季語は「落葉」。
歳時記では三冬。
作品内の季節は、忙しげにあるいは楽しげに人々の行き交う師走、仲冬がふさわしい。
繁華街としての新宿を背景にしてこそ、中七下五に秘められた作者の孤独が生かされる。
師走の新宿に「落葉」に目をやるような人などほとんどいない。
そういう行人にまざって、しかしそういう行人にまざりきれない心を抱えながら、作者は一人歩いていたに違いない。
「落葉一枚」は、一枚しか落ちていないような街中を想像させるとともに、作者の孤独感を象徴している。
「ふみし」は「踏みし」と漢字で表記した場合と異なり、偶然踏んだといった感じ。
その音を聞いたのは当然作者一人だけ。
裏返して言えば、一人だからこそ、その微かな音を聞くことができたわけだ。
孤独な状況は落葉を踏む前も踏んだ後も変わらないが、強張った心がほんの少しだけ和らいだことを「ふみし」のひらがな表記が想像させる。
孤独であることの大きな哀しみと微かな誇り、明暗両方の余情を醸し出している作品。