私は経済学や経済論と実体経済は全く別物と考える捻くれ者ですが、イエスの処刑(キリストは救世主という意味で名前ではありません。ついでにいうとイスラム教のアラーも神という意味で神の名前ではありません。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は同じ神ですが、神の名前は呼びません)から端を発し、中世ヨーロッパのキリスト教社会で虐げられたユダヤ人によってゴールドスミスが生まれ、そして“英仏戦争(ナポレオン戦争)(ワーテルローの戦い)”の“ネイサンの逆売り”から始まる“ロスチャイルドの金融支配”。
さらにアメリカの通貨発行権をめぐる政府とユダヤの戦い(FRBは100%民間銀行です。そして通貨発行権をユダヤの銀行家から守ろうとした大統領は不慮の死を遂げたといわれます)、そしてFRB、ウォールストリートというロスチャイルド系陰謀論が大好きです。
※もちろん英国銀行も100%民間銀行です。
※そしてその英国銀行を“ポンド危機”で屈服させたのが有名なジョージ・ソロスです。
そんな陰謀論好き、世界経済の裏を知りたい方にお勧めなのが、ウォール街の詐欺的金融システムにメスを入れた、映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転 」です。
マイケル・ルイスのベストセラー『世紀の空売り 世界経済に破綻に賭けた男たち』の映画化ですが、リーマンショックの実話を基に描いており、ショートは金融用語で空売りをさすようです。
上の映画タイトルにリンクさせたNewsweekの記事では‟CDO(後述)”から始まっていますが、実際は‟MBS(後述)”から始まり、CDOへと進みます。
私はこれまでに何度かこのマネーショートを取り上げてきましたが、実際に映画を観ていませんでしたので、ウォール街に闘いを挑んだアウトローたちのサクセスストーリーかと思っていました。
しかし昨日Amazonのプライムビデオでこれを見つけ、観たところ、内容は考えていたよりもシリアスで、銀行や格付け会社の詐欺的な、狂った金融システムを糾弾しているのです。
また破たんした金融システムを救済するのは税金ですが、最も被害を受けるのは貧しい庶民や移民であり、経済が破綻すると攻撃は低所得層や移民に向くという事も描いています。
1900年代後半からアメリカは非合法移民も含めて大量の移民を受け入れ、移民の安い労働力によって経済は発展してきました。
そして住宅バブルが始まり、移民など低所得層はサブプライムローンで家を買うようになります。
低所得層でもサブプライムローンで資金を借りられ、買い換えれば購入価格の以上の価格で売れるため住宅バブルはさらに過熱しました。
リーマンショックの発端となったサブプライムローン(プライム層は優良客のこと、つまりサブプライムはそれより下の層)は低所得層向けの家を抵当とした高金利の住宅ローンで、始めは低金利だが、数年後に金利が大幅に上がる仕組です。
土地や住宅の値段がどんどん上がっていくので、もしローン組んでる人が返済できなくなっても家を売却して返済すれば良く、売れば買った時より価格が上がっているおかげで儲かる事もあって、買っては売りを繰り返す人もいてサブプライム・ローンは人気がありました。
銀行はこのローンを証券会社や投資銀行に売り、証券会社や投資銀行は他の債券と組み合わせて‟MBS( Mortgage Backed Securities:.住宅用ローン担保証券)”として売ります。
MBS(モーゲージ債)を利用すれば “どんな人に貸し付けても、債券を売却すれば儲かる”ため貸し倒れのリスクがなくなります。そこで、多くの業者が「サブプライムローン」を組むようになり、MBSはアメリカの金融界を席巻します。
しかし不動産バブルが陰り始め、サブプライムローンは焦げ付き始めます。
このへんから主人公たちはMBSの破綻を予測しはじめます。
そこで主人公たちはMBSの空売り(手元に持っていない債権を、信用取引などを利用して「借りて売る」こと。債権がこれから下がることが予想されるときに空売りをして、その後、下落したところで買い戻して利益を得る)を図り、 CDS"Credit default swap" ( 債権などの信用リスクに対して、保険の役割を果たすデリバティブ契約のこと。買い手は債権者や投資家で、プレミアム(保証料)を支払う代わりに、契約の対象となる債権(融資・債券等)が契約期間中に債務不履行(デフォルト)になった場合、それによって生じる損失(元本・利息等)を保証してもらえる。債権の価格が下がるとCDSの価格は上がる、シーソーの関係になる)を購入します。
CDS はギリシア危機では賭けの様な投資の対象となりました。
NHKスペシャルの7分過ぎからをご覧下さい。
(時間が無い方は9分30秒からをどうぞ)
やがてサブプライムローンは焦げ付き始めましたが、銀行はこれをCDO( Collateralized Debt Obligationの略称 、日本語では債務担保証券。社債や貸出債権⦅ローン⦆などの資産を担保として発行される資産担保証券の一種で証券化商品だが、サブプライムの証券を他の社債や自動車・カードローンとまぜ、それを細分化したもの。 他の債券の担保によって高い格付けを保つ)として格付けを保ち、表面化するのを防ぎます。
そしてサブプライムローンの破綻は加速します。
しかしCDOの価格は下がりません。
なぜか?
CDOが不良債権化し始めても格付け会社の格付けは下がりません。
このためCDOの価格も下がらず、主人公の一人は格付け会社に出向きます。
格付けが下がらない理由は格付け会社の顧客獲得合戦。
格付け会社が格付けを下げれば、銀行は他の格付け会社に乗り換えるだけ・・・・・・・。
そして債権は下がらず、主人公たちは窮地に陥ります。
伝説の銀行家ベン (ブラッドピット)の支援を受けていた若い投資家二人は大勝負に興奮し、大はしゃぎします。
それを見たベンは二人を咎めます。
「俺たちが勝つという事は・・・・」
「国民は家や仕事や老後資金を失う・・・・」
「年金もだ・・・・・」
「人が数字化される」
「失業率1%上昇 4万人死亡・・・・・・」
二人は初めて結果の重大さに気付きます。
やがて破局が訪れ、世界中が巻き込まれます。
サブプライムローンを組み込んだ金融派生商品は他の債券と組み合わせて、高利回りな仕組み債として販売されていました。
その仕組み債は、サブプライムローンの債権も組み込まれているか、入念に調べないと解らないくらい複雑なもので、その結果、サブプライムローン問題が露呈したとき、金融市場では、信用不安が広がり、株や地方債等の他の金融商品を含む、金融破綻の連鎖が世界規模で始まりました。
そして破綻はレバレッジ(自己資本に対する債務の倍率)の高い順番。
このリーマン・ショックをより深刻にしたのがCDS。
大規模な経営破たんが相次いで起こればCDSの売り手となっていた金融機関 の経営に大きな打撃となります。<
当時AIGはリーマンを対象とす るCDS関連商品の保証をしており、同社の破たんにより保証負担が急激に膨らみ経営危機に陥りました。
もしもCDSの売り手であるAIGが経営破たんすれば、リーマン関連のCDSを購入していた金融機関は保証を得られず多額の損失を被り、連鎖的に破たんする恐れもありました。
そこで政府はAIG に対する公的資金の投入を決定。
さらに緊急経済対策を次々と打ち出しました。
しかし金融機関の経営状態に対する疑心暗鬼が拡がるのを止めることはできず、 金融機関同士の資金供給が滞る事態につながったのです。その後、各国政府の積極的な金融緩和策もあってリーマン破たんに始まる金融危機は収束しますが、CDSの取引残高はこれをきっかけに減少に転じます。
だが救済には税金が投入されましたが、痛手を蒙った庶民には救済はありませんでした。.
しかし今の日本、日銀マイナス金利政策で金融機関は貸付で利益を売ることは困難です。
その結果はリスク債、外債、不動産など博打的な投資に向かう恐れがあります。
そして「地銀の優等生」といわれていたスルガ銀行が引き起こした、“かぼちゃの馬車不正融資事件”。
決して偶然起こった事件ではないと思います。