時間を巻き戻し、やり直す、そんなことが本当に可能ならば、俺の人生はどんなに楽なものになるだろうか。
そんな夢を抱いていた。実際に自分の身に起こるまでは。
終業のチャイムが鳴る。
「はい、ではここまで。」
教師が言い終わる前に生徒達はガタガタと音を立てながら行動を始め、瞬く間に教室は喧騒に包まれた。
「たーくみ!」
教室の後ろの扉から元気に俺を呼ぶのは幼馴染みの穂(みのり)。
「あー、はいはい」
必要以上に面倒臭そうな態度で応答する。
何その態度、と言葉では怒りながらも笑顔を見せる穂に安心感を覚える。
「まーた、痴話喧嘩してる」
後ろの席の源(はじめ)がにやにやとこちらを見ながらからかうように呟く。
「うっせ」
源の言葉は流し、また明日な、と挨拶をして穂の元へ向かう。
「 」
相変わらず騒がしい教室のどこからかか細い声が聞こえた気がした。
特に気にも止めず廊下へ出た。
んじゃ、帰るか、そう言う俺の声を遮り悲鳴が響き渡る。
たまに黄色い悲鳴を上げる女子はいるが、今のはそういう類のものではない。
声は教室の中から聞こえた。
慌てて教室に入ろうとすると、教室にいた全ての人間が一方向を見ていた。
風で揺らぐカーテン、開いた窓、誰もいないベランダ。
何故だか悲鳴の理由はすぐに分かった。
誰かが飛び降りたのだ。
-続く-