優れたリーダーシップをもたらすEQのうち、最も重要なのが自己認識力です。

自己認識は一般に、自分の感情やその発露を自覚し、感情が自分の行動に与える影響を把握することと理解されているようです。

しかし、自己認識にはもう一つ、だれもが持ち合わせている、判断の歪みをもたらす無意識下の偏見に気づき、これをコントロールする能力も含まれています。

たとえば、こんなケースがあります。

最近、ある会社のバイス・プレジデントを務めるA氏が、新しく雇った女性の営業部長のことで相談を持ちかけてきました。

「新しい営業部長は、自分の意見をはっきり言わないし、決断力にも自信にも乏しいように見えます。とてもリーダーの器じゃない」と言うのです。

そこで私は、当の営業部長に会ってみることにしました。

何と彼女は、上司であるA氏が「自分の出世の邪魔をしている」と考えていたのです。

そもそもA氏がその会社に入ったのは、彼女が入社するわずか5カ月前でした。

A氏はCEOに気に入られたいあまり、知らず知らずのうちに行きすぎた管理に向かっていたのです。

A氏はそのため、営業部長の独立性と自信を損なっていました。つまり、A氏の自己認識力不足が、部下の業績を邪魔していたのです。
私自身の経験からも、EQには先天的な部分と後天的な部分の両方が関係しています。

どちらかといえば、後者の影響が大であると見なされています。

実際、環境に大きく左右されるというのが、EQとIQの最大の相違点です。

IQのレベルは10歳前後でほぼ決まるのですが、かたやEQのレベルは年齢を重ねるごとに向上していきます。

ですから、自己認識力などのEQの能力は、学習によって十分身につけることが可能です。

自己認識力をテストする簡単な方法が1つあります。

信用できる友人や同僚に、あなた自身の長所と短所を書き出してもらい、それを自分が思っている長所と短所のリストと比べてみるのです。

あまり愉快なことではないかもしれませんが、自分が抱いている自己イメージと友人や同僚が抱いているイメージとの差が大きければ大きいほど、真剣な努力が必要になるでしょう。


中島徳至

※参考:日本のネット企業