ヒラリーの旅の行方は?
◇死への旅◇ -Destination Unknown-
アガサ・クリスティー 奥村章子訳
東西の冷戦で二つに引き裂かれているヨーロッパ。その西側陣営で科学者たちが次々に失踪していた。いままた、めざましい成果をおさめた科学者ベタートンが行方不明となる。東側の陰謀なのか? 英国情報部はベタートンの妻に瓜二つの女性をスパイとして敵地に放つが……会心の冒険スパイ小説、新訳で登場。
解説:中辻理夫
(ハヤカワ文庫より抜粋)
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こんばんは、クリスティーの時間です。
今日のクリスティは『死への旅』です。
ハヤカワ文庫シリーズでは90番目にあたります。
90冊とはこれはまたすごい数です。
なんていったって100の一歩手前ですからね^ ^
つまり、
わたしも90冊読んだってことだ!!!!←お前じゃない。
でもまだまだ先は長いです。あと12冊もあります。
目指すはあの『そして誰もいなくなった』です。
何気なくカウントダウン的な話になってしまいました。『死への旅』の話をしましょう。
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この作品も先日紹介しました『バグダッドの秘密』と同じテイストーーースパイ小説です。
そして主人公も女の人。名前はヒラリー・クレイヴン。
でもヴィクトリアとは明らかに違った点があります。生気に欠け、生きるあてがないこと。
そうなんです。彼女は自殺するために今度の舞台カサブランカにやってくるのです。が、そこで英国情報部が現れ、「どうせ死にたいならスパイやってみないか。死に損なうのは百にひとつの可能性だから、ちょうどいい」と持ちかけられます。
こんなスパイの誘い方、聞いたことないですね(笑)。
ヒラリーは実にうまく、別人ーーーあらすじにあります、ベタートン夫人ですねーーーになりすまし、敵地に潜り込みます。そこは一体なんなのか!? 科学者失踪事件の真相は!? そしてヒラリーの旅はどこに行き着くのか!?
で、感想☟
えっ!! そうなの!? そこでこうくるの!?
ことあるごとに上の?台詞が心の中で暴れておりました(笑) 秘密機関がヒラリーに「スパイにならないか」と口説く(←違う)理由もそう思ったし、色々な場面で思いました。科学者失踪の真相も、失踪の理由も。
ちなみに失踪の黒幕は意外にあっさり分かりました。よく考えればすとんと腑に落ちます。
さて。この話、殺人事件ってないの? と思ったかもしれません。
殺人事件、ないようで、あります。
意味分からないよ! と思った方は(このブログを見ている方がいるかどうかですが……)ぜひこの『死への旅』をお読み下さい。展開が見えなくてドキドキします。クリスティの凄さはなにもよく知られた名作だけに表れているとは限らないのです。
では、また来週♪(*^ ・^)ノ⌒☆