( 2018.2.18 )
【編集よろ】
すっかり朝になっちゃったので、執筆の途中ですが、これからジョギングに行ってきます。
とりま、『しるし書店(仮)』の第3稿をアップしておきます。
基本的に、575調にしていますが、中盤(8~10ページ、13~14ページ、16~17ページあたり)は、まだ、手をつけてません。
タイトルは『ほんやのポンチョ』にしようかと思っています。
編集よろ。
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『ほんやのポンチョ』
ポンポンポンチョは、ほんやさん。
あさ は たうえのおてつだい ひる は おばあのにもつ もち。
いつも みんなのおてつだい じぶんの ことは あとまわし。
(お婆さんの荷物を持っているポンチョ)
②
おかげで おみせは、かんこどり。
きょうも おきゃくが おりません……
(『熊八書店』肩肘をつくポンチョ)
③
ところがどっこい ポンポンポンチョ
おきゃくのかずなど どこふくかぜで
すきなどくしょに むちゅうです
(本棚から一冊の本を取り出すポンチョ)
④
そうしてついにはポンポンポンチョ おみせの おきゃく に うる ほん の
すきなページに おりめ をつけて だいじなぶぶん に せん をひき
きづいたことを メモメモメモ。
(ペンを片手に本を読むポンチョ)
⑤
ほんは、すっかり このありさま これでは おきゃく に うれません。
ところがどっこいポンポンポンチョ、
「ガハハハ。これじゃあ、売れねえや」
(気づけば「しるし」だらけになった本を片手に、笑うポンチョ)
⑥
あるとき、おみせにやってきた ちいさなちいさな おんなのこ。
たくさん つまれた ほん のやまから そのこ がえらんだ いっさつは
ポンチョがうっかり しるし をいれた うりものにならぬ『しるしぼん』
(しるし本を手に取る少女)
⑦
「ごめんなさいな おじょうちゃん そのほん よごれているだろう?
オイラがうっかり しるし をいれて うれなくなった ほん なんだ」
ところがどっこい おんなのこ
「この本、とっても おもしろい」
(しるし本を読み進める少女。困惑するポンチョ)
⑧
「この ほん をよめば、おじさん がおもしろがっていることがわかる。これは せかいにひとつだけのほん よ」
おんなのこは「『しるし』が入っているから面白い」と言いました。
(しるし本の良さを熱弁する少女)
⑨
「ガハハ。もともと売り物にならねえ本だ。持ってってくれ」
さすがに、タダで受け取るわけにもいかず、おんなのこ は自分がとても大切にしていた犬のヌイグルミを、ポンチョにプレゼントしました。
(犬のヌイグルミを受け取るポンチョ)
⑩
次の日、評判を聞きつけた町の人達が、店に押し寄せました。
「しるし本をくださいな」
皆、他人の為に生きるポンチョが、普段、何を考えているのか、気になっていたのです。
(店の前に大行列)
⑪
ポンチョは まいにち しるし をいれて
せん を ひいては「はいどうぞ」
おりめ を いれては「まいどあり」
あ〜っというま に だいはんじょう
ポンポンポンチョは ゆめごこち
(大盛況の本屋。しるし本を作っているポンチョ)
⑫
あるひ のんきな ひるさがり
ポンチョがてつだい していると
ちゅうざいさん が かけてきて
こえ も からがら さけびます
ポンチョの ほんや が もえてるぞ
(荷物持ちのお手伝いをしているポンチョのもとに、駐在さんが走ってきて、叫ぶ)
⑬
ばりばりバチバチ ごうごうと
ポンチョの ほんや はやけていく
何年もかけて集めた大好きな本は、あのゴウゴウと燃える炎の中。
火の勢いはどんどん強くなっていきます。その時でした。
(町の人達が消化活動にあたるが、勢いよく燃え上がる『熊八書店』)
⑭
「オイラの宝物を助けないと!」
なんとポンチョは、燃え上がる店内に飛び込んでいったのです。
(炎の中に飛び込んでいくポンチョ)
⑮
そらまでモクモク くろけむり
おろおろハラハラ まちのひと
ちかづくことも ままならず
ポンチョの ぶじ を ねがうだけ
(火の勢いを前に、何もできない町の人達)
⑯
まもなく、燃えさかる店からポンチョが出てきました。
くろこげポンチョ に かけよって
おどろいた
そのポンチョが、炎の中から命懸けで持ち出してきたものを見て、町の人たちは驚きました。
(炎の中から、命からがら飛び出してくるポンチョ)
⑰
くろこげポンチョ が てにしていたのは
あのこがくれた ぬいぐるみ
おみせ や ほん が やけたというのに
ポンチョ は かまわず ガハハのハ
「オイラの たから をたすけたぞ」
(犬のヌイグルミを持って笑うポンチョ。唖然とする町の人達)
⑱
くろこげ やけあと まいったな ポンチョが あたまを かいてると
あのこが ふたたび やってきて もってきたのは ふるい ほん
「おねがい ポンチョ このほん に しるし をいれてくださいな
しるしのはいった『しるしぼん』 おみせ で うってくださいな」
(焼け跡に佇むポンチョに、古本を渡す少女)
⑲
あとにつづいた まちのひと いえ から ふるほん もってきて
くちをそろえて こういった
「おねがい ポンチョ このほん に しるし をいれてくださいな
しるしのはいった『しるしぼん』 おみせ で うってくださいな」
(古本を持った人々が焼け跡に集まる)
20
びっくりぎょうてん やまもりだ
まちをあいしたポンポンポンチョを こんどは みんな で ささえるぞ
ポンポンポンチョに えがお がもどる
「こいつは ないてはいられない たくさんつくるぞ『しるしぼん』」
(焼け跡にたくさんの本が集まる)
21
まちの みな から もらった ほん の すてきなページに おりめ をつけて、
だいじなぶぶんに せん をひき きづいたことをメモメモメモ。
みんながまってる『しるしぼん』 せかいにひとつだけ の ほん
(しるしを入れるポンチョ)
22
いっぷうかわった ふるほんや ポンポンポンチョのほんやさん
(『しるし書店』という看板が出ている。賑わっている)