確かに、素人には発声はわからないし、歌の評価も好き嫌いといえるものかもしれません。しかし、声は日常で使われ、誰であれ、それなりの効果を生かしうる社会性をもちあわせています。そうである以上、声のよしあしとか歌やせりふのよしあしは、日常で「誰もがわかる」といえばわかるのです。専門家のようには説明ができないだけでしょう。(このあたりは、自分の声よりも、まわりの人の声でみるとわかりやすいと思います。)
たとえば、誰でも一つの声だけ、長く伸ばして10回出すと、そのうちどれがよく、どれが悪いかぐらいの区別はつくでしょう。次にその中のよい声だけ10回出せるようにし、また、そのなかのよい声だけを判断して集めてみてください。
素振り10回で素人でもよし悪しがわかるものです。いえ、声に素人などいません。体の実感から磨いていくのを忘れたら、基礎トレーニングではありません。
こうしたことは、歌の自主トレで誰でもフレーズ単位で応用していることです。勘がよく、喉がそれに合っていた人は、歌手や役者に、それだけで誰にも習わずプロになれているわけです。
ヴォイトレに特別な方法や秘訣があるのではなく、普通のことを徹底してていねいに詰めていけばよいということです。それに個人差があり、限界があるので、そこを助けるためにヴォイトレのメニュがあるということです。