海を渡ったメグレは過去を辿る。
◇メグレ氏ニューヨークへ行く◇ -Maigret à New-York-
ジョルジュ・シムノン 長島良三 訳
定年退職して悠々自適の生活をしているメグレのところに、アメリカの大富豪の息子が訪ねてくる。最近父親の身に異変が起こったらしい、自分といっしょにニューヨークへ行ってほしい、というのだ。ところが、ニューヨークに着いたとたんに青年は姿を消し、父親の方はメグレを避けようとする。青年の口車に乗ってアメリカに来たことを悔みながらメグレの捜査は始まる。
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のんびり引退暮らしをしているメグレのところに(またも)お客が訪ねて来た。なんとアメリカからやって来た。富豪の息子は父になんらかの異変が起こったようだ、一緒にニューヨークに来て欲しいと依頼する。メグレは口車に乗せられる形で青年モーラとニューヨークへ。
ところが、彼はニューヨークに着いた瞬間、姿を消してしまう。父親リトル・ジョンもメグレを避け、フランスに帰そうとする。決定的に何かがおかしいのに「個人の自由」とやらに阻まれて身動きが取れない。メグレはメグレで私立探偵を雇い、リトル・ジョンのことを調べる。1人の老人の事故死をきっかけにリトル・ジョンらの過去が紐解かれる……
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「メグレ氏ニューヨークに行く」です(・∀・)
メグレ、海を渡るの巻です。
メグレ始まって以来のヨーロッパ外です。下手したら現役時代よりも忙しいですね。アメリカにもその名声が知れ渡っているとはさすがメグレ警視。
異国で捜査するってこんな感じ。というのを目の当たりにされます。アメリカはとにかく自由自由自由……の国、それを阻むのは何人であっても許されません。フランスでできたことがアメリカではできないという事実にメグレはイライラします。どっちがどっち、と言うわけではないですが、どっちもある種怖いなと思ったり……
今回の事件は過去を紐解くタイプの事件。アメリカの大富豪はかつて相棒と一緒に欧米からやって来た貧しい移民でした。サーカス団での恋、別離、そして……虚しさ、人の繋がりの脆さと儚さ、秘密の重さと怖さが夜の雨のように纏わり付いてきます。この空気はニューヨークでも同じでしたね。……いや、同じ人間なのだから道理なのかもしれません。
「メグレ氏ニューヨークへ行く」でした(・∀・)/
次は探偵たちが一堂に会す!(*^o^*)/