくなった息子二人に感謝の言葉しかない。
馬鹿な母ちゃんで何にもできないけど
もう私はなんにもいらないから
二人の息子の幸せを
心から
心から願う。