前回お伝えしたように、
乳幼児にとって
【母子一体感】を
存分に体験することは、
とても重要なことです。
その【母子カプセル】の中で、
乳幼児は
「この世界は安全で
信頼できるところなんだ」と
いう感覚を獲得していきます。
その「安心感」や「信頼感」は
その後、人生を
何十年も生きていく上で、
非常に重要な精神的基盤
となるものです
しかし子どもは
だんだん成長していくにつれ、
兄弟姉妹と出会ったり、
友だちと出会い、
母子カプセルを抜けて
「親とは別の世界」を
作っていきます。
そうやって少しずつ
親との間に「境界線」を引き、
親と「距離を取る」
ようになっていきます。
「自立」へと
歩み始めるのです
例えば子どもは
思春期になると
自分の部屋を欲しがったりします。
親から離れ、
自分だけの居場所を
作りたくなるのです。
自分の部屋に
親が勝手に入って掃除などすると、
「勝手に人の部屋に入るな!」
「勝手に私の持ち物に触らないで!」
などと言ったりしますが、
これはとても健康的なことです。
境界線を破って
勝手に自分の領域に侵入される
ことに対して
不快感を覚え、
反発や怒りを表せることは
とても健全なことです
子どもはそうやって
心理的にも
親との間に境界線を引き、
健康的に自我を確立して
いっているのです。
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しかし、過保護・過干渉な親は
勝手に子どもの部屋に入って
勝手に掃除したり、
勝手に子どもの
机の引き出しやバッグを開け、
日記やノートを
見たりします。
それに対して子どもが抵抗すると
「親に見せられないのか!」
「親に秘密を持つなんて悪いことだぞ!」
「親に隠しておくほど悪いことをしているのか!」
などと自分を正当化して
子どもの秘密を暴こうとします。
完全に領域侵犯です
健康な子どもは
小学校低学年くらいから
秘密を持つようになります。
それまでは親に
何でも話していたけれど、
親に話すことと
話さないことを
自分で決め区別するようになり、
成長するに従って
親に話さないことが
次第に増えていくものです。
兄弟姉妹や友だちには
話しても、
親には話さないことが
多くなってくるのです。
このように
子どもが親に対して
秘密を持つようになることは、
子どもが
心理的に自立していく上で
非常に重要なプロセスなのです。
親に秘密を作れるのは、
心が健全に発達している証。
「自分の境界を確立」していくために
重要不可欠なことなのです
それなのに
いつまでも子どもに
「親に嘘をついてはいけません」
「親に隠し事など、いけません」
などといい続けるのは、
子どもの自立を妨げることに
なるのです
これは実は
親側に「自立の問題」があるから
起きることです
乳幼児期、児童期と
全面的に依存していた親から
分離独立していくために、
自我を確立して
自分の足で人生を
歩いていけるようになるために、
子どもは
一旦、親を否定し、
親への依存状態から抜け出し、
親と「適度な距離」を取る
必要があるのです。
その表れとして、
子どもが親に
秘密を持つこと。
反抗すること。
どちらも子どもが
心理的に自立していく上で
とても重要な
通過儀礼なのです。
だからこそ、
親への秘密を持つこともせず、
何から何まで親に打ち明けたり、
自分の境界内に
親に侵入されても
反抗も反発もしない子どもは、
やがて、その後の人生で
自分の生きづらさに
苦しむようになり、
自立をめぐって
様々な問題行動が
表れてきたりするのです。
子どもの反抗期は
親からしてみると
とても大変な時期ではありますが、
子どもが心理的に
大人へと成長していくプロセスで、
非常に重要な意味を持つ時期
でもあります
今回は
親子が密着しているのは、
子どもの健全な自立を阻む
危ういことなのだ、
ということを改めて
お伝えさせていただきました。
ご参考にしていただけましたら
うれしいです☺︎
最後まで読んでくださって
ありがとうございました。
あなたの毎日が
やさしく健やかでありますように