西原克成「内臓が生み出す心」 | 読書日記PNU屋
2013-04-25

西原克成「内臓が生み出す心」

テーマ: 医療・家族・心
内臓が生みだす心 (NHKブックス)内臓が生みだす心 (NHKブックス)
西原 克成

日本放送出版協会 2002-08


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 心は脳ではなく内臓から生じると主張する医学者の本。

 先日、太田忠司「セクメト」(バイオホラーファンタジー)を読んだところ、この本が巻末の参考文献に挙がっていたので興味を持ったのである。

 しかし…のっけから読みにくい。一応、昔解剖学や発生学を学んだ私だが、ちっとも理解できないのだ。んんん…?とネットで本書のレビューを探してみたら、あらま。トンデモ本という扱いなのね。
 私の頭脳はさておき、本書の記述がわかりにくいのは、著者の頭の中では自明すぎることゆえに、他者への説明が難しいのだろうか?と思った。本当に知りたいことは省略されてて、おんなじ内容を何度も繰り返す(著者も「繰り返すが」みたいに書いてるので確信犯)のがストレスフル。

 始めに心肺移植を受けて性格が変わったという女性クレアの話があるが、これがヒステリーかどうかの検証が成されていない。その女性の周囲でも、移植を受けた人は性格が変わったというが、それは全レシピエントに対して何パーセントに起きた現象なのか?
 著者はクレアのケースを解説した書籍をソースに、心の宿る内臓を移植するのはNGと言うのだが、そこに納得がいかない。データが明らかにされていないと、EBM(evidence-based medicine)と言えないのではないか。ほんの数例の印象を全体に敷衍しているとすれば、性格や心は脳ではなく内臓に由来するという著者の発想は思い込みとしか受け取れないのである。

 骨休め(長時間睡眠をとることらしい)など著者独自の言葉遣いも多く、また造語を駆使して語られるオリジナル発生学は理解が困難だった。

 人の祖先はネコザメ(理由はヒト胎児が一時期ネコザメに顔がそっくりだから)、女性は帝王切開すると淫乱になるなど、ハァ!?!!?という記述も散見され、それこそホラーの元ネタにふさわしいというか、本書は日本的奇想妄想の表現された一冊とみておくのが良さそう。


p.s.全部が極論マユツバというわけではなく、腸が未完成な乳児に異種タンパクをくれるとアレルギーが起きやすいとか、咬合や左右の噛み癖で骨格が歪むとか、医学的真実も書かれているので、読むなら情報を取捨選択して読むといいんでは。








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