「ここに来ると行きたくなくなっちゃうなぁ」
「ここは居心地がいいからね」
「もし僕たちが本気でピンチになった時はここに導かれると思う。その時は温めてね」
「また遊ぼうね」
「僕たちが戻ってきたら一緒に冒険しようよ」
「お茶が必要な時は扉の外にポットを置くから。お茶をいれたら扉の外に置いてくれる?」
「もちろん!待っているから。いつでも頼って」
「さあ、そろそろ行こうか。ネネ、これを。」
と言って大きい人が封筒を渡した。
「答え合わせだよ」
「次に会う時には話が尽きるまでお互いの扉の先の世界の話をしよう。ここからが始まりなんだから」
ネネとキキ、ピッピは頷いた。そして3人で心を込めて言った。
「いってらっしゃい!気をつけて!!」
「じゃあ、行ってくるね」
7人はいつもの笑顔で手を振って扉の外へ出掛けて行った。
しばらく3人は放心状態だったが、手の中にある封筒を思い出しあけてみた。
3人の救世主へ
僕がこのお店を始める時に言った言葉を覚えている?
トトとカカ、他にもこの場所を必要としている人たちに招待状を送ったんだ。
その時に魔法をかけたんだ。ここに来る人たちは本来の自分の姿ではなく、仮の姿で来ているんだ。
彼らの物語は実際の彼らが直面している現実から出来ているんだ。
現実の世界では物事の本質に目を向けることが出来ていない。
でもそれでいいなんて誰も思っていないんだよ。
方法がわからない人、受け止められない人、逃げる道を探してしまう人。
それがいいと思っていないけどそれでいいやって諦めている。そんな彼らに物語の中で同じような体験をしてもらって自分で答えを見つけてもらうこと、そしてネネ、キキ、ピッピの3人には過去の選択で後悔したことを彼らの物語を通して後悔のない選択をするチャンスを与えることが僕たちからのプレゼントだったんだよ。
ネネはもう分かっているよね?
トトとカカが誰なのかを。
そしてキキ、お前を訪ねて来た人がいることをわかっているんじゃないかな?
この手紙を読み終えたら、僕がかけた魔法はいつでも解くことができるはず。そして解かない選択も出来る。それは自分たちで決めるんだ。
この場所にはこれから今までより沢山の人が訪れるはず。僕たちが助けに行けなくなる間、迷い人はここに来るはずだから。迷い人たちを頼んだよ。
困難なことがあるかもしれない。
でも僕たちはみんな繋がっているんだ。どこにいてもひとりでいても僕たちの帰る場所はここしかないから。みんなの待っている場所がみんなが帰る場所。それを忘れないで。それが分かっていれば乗り越えられるはずだよ。
ピッピ、二人とお店を頼んだよ。君がここの店長だ。
では行ってくるね。
7人の旅人より
「ピッピ、店長!!店長だって~。」
キキはネネに聞いた。
「魔法解く?」
ネネは首を振った。
「それは私が解くものじゃないと思うから。
魔法をかけてもらった人たちが本当の姿で会いに来るのを待ちたいの。
私はいつでもここで待っている。キキはどうするの?」
「私も解かない。自分から変わりたいと思うまではこのままでいい。」
キキは少し寂しげに答えた。
ネネはみんなに出会って考え方が変わった。
過去を正すことより未来の自分を笑わせたい。
今日の自分より明日の自分が幸せであってほしいし、私の大切な人たちにもそうであってほしい。
そのために何を選ぶかを考えたら答えは簡単だった。幸せな方を、笑える方を選べばいい。
難しい選択は10年後、20年後の自分も笑えるかを考えればいい。欲やプライドや誰かの気持ちが邪魔して大切なものが見えていなかったことに気づいたから。
それに私の大切な人たちが今日もどこかで頑張っているって思ったら頑張れるに決まってる!!
次回予告
-For Youth-
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素敵な写真はお借りしました。ありがとうございます。