私は元々江田憲司さんは好きではないし、さらに横浜市長選で嫌いになったので偏見を持っているかもしれませんが、立憲民主党の経済政策は視点がずれているように思います。

これでは立民の後ろ盾の連合の支持は得られるかもしれませんが、大企業労働者よりもはるかに労働条件が悪い中小企業や、労組などに入れない非正規労働者などに目が向いていないのではないでしょうか。

10月5日　毎日新聞

「1億総中流社会」の復活！消費税を5％に富裕層・超大企業の優遇税制を是正 | | 江田憲司 | 毎日新聞「政治プレミア」国民の懐を温かく　この20年来、日本経済が混迷から抜け出せない最大の理由は、実質賃金が下がり続け、その間、消費増税も何度かあり、国民の可処分所得が減少してきた結果、国内総生産（GDP）の5、6割を占める消費が伸びないからだ。

mainichi.jp

以下引用
国民の懐を温かく

　この20年来、日本経済が混迷から抜け出せない最大の理由は、実質賃金が下がり続け、その間、消費増税も何度かあり、国民の可処分所得が減少してきた結果、国内総生産（GDP）の5、6割を占める消費が伸びないからだ。

　アベノミクスは結局、お金持ちをさらに大金持ちにし、強い者をさらに強くしただけ。日本の購買力を支えていた中間層が底抜けし、貧困層が増えて、格差が拡大したのが実態だ。

　そこで、以前の「1億総中流社会」の復活を目指すため、国民の可処分所得を増やす、つまり「国民の懐」を温かくする政策が必要となる。その二つの柱が、「減税・給付金」と「ベーシックサービスの充実」だ。

年収1000万円以下の所得税ゼロと給付金

　まず、直接的な手法としては「減税・給付金」がある。今はコロナ禍の影響で家計が苦しい世帯もあり、即効性のある支援が必要だ。従って、1年間に限って年収1000万円以下の人の所得税を免除する。非課税の人には応分の給付金を交付する。

　そうすると、例えば、年収400万～500万円の人には、10万円の給付金と同じ効果が及ぶ。

　しかも、この所得層の大部分を占めるサラリーマンは源泉徴収なので、昨年実施した「一律10万円給付」とは異なり、法改正だけで煩雑な手続きも要らず、手間ひまもかからない。こうした措置でコロナ禍を乗り越えていく。

生きていく上で不可欠な「ベーシックサービス」の充実

　さらに、例えば、医療や介護、福祉、それから子育てや教育といったベーシックサービスの分野に予算を重点配分していく。もちろん、これらの政策には独自の政策目的があるが、経済的に見れば、それらの分野に税金を投入することによって、間接的に可処分所得を増やすことにもなる。

時限的な5％の消費減税

　そして、コロナ禍が収束し、通常モードになったら、時限的に消費税を5％に減税する。今、コロナ禍で景気が良くないのは、消費税10％が主たる要因ではない。

　現状は「跛行（はこう）性」があるというか、「巣籠もり需要」が増えている一方で、飲食業や観光業は壊滅的な打撃を受けている。打撃を受けた人々に消費税を減税してもさほどの効果はない。

　また、将来、消費税が5％に下がるとわかると、逆に買い控えも起こる。そこで、当面は「所得税ゼロと給付金」で乗り切って、収まったら、消費減税で消費を喚起する。

財源は富裕層や超大企業の優遇税制の是正で捻出

　問題はその財源だ。我々はそれを、特に低所得者層の懐を痛める逆進性のある消費増税に求めるのではなく、富裕層や超大企業への優遇税…

以下省略

年収1000万は納税者の8割強の中に入らない

図出典：II 各種世帯の所得等の状況

上図は令和元年調査の各種世帯の所得の状況ですが、所得中央値は437万円、つまり国民の半分は所得437万円以下です。

また公務員給与の全自治体における単純な平均年収は591万円（前年は600万円）にしかすぎません。

さら国税庁が発表した「令和元年民間給与実態統計調査」によれば、民間事業所に勤める人の平均年間給与は約436万円（前年比約5万円減）ですし、女性はもっと低くなります。

‟｢公務員の年収｣が高い自治体ランキングTOP500”よりより引用

なお、納税者の6割は最低税率の5％、つまり課税所得195万円以下です。

出典：所得税の限界税率ブラケット別納税者（又は申告書）数割合の国際比較

そして納税者の8割強が所得税率5％、10％ですが、年収1000万円の人は「納税者の8割強」の中には入りません。

非課税の人への給付金は、あまりにも対象者がすくない

非課税の人とはどういう人でしょうか？

所得税については所得48万円(給与収入のみで103万円)以下（48万円超の金額の場合でも、扶養控除や社会保険料控除等の適用によって、非課税となる場合もあります。）

分かりやすいように給与収入でいえば、103万円以下の人が対象で、恩恵を受ける層は少ないでしょう。

単身者の生活保護費でさえ1ヶ月あたり10万円〜13万円です。

国内消費について・・・・消費性向が高いのは低所得層

個人家計の収入から、税金などの非消費資質を差し引いた残りを可処分所得といい、この可処分所得のうち消費資質にあてられる額が占める比率を消費性向といいます。

年齢や貯蓄額などによって影響を受けるので、一概には言えませんが、一般的には可処分所得が少ないほど、簡単に言ってしまえば収入が少ない人ほど、収入に対する消費支出の比率が大きくなります。

立憲民主党は民間消費支出が落ちているのは、中間層（年収1000万円まで？）が貧しくなったからだと言いますが、私はそうではなく、中間層よりもっと貧しい、消費性向が最も高く、所得分布が最も多い中低所得層がより貧しくなったからだと思います。

目を向けるべきは民間事業所に勤める人の平均年間給与の約436万円以下の人たち。

さらに言えば、所得中央値の１／２の貧困線以下の相対的貧困層だと思います。

どうも我々庶民とは目を向けている対象が違うようですが、中間層という名の労働貴族に目を向けていては、国民の支持は得られないと思います。

さらに消費税5％に減税というが財源はどうするのか？

毎度おなじみの富裕層や超大企業への優遇税制是正というが、具体的にどうするのが知らないが、現状の税収額を見れば絶対に不可能です。

国債について

ならば公債発行しかありませんが、財政法第4条では「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」とし、国債の発行を原則として禁止しています。

しかし一方、財政法第４条には「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」というただし書きがあり、これにもとづいて１９６６年（昭和４１年）以降、建設国債の発行が始まり、さらに、７５年度からは、財政不足をおぎなうために、特例国債（赤字国債）を発行するにいたりました。

なお公債には (1) 建設国債、 (2) 特例国債、 (3) 復興債がありますが、赤字国債を発行するのも楽ではなさそうです。

建設国債を発行しても、なお歳入が不足すると見込まれる場合には、政府は公共事業費以外の歳出に充てる資金を調達することを目的として、特別の法律（令和３年度予算を例に取れば、「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」）によって国債を発行することがあります。通常、これらの国債は「特例国債」と呼ばれますが、その性質から「赤字国債」と呼ばれることもあります。
特例国債は、建設国債と同様に国会の議決を経た金額の範囲内で発行できることとされ、一般会計予算総則にその発行限度額が計上されています。
また、その参考として、国会での審議の際には建設国債と同様に、償還計画表を提出することになっています。

なお「国の借金の貸し手は国民」とよく言いますが、銀行などの金融機関や損保・生保、その他の企業を国民と呼ぶならば、それも間違いではないでしょう。

しかし私は金融機関、損保・生保、その他の企業とは、国民は違うと思っています。

いずれも外資が大分入っていますが、国民と言える「家計」に分類されるのは、1％程度しかありません。

立憲民主党の経済政策は支持できない。