F・W・クロフツ No.16◇サウサンプトンの殺人◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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会社の危機を救うため、製造秘密を盗むだけのはずがーーーフレンチ警部は意外なところから捜査の道を阻まれることに!?

 
 
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◇サウサンプトンの殺人◇ -Mystery of Southampton Water-
F・W・クロフツ 大庭忠男 訳
 
 
セメントの新製法を探るべくチェイル社に侵入したジョイマウント社の二人は、見咎めた夜警をノックアウトし、間の悪いことに死なせてしまう。遺体を運び出し自動車事故に偽装するが、素人の悲しさ、首席警部フレンチの目を誤魔化せるわけもない。更にはチェイル社の首脳陣にねじこまれ、事態は新たな局面を迎える。恐喝まがいの要求を呑むしかないのか。ジョイマウント絶体絶命!
 
 
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セメント会社ジョイマウントはここのところ赤字で、倒産寸前にあった。なんとかしなければと焦るところで近くにある同じセメント会社チェイルがセメントの新製造方法を開発し、それで作ったセメントをリベートしているという話を聞く。
 
 
ジョイマウントの化学技師キングは実験で製造方法を知ろうとするが、結果は芳しくない。そこで思い立った方法に出る。それは「チェイルから製造方法を盗む」!
 
 
取締役のブランドはキングと共に計画を立て、チェイルに忍び込むが、夜警に見つかり、誤って殺してしまう。このままではますます身の破滅と思った2人は交通事故死と見せかけて始末するが、フレンチ警部は早々にこれが見せかけであることに気がつく。
 
 
フレンチ警部の調査は芳しくない。その落とし穴はジョイマウント側にもチェイル側にもあった。ーーーチェイルはジョイマウントが秘密の製造方法を盗んだことを勘付いたのだ!
 
 
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「サウサンプトンの殺人」です(・∀・)
 
 
前作で倒叙ものの名声を得て、ミステリージャンルの確立に成功したクロフツは続けて倒叙ものを書きました。それが本書。
今回は個人や家族間ではなく、企業間での事件です。
 
 
「……」
え、これ普通に現代でもありそうな事件です。
会社の倒産危機、ライバル会社の知略と策略、秘密の保持と奪い合い。フレンチ警部がいなかったら倒叙ものではなく、クライム・サスペンスになっていたと思います。
 
 
普通にフレンチ警部の出番も多いし、何より語り手ブランドの予測をどんどん超えるという点で今回は単純な倒叙ものではありません。ここが結構ミソなんですよね。最後には事件が全然違って見えます。
 
 
今回フレンチ警部はめでたく昇進し、首席警部としてお見えします。時々フレンチ警部を超えたミッチェル警部はめでたく定年退職なすったようです← でも同僚とは疎遠になったし、何よりロンドン警視庁から出られないという悲しい側面も……。うーん、やっぱりフレンチ警部はロンドンから出て旅行気分を楽しんで貰わないと! 
とはいえ、権限は増えたわけだからさらなる活躍を楽しみにしたいと思います。
 
 
「サウサンプトンの殺人」でした(・∀・)/
次はクラーク、あの「宇宙のランデブー」です(*^o^*)/~