第10節

4月29日14:03@大銀ドーム 天候:晴
大分 1ー3 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017042906/
【京都出場メンバー(4-4-2)】
GK菅野。DF右から石櫃、高橋、下畠、本多。MF右から小屋松(91分:→伊東)、吉野、ハ・ソンミン、岩崎(95分:→仙頭)。FWケヴィン・オリス(77分:→大黒)、闘莉王。
【得点】
大分:小手川(77分)

京都:小屋松(15分)、闘莉王(54分:←岩崎)、岩崎(70分:←吉野)
【警告】

大分:伊佐(85分)

京都:ハ・ソンミン(17分)、吉野(37分)


第11節

5月3日15:03@豊田スタジアム 天候:曇
名古屋 1ー1 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017050315/
【京都出場メンバー(4-4-2)】
GK菅野。DF右から石櫃、高橋、下畠、本多。MF右から小屋松、吉野、ハ・ソンミン(27分:→伊東)、岩崎。FWケヴィン・オリス(85分:→イ・ヨンジェ)、闘莉王。
【得点】
名古屋:シモビッチ(91分)

京都:ケヴィン・オリス(40分:←伊東)
【警告】

名古屋:杉森(50分)、田口(54分)

京都:なし

第12節

5月7日16:03@西京極 天候:晴
京都 1ー0 讃岐
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017050712/
【京都出場メンバー(4-4-2)】
GK菅野。DF右から石櫃(94分:→伊東)、高橋、下畠、本多。MF右から小屋松(72分:→湯澤)、望月(84分:→麻田)、吉野、岩崎。FWケヴィン・オリス、闘莉王。
【得点】
京都:闘莉王(36分)

讃岐:なし
【警告】

京都:小屋松(31分)、望月(74分)

讃岐:なし

【退場】

京都:ケヴィン・オリス(77分)



GWの3連戦を終えました。
この時期の連戦も少し前はほんとにタイトで中2日が当たり前でしたが、最近はちょっと余裕が作れるようになってますね。中3日での3連戦でしたが、初戦は大分での試合だったとはいえ、その後は近隣アウェーの名古屋、そしてホームゲームという流れでした。
戦績は2勝1分。ここ5試合負けなしで徐々に順位も上がってきたように、結果としては上々のものと言えるでしょう。
しかしまだまだ不安定なところが多いのが実情。ということで今回はそのあたりを書いていきます。


GW3連戦の流れ

4月後半、第8節の愛媛戦から4−4−2のシステムを採用し、高さ・強さに優れる闘莉王とケヴィン・オリスのツートップへのロングボールを主体にしたサッカーになっています。
この3連戦もその流れを踏襲。
まず第10節・大分戦はハイクロスを効果的に使って早々に小屋松が先制点を挙げました。後方から丁寧なビルドアップで試合を作る大分に長くボールを保持され、押し込まれる時間が長かったですね。
しかし、やはりハイクロスから闘莉王が追加点を挙げ、岩崎もプロ初ゴールをゲット。
セットプレーで1点を返されはしましたが、そのまま勝利を収めました。

続く名古屋戦も大分戦と同様にボールを長く握られる展開。
名古屋は風間監督流のサッカーとしてはまだ粗さがあって、ミスも多い印象でしたが、それでもボールをチーム全体で運ぶことを徹底しているチーム。それに対してブロックを作って凌ぐ時間が長くなりましたが、前半終了間際にFKからケヴィン・オリスの強烈なシュートで先制。
後半も耐える時間が続きましたが、アディショナルタイムに相手のパワープレーからシモビッチに押し込まれ、追い付かれてしまいました。

GW最後の試合となったのはホームでの讃岐戦。
強い風が吹く中で、風下の前半はなかなか前に運べませんでしたが、セットプレーから闘莉王が押し込んで先制点。
風上に立った後半はボールを持つ時間が長くなりましたが、やはり攻撃の中心はハイクロス。
相手の讃岐もエブソンを上げてパワープレー。
京都はケヴィン・オリスが主審への暴言で退場処分を受け、数的不利にもなりました。
これに対して京都は湯澤と麻田をDFラインに入れ、下畠をボランチに移す布陣で耐え抜き、完封勝利を果たしました。


徹底しきっているわけではないパワーサッカーに感じる歯痒さ

あくまでチームの攻撃の主体は、ツインタワーへのハイクロスを利用したパワーサッカーです。
しかし、ツインタワーを採用してすぐの愛媛戦や松本戦ほど放り込んでいる印象はこの3連戦ではありませんでした。

もちろん外的な要因もありました。
大分戦と名古屋戦では相手に長くボールを保持されたために攻撃の回数自体が削られてしまいましたし、讃岐戦では強風の影響でボールが流れてしまいやすかった上に、前半は風下に立っていたというところですね。

しかし、ツートップが相手のエリア近くでポジションを取っているにも関わらずクロスを上げない場面も多かったです。
その代わり、サイドハーフもしくはサイドバックが高い位置でボールを持った時に、ボランチが絡んでいってサイドを崩していこうとしたり、中央でも低いボールを前線に当てて行ったりと手数を掛けた攻撃へのトライがありました。

元々チームとしては後方から丁寧に繋いで枚数を前線に掛けていきたいという狙いを持っていたので、徐々にそちらへシフトしていきたいというところでしょうか。
現状のパワーサッカーはツートップおよびサイドハーフの個人能力に負う部分が大きいので、このまま続けていくにはリスクがあります。
前回の記事 でも触れた通り、今後このサッカーからどう発展させていけるかが重要です。
その一環として、変化を付ける狙いがあるのだろうと思います。

ただ、現状ではサイドまで繋いだとしてもそこからの形はありません。
基本的にはツートップは放り込みに備えて中央でポジションを取りますし、そこで準備していてもクロスが上がってこないとなった時に動き直す必要。ツートップは2人ともスピードに乏しいので、そこからサイドでの崩しに参加するのも手間取る様子があります。
また、サイドに流れたり中盤に降りたりして崩しに参加しようとしても、スムーズさには欠けますね。闘莉王もケヴィンも体が強く、足元でもキープできるので、そこを起点とすることもできそうに思えますが・・・。
最終的にはやはりハイクロスをゴール前に送り込むことが多くなってしまうわけですが、そこに至るまでに動き直しもあったりするのでタイミングが合いにくくなることも。また、途中で奪われると危険なカウンターを受けることにもなるので、なんとも歯痒い状況になってしまいました。


発展させるためにはトライすることも重要

パワーサッカーから発展させていくためにチームが動こうとしているのは確かだと思いますが、現状では上述したように中途半端なものとなっています。
もちろん連戦期間だったので、コンディション調整をメインにせざるを得ないところがあり、この3連戦の中でどうにかするというのは厳しかったと思います。

とは言え、現状のチーム状況に合わせた守備の整理や、今後に向けたトライはもっとあっても良かったように思います。

まず守備の話をすると、攻撃への移行の話です。
上でも書いた通りツートップを使った崩しはハイクロスへの競り合いがメイン。
スピードのないツートップでもあるので、なかなかカウンターで一気に相手ゴール前に迫ることは難しいですね。
しかし守備の仕方を見ると、高い位置からプレスを掛けていき、前線で奪い取ろうという姿勢が見られます。
大分と名古屋がポゼッションを強く志向するチームである一方で、後方の繋ぎがまだ不安定だったので、前線から行っても奪える手応えがあったからという点も大きかったでしょう。
相手のリズムを崩すという点では意味はありますが、有効に攻撃に転じられた回数は少なめ。むしろサイドハーフの運動量を増やしてしまうだけになっていた印象もあります。このあたりはツートップがそれほどプレスに行かないというのともマッチしていないですしね。

結局のところ、チームとして攻守に渡り岩崎と小屋松の能力に頼る部分が大きかったです。
ケヴィンと闘莉王を含めると前線4枚のセットを維持しないと質を担保できなさそうなサッカーでした。

であるならばそれを最大限活かす方策を考えるべきですし、そこからの発展を狙うなら交代策の使い方も違っても良かったかなと思います。
早々に3点差をつけた大分戦でさえほぼ動きがなかったですし。
名古屋戦の失点に関しては、相手もパワープレーに出てくる中で、向こうにボールがこぼれてしまった不運もありました。
とは言え、今季終盤に失点を喫することが多いのは、個人能力で凌ぐ守備をしている中で終盤に運動量が落ちることで押し込まれていくことが根底にあります。なので、選手の入れ替えで最低限でも運動量を担保することくらいはやるべきだったかと思います。
連戦だったわけですし、繰り返しですが前線4人の負担が大きかったのですからなおさら。

ただし、ようやくながら讃岐戦はそういった一面が見られたことは良かったと思います。
ケヴィンの退場で割り切れたところもあったと思いますが、相手のパワープレーに対して競り合いに強い湯澤を右SBに入れ、さらにルーキーながら長身の麻田を抜擢するとともに下畠をボランチに移す策も奏功しました。
先々を見据えるならこういったトライは必要ですし、むしろもっと早くやっておきたかったところもありますが、経験の少ない指揮官にとってはこの成功経験は大きいでしょうし、終盤のプランにも加わっていくでしょう。

まだまだパワーサッカーからの発展は目処が立っていない状況ですが、讃岐戦を最後に岩崎がU-20代表遠征のために離脱しますし、次節はケヴィンも出場停止です。

さらに次節からまた連戦ですし、この1週間の使い方は非常に重要ですね。


このGW3連戦、結果としては上々ですが、パワーサッカーからの発展という点では中途半端なものでした。

メンバー変更を強いられる中で、元々目指していた地上戦の要素も取り入れていくことになると思いますが、続いての相手はパスサッカーを得意とする山口。

むしろパワープレーが有効に効きそうな相手ですので、若干間が悪い気もしますけど、京都としては進めているサッカーに変化を付けるときが必ず来るので、連戦の頭に来たことを喜ぶべきなのかもしれません。

ここ5試合で多くの勝ち点を稼いだことにより、残留争いから少し離れることもできたわけですからね。

まだ油断はもちろんできませんが。



―2017シーズン通算記録―
4勝3分5敗 勝ち点15
15得点 16失点
今節終了時点での順位:15位

【ゴール】

7点:闘莉王

2点:仙頭、小屋松、ケヴィン・オリス

1点:望月、岩崎

【アシスト】

2アシスト:ケヴィン・オリス、岩崎

1アシスト:エスクデロ、ヨンジェ、大野、石櫃、湯澤、ハ・ソンミン、吉野、伊東

【累積警告】

2枚:仙頭、染谷、闘莉王、吉野

1枚:エスクデロ、高橋、ヨンジェ、大野、湯澤、ケヴィン・オリス、石櫃、菅野、ハ・ソンミン、小屋松、望月