青色効果に興味有り ~間もなく開幕の世界陸上~ | エゾシカスポーツ新聞社社説

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今月15日に、世界陸上ベルリン大会が開幕する。

筆者は現在、陸上競技の指導者の端くれなので、これは見逃すわけにはいかない。

その会場、ベルリンの陸上競技場の全天候型ウレタン舗装のトラックの色が青色だというニュースを聞いた。

青色のウレタン舗装と聞くと、よく都会の学校の校庭で使用されていたりテニスコートで見られるような、モスグリーンがかった青色を想像される方もいると思うが、このベルリンの陸上競技場のトラックの青色は、まさに海か空のような真っ青といっていい明るい青色である。

エゾシカスポーツ新聞社社説-青色トラック


「全天候型ウレタン舗装」のトラックは、一般には「アンツーカー」と呼ばれることが多いようだが、陸上界では「タータン」と言われることが多いので、以下タータンと記す。


筆者は昔、陸上競技もかじったことがあるが、筆者が現役だった四半世紀ほど前は、中高生の陸上の大会でも、走路が全天候型にはなっていない、すなわち砂や土(クレー)のトラックの競技場で行われることも珍しいことではなかった。

だが、現在は、小学生の陸上の大会といえども、タータンのトラックの陸上競技場が使用されるのが常だ。

現在も、トラックがタータンにはなっていない陸上競技場も一部には存在するが、そこで練習をするにはいいとしても、そういう競技場で実際に競技会が行われることはほとんどない。

なぜなら、記録が出にくいからだ。

だが、同じタータンでも、色によって記録に違いが出てくる可能性があるということを聞くと、これは大変興味深いことだ。


エゾシカスポーツ新聞社社説-通常のレンガ色のタータン
 ご存知のとおり、通常、陸上競技場のトラックといえば、このような色です。


東京・国立競技場や、大阪・長居陸上競技場など、日本の代表的な陸上競技場がそうであるように、タータンといえば、ほとんどがレンガ色をしている。

理由は調べたことはないが、走路ということで元々は土だったことをイメージして、おそらくは自然に土に似せた色になったものと思われる。

最近までは、このレンガ色に誰も疑問を持つ者はいなかった。

ところが、90年代に入って青色のタータンが出現し始め、現在は日本にある468ヶ所の公認陸上競技場のうち、約30ヶ所が青色になっているという。

全体の6%程度なので、まだまだ一般的とはいえないが、青色のメリットがはっきりとしてくれば、今後主流になっていくものと思われる。



スポーツと色は、決して無関係なものではない。

そういえば、以前テレビで、野球のキャッチャーミットの色と投手の投げやすさとの関係を追求する興味深い実験を見たことがある。

野球のグラブといえば、ご存知だと思うが、昔は茶系統の色が主流だった。

ところが、野球で最も集中力が必要である投手の投球の際、何色のキャッチャーミットをめがけて投げるのが、最も投手が投げやすくコントロールがつくのかという実験を行ったところ、実験では茶色ではなく青色だという結果が出た。

もっというなら、地が青色のミットで、投手に向かって構えたときに見える面のふちが黄色で囲われている時、最も投手がコントロールよく投げやすい心理となるという結果だった。

このことが広く周知されるようになったからかどうかはわからないが、最近では、青色のキャッチャーミットを使用するプロ野球の捕手が多くなったように思う。

ヤクルトの古田敦也捕手が現役時代だった時も、青色のキャッチャーミットを用いていたと記憶している。

このように、多くの人間の性質として、青は落ち着く色であり、集中力が増すのだということが実験で証明されている。

また、他のスポーツについても、青色に移行した部分を見ることができる。

たとえば、卓球台だ。

昔は、多くの卓球台のコートの面は、学校の黒板の色のような深く濃い緑色だった。

だが、最近の卓球台のコートは、青色に塗られたものが主流である。

これは、どういう経緯でそうなったのかはわからないが、常に選手の目に入ってくる部分が青色である方が集中力が増すということで次第に移行したのかもしれないとの想像も成り立つ。



陸上に話を戻して、青色のタータンのメリットを考えてみよう。

スタートの際に、フライングが減るだろうと考えられる。

また、それも含めて選手の集中力が増す結果、好記録が望めるとも考えられる。

筆者は、トラックの部分が青色タータンという競技場には実際に行ったことがないが、トラックではなく周囲のアップゾーンが青色に塗装された競技場には行ったことがある。

レンガ色を見慣れているせいか、初めて目にしたときは「何これ?」と思ったが、次第に爽やかに感じられるようになってきたことが印象として残っている。



青色は、海や空の色。

太古の昔から、人間はこれらの色に一番多く接してきたといっていい。

青色が心理的に落ち着きをもたらすというのは、もしかすると、そういう人間の歴史や進化に関係しているのかもしれない。

先般の世界水泳では、個人の持ち物である水着の違いによって記録にバラつきが出るという印象を抱きながら見ざるを得ず、何かスッキリしないものを感じた。

だが、競技場の青色トラックは、出場選手全員が同じ条件だ。

間もなく始まる世界陸上、青色効果に期待だ。