イイオンナの為の「本ジャンキー」道
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東野圭吾「殺人の門」

一番身近にいる人を憎む。殺したいほどに、という心理。
嫌いだったら一緒に居なければいいじゃない、という理屈では解決できない関係。
この本に登場する田島和幸という男は、まさにそんな苦悩背負っています。


殺人の門
殺人の門 東野 圭吾

角川書店 2003-08
売り上げランキング : 122,041

おすすめ平均 star
star力作ではある
star徹夜本
starダークな叙事詩

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<STORY>
-------------------------
田島和幸は歯科医の息子として金銭的には何不自由のない暮しをしていたが、
母親が祖母を毒殺したという噂が広がったことから、父親が歯科医院を続けることが
出来なくなり、一家は破滅する。
和幸はその原因が同級生の倉持のある行動によると考え、倉持に殺意を抱くが、
しかし殺意を実行できないまま倉持から離れられない生活が続いていた。
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全体として、トーンは非常に暗い。
明るい要素が殆ど無いままに終盤を迎えます。

まだ本作を読まれていない方もいるので、あまり具体的な内容は控えますが、
田島と倉持という、まったく正反対の2人とそのの関係を見ていると、
人は念じるだけでは変われない、そして時間の経過だけでは相手の関係も

変わらないのだろうと痛感しました。


これって実際の社会でも本当にあること。

幼馴染という呼称で呼ばれる、殺したいほどに憎む相手、倉持。
帯にもこんな事が書いてあります。


― あいつを殺したい。 でも私には殺せない。 ―


人が人を殺すという行為は如何なることなのか?
どうしても殺したい男がいる。その男によって、私の人生はいつも狂わされてきた。
あいつを殺したい。でも、私には人を殺めることがどうしてもできない。
殺人者のなるために、私に欠けているものはいったい何なんだろう?

20年もの間、くすぶり続ける殺意。
殺人者になりきれない男は、果たして「殺人の門」をくぐることができるのだろうか!?



その門をくぐる時のことを想像しながら、誰もがあっという間にこの本にのめりこむ事でしょう。
決して薄くない(いえ、非常に厚い)本ですが、どっぷりはまるだろう事をお約束します。


ところで、以前どなたかのブログでこんな事が書いてありました。


田島からの目線ではなく、倉持目線での本を読んでみたい

なるほど、確かに興味あるわ、と思ったことが妙に印象的でした。
倉持から目線でも殺人の門は登場するのか。そんな裏ストーリー、読んでみたいです。


余計な一言:
積年の思いを抱えたまま突入する最終部分。ここは是非自分の目で結末を見届けてください。
それにしても。
「ああ、ついに...」の反面「それにしてもお前もさぁ...」とが入り混じる、ちょっと複雑な心境に。

これ以上は書けません!
でも読んだ人には絶対分かる(はずの)この感じ!  この一言に尽きます。

東野圭吾「さまよう刃」

この本は「被害者の家族に宿る殺意」。

以前紹介した「天使のナイフ 」にも通じる、少年犯罪をテーマとした作品です。


さまよう刃
さまよう刃 東野 圭吾

おすすめ平均
stars遺族によるレイプ犯への復讐は許されるか!?
stars「ミステリーの枠を広げた」小説家の新たな代表作
stars作者の問いかけ
stars正義の刃はやはり法律でしかないのか。
stars時代

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不良少年たちにレイプされた上、無残にも殺害された娘の復讐の為、
父親である長峰は仲間の1人を殺害し、逃亡する。
「遺族による復讐殺人」としてマスコミにもセンセーショナルに取り上げられた父親。
世間の考えは賛否が大きく分かれ、警察内部にも父親に対する同情論が密かに持ち上がった。
果たして、犯人を裁く権利は遺族にあるのか!?
社会、マスコミ、そして警察まで巻き込んだ、人々の心を揺さぶる復讐行の結末は...。


先日ご紹介した「天使のナイフ 」でも取り扱われていたテーマ「少年犯罪」。


天使のナイフでは妻の命を奪われるのですが、この作品で命を落とすのは娘。
そして同じ少年犯罪でも、この2作品は全く逆の顔を持っていいます。
  片や復讐殺人を企てたとの「ぬれ衣」をきせられる主人公の苦悩を描く「天使のナイフ」。
  その傍らでは、憎き少年犯に対して、娘の復讐を殺人という形で遂げる「さまよう刃」。


全く別の話、全く異なる結果。
その2つの作品が伝えたかった事ってもしかしたら同じなのではないかと思うんです。

問題提示しているものの、少年法を批判しているわけではない。
そして復讐を助長させているわけでもない。
共通して、「復讐殺人は許されないことである」というメッセージを感じます。


さまよう刃。
まるで殺人鬼が街を回遊していて、心休まる日さえない状況を表すような
タイトルですが、本当は、「刃」を持っている側の心の彷徨いが見え隠れしました。
そして、刃を向けられた人たちの悲しみをも感じます。


500ページを超える大作ですが、戸惑うことなく読めると思います。
所々立ち止まりながら、考えながら読んで欲しい1冊です。

ANAカード“地上”最得活用術(MOOKS)

実は最近、今更ながらではありますが「陸マイラー」デビューしました。
「陸マイラー」とは、旅行や出張などで利用するフライトではなく、陸地(国内)で
マイルをコツコツとためる人(=マイラー)の事。
私も今まで存在は知っていながらもあまり関心を持っていませんでしたが、

先日海外旅行に行ったのをきっかけにその提携会社である全日空(ANA)のカードを作り、

デビューに至ったというわけです。


そんな私は、まだまだ初心者。
そこで昨今連続して発売されている「陸マイラー利用術」を読んでみることにしました。


ANAカード「地上」最得活用術―陸でみるみるマイルを貯める陸マイラー速成

ANAカード「地上」最得活用術
陸でみるみるマイルを貯める陸マイラー速成


小学館 2006-01
価格 ¥ 980
通常24時間以内に発送

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<楽天の紹介文より引用>

マイルは、地上でも貯まります。
特にANAカードは、電子マネーEDYと提携しEDYのチャージ&

使用の双方で貯まり、通常の2倍貯まる提携先も多い、最得カードです。


地上でANAのマイルを貯める秘訣満載!

買い物、飲食、レジャー、公共料金の支払い等、“地上”での日常生活で、
全日空のANAマイルを貯めるためのノウハウを満載した、“今すぐ使える”ムックです。


マイルを貯める道は、フライトだけではありません。
ANAカードを活用して、陸でマイルを貯める賢き“陸(おか)マイラー”になりましょう。
特にANAカードの提携先を狙えば、通常100円で1マイルが2倍に!
有名レストランやホテルはもちろん、ドライブ、ゴルフ、さらに引っ越しやマッサージでも、

どんどん貯まります。

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ふむふむ、なるほど。
...ってこれ、今更な事ばかりが書いてあるような気がしますけど?
最近「Blog」で先輩陸マイラー達がそれぞれのテクニックを披露している中、
このMOOKS,特に目新しい情報が掲載されている訳ではない様子。


ん?どうやら2005年6月号/DIME」特集記事をまとめなおしたものらしい!。
【秘訣満載】と書いてあるわりに、「裏技」のようなものは書かれていません。
紹介されている技もマイルを積極的に貯めよう、と思っている人には初歩的なものばかりです。

表周りには、わかりやすくANAの広告が出ています。タイアップMOOKSというとこですね。


とはいえ、初めて読む人には、もしかしたら目からウロコ!な人もいると思います。

それにブログを一つ一つ探すことを思えば、ひとつにまとまっていて便利かも。


入門編としてのご利用をオススメします。

そのほかにもマイレージ関連の書籍は幾つか発売されています。

比較的新しく出版されたものをまとめてみました。興味のある方はコチラもどうぞ。


4大マイレージ徹底比較!―JAL、ANA、NW、UA 陸マイラーで行こう! らくらく貯まる マイレージ超入門 マイレージ獲得(裏)術

石田衣良「4TEEN」

石田衣良作品は本当に様々な作風があり、簡単に「こういう本を書く人」という

説明が難しい作者の1人です。

IWGPシリーズを読んだ人は、あのマコトのイメージが強いですし、

最近の本(特に短編集)を読んだ人はまた違った印象を持っているでしょう。


そんな彼ですが、私が中でも好きな1冊がこれ「4TEEN」です。


4TEEN 4TEEN
石田 衣良

新潮社 2005-11-26
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2003年の直木賞受賞作です。

この本で石田衣良を知った方も多いのではないでしょうか?


この本には、東京の下町「月島」に住む4人の少年が登場します。

14歳という多感な年頃の少年たちを描く青春ストーリーです。


ちょっとお金持ちの子、家庭内暴力に悩まされながらも明るく過ごす子、

早期老化症候群という、通常の何倍ものスピードで老いてゆく病気と闘う子。

様々な悩みを抱えながら、今という時代を一緒にすごす友を何より大切にしながら、

友情や恋、暴力、病気、そして14歳らしい「性」への関心。


様々な状況や様々な人と出会い、都度右往左往し、でも前に確実に進む

彼らの様子は、大人になりきってしまった私にとってすごく眩しいものでした。


この作品は同じ登場人物達に巻き起こる様々な話を短編集風にまとめています。

特に印象に残っているストーリーは2つあります。


1つは病院を抜け出した末期の癌患者との出来事を記したものです。

初めて「人の死」を目の前にする少年達。

末期患者とどう接して行けばいいのか。

そしてきっと自分達よりも早くそのときを迎える早老症の少年。

彼等が取る行動は、大人からすると間違ったものなのかもしれませんが、

彼等がその末期患者の為に一番良いだろうと考えて選んだ選択に対して、

非難できる大人ばかりではないでしょう。

私はその彼等の気持ちを考えてると、目頭が熱くなってしまいました。


そして、もう1つは、仲間の1人がふとした事で実の父親を死に至らしてしまうストーリー。

昨日まで一緒に居た仲間とどう接するのか。

周りの大人の反応は自分達にとって正しい指南なのか、それとも...。


前編にわたって、「友情」が色濃く現れている1冊です。

男の子達の友情というとちょっと青臭そうですが、子供から大人になろうとしている

時期のアンバランスさがなんとも懐かしく、そしてたくましく感じられる本。

(私たちのときに比べて随分大人でクールな感じもしますけどね)


懐かしさも手伝って、読み終わり、非常に爽快な印象を受けました。


いつから大人は型にはまった考え方しか出来なくなるんでしょうね。

いや、そういう考え方以外は世間に受け入れられなくなることを知る辺りから

人はちょっとゆがんで行くのかもしれません。


4TEEN スペシャル・エディション この作品は映像化されています。

 出演:角田紳太朗/柄本時生

私はまだコレを見ていませんが、見た方のコメントを探すと、

どうも非常にいい作品の様子。

出演している少年たちの演技が非常に良いようです。

ちょっとみてみたくなりますよね。

それから、昔、「ズッコケ三人組」という本がありました。

私はこのシリーズが大好きで、何度も読み返した記憶があります。

このシリーズもちょっと前に完結したそうですが、最近、中年になった3人組みの本が

出版されたようです。

まだ読んでいないのですが、あの自由奔放な3人がどんな大人になったのか、

少し興味があります。でも中年って...(笑)



それいけズッコケ三人組 ズッコケ三人組の卒業式 ズッコケ中年三人組 左:記念すべき1作目

中:シリーズ最終巻。最後は大泣き必死!

右;噂の「中年」シリーズ。き、気になる!

伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」

伊坂幸太郎。

2005年は「死神の精度 」で直木賞候補にもなり、今ノリに乗っている作家さん。

強烈な個性を持った登場人物、そして新作に出会うたびに思わぬ展開を見せる引き出しの多さ。

彼の作品は毎回いろんな確度から私達の心をくすぐり、一度出会ってしまったら離ることが

できない、麻薬のようなパワーを持ったものばかりです。


これは、そんな彼の記念すべきデビュー作です。

オーデュボンの祈り
オーデュボンの祈り 伊坂 幸太郎

おすすめ平均
stars映画を観ているような・・・
stars久々の感動作!!
starsこんな作品を待っていた!
stars「しゃべるカカシ」に違和感を感じ入ることもない
stars上手いだけじゃないんだ!

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<STORY>

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コンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われる途中で意識を失う。

気づくとそこは見知らぬ島。江戸以来、外界から遮断されている「萩島」であった。


ここには妙な人間ばかりが住んでいる。

嘘しか言わない画家、体重300キロのウサギさん、島の法律として殺人を許された男「桜」。

そして、人の言葉を話すだけでなく「未来」が見えるという、カカシ「優午」。

彼は奇妙がられるどころか、住民達に崇拝されていた。


不可思議な登場人物たちの住む島は、不条理に満ちた異様な世界。


しかしある夜、何者かによって優午が「殺害」される。

なぜ優午は、自分の死を予測できなかったのか。そして何故それを阻止しなかったのか。

「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午からの最後のメッセージを手掛かりに、

伊藤は、その死の真相に迫っていく...。

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ありえない世界を描いたこのストーリー。

非常にシュールな小説です。

単なるファンタジー、絵空事ではなく、どこか現実的な感覚を覚えるのは

私だけでしょうか?


言葉を話し、そして未来が見えるカカシ。

彼がどうして自分の死を予測できなかったのか。

それを解き明かして行くミステリーでありながら、そのカカシ「優午」は、伊藤に、そして

島の人々に、未来の手前にある現実の重みを伝えて行くために言葉を与えられた

存在なのかもしれないと思うのです。


まさに彼は「神」的な存在なのでしょう。


この話の中には実在する人物も何人か登場します。

絵空事でありながら現実の世界に居る自分を時折感じさせるのはその為かもしれません。


この「オーデュボンの祈り」は、第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した作品です。

著者伊坂幸太郎はこの作品を処女作とし、その後数々の名作を世に送り出します。


伊坂ファンならもう十分ご存知かと思いますが、本作のカカシは「ラッシュライフ 」の中に

とあるエピソードとして登場します。

まだ欠かしに出会っていない方、どこに出てくるかは読んでからのお楽しみ!

ラッシュライフも絶対損はさせない1冊です。是非お試し下さい。


現実と非現実との狭間にあるこの作品。

その心地よさは狭間を体験した人のみ知ることが出来るのです。是非ご体験あれ。

奥田英朗「ガール」

先日ご紹介した「ウーマンズ・アイランド」紹介記事 でも触れましたが、

ここの所何故か立て続けに読んでいる「30代女性」を主人公として書かれている書籍シリーズです。


今日ご紹介するのは、直木賞作家「奥田英朗 」の新作です。


ガール ガール
奥田 英朗

講談社 2006-01-21
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30代、OL。文句ある?」


本当に爽快な本。

なんでだろう?女性心理が見事過ぎるほどに描写されています。

しかも、暗く落ち込むことなく、ケラケラと笑いながら共感してしまう、この妙!

読破後、速攻で同期入社の女性に「読んでご覧!」と貸した1冊です。


30代というなんとも落ち着かない年頃をテーマとした短編集。

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◆episode1「マンション」

自分と同じだと思っていた友人がマンションを購入。

昨日まで微塵も考えなかったマンション購入を視野に自分に入れた途端、今まで好き勝手やってきた

仕事振りにもちょっと異変が...。だってローン払う為には会社を止める訳にはいかないもの! 

そんな広報部勤務の女性と、可愛い(だけど使えない)オンナの巣窟秘書室女性との対決がみもの!

最後はちょっと出来すぎな感もあるけれど、爽快!常務もいい味出してます!

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◆episode2「ヒロくん」

夫よりも年収が高い妻、社でも大抜擢な課長という管理職に付くことになる。

ただでさえも部下って良く分からないのに、年上の男性の部下って一体何!?

オトコって扱い辛い!そんなキャリアウーマンの弱さと強さが、なんとも絶妙!

今は年功序列排除の会社も多いから、よくある状況なのかも。

女性管理職の苦悩ってこういうところにあるんだろうな。

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◆episode3「ガール」

華やかな広告代理店で働く32歳の女性。

近頃どうも後輩ばかりがちやほやされる。化粧品のサンプルも回ってこなくなった。

無理して若作りしてるけど、もうギャルじゃないのかしら...。

ここの登場するイケイケギャルギャルの先輩がとても男前!格好いいですよ。

でも、ちょっと自分のことを確認してしまうストーリー。あたしも無理してる?きゃー。

無理と努力との境目って難しい。でも、怠ることへの怖さをも記した話です。

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◆episode4「ワーキングマザー」

子供が小学生になった今年、営業勤務へと異動願いだしたバツイチ、子持ちの女性。

仕事は辛いし、周りに気を遣われてやりにくいし。でも子供の寝顔をみるだけで頑張れる・・・・

主人公が立案した企画を、販促部にいる同じ年、独身の女性に持っていかれてしまう部分。

自分は死ぬほど悔しいのに、周囲が自分の子供のことを気にして諦めさせようとしていることを

知るあたりは、シングルマザーの辛さが痛いほど伝わります。

「子供を育てているから偉い訳じゃない、だけどこの苦労、独身のあなたに分かるの?」

そんなメッセージは、単に子育ての苦しみだけではない心からの呟きに聞こえます。

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◆episode5「ひと回り」
新人教育として一回り年下のカワイイ男の子の面倒を見ることになった、34歳女性。
あまりに丹精な顔立ちに社内外問わず大人気となる新人クン、彼に近寄る若い女を

シッシと追い払う私、なんだかちょっと嫉妬してる?

フェロモンむんむん、姑息な手段、彼に近づく若い小娘なんて、百万年早い、といわんばかりの

主人公が可愛くもあり、滑稽でもあり、痛々しくもあります。

彼女が新人の彼から巣立つ時、

奥田氏がこの話を何故最後に持ってきたのかちょっとわかった気がします。

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この手の話に共感できる女性はたくさんいるでしょう。

キャリアガールだから、とか、30過ぎているから、とか独身とか子持ちとか。

上司が使えないとか部下が生意気とか。

働く女性だったらどこかしら重なるシチュエーションがちりばめられています。


でも、なんででしょうねー。この本。

書き方次第で場合によっては1人頑張ってしまうちょっと当てつけっぽい「きつい女性」の話に

なってしまうのに、気づけば彼女達を応援している話になっているんだから。


帯にある文句。これ本当!

「30代。OL。文句ある? さ、いっちょ真面目に働きますか。
キュートで強い、肚
(はら)の据わったキャリアガールたちの働きっぷりをご覧あれ。」

「きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。」

「既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても。


奥田ism炸裂です。

同じ装丁シリーズの「マドンナ」も是非読んでみて下さい。最近文庫も発刊されました。

マドンナ
マドンナ 奥田 英朗

おすすめ平均
stars全国の課長さんへ
stars会社勤め、ご苦労様です。
stars課長さんがんばれ
stars夫婦っていいなぁ
stars中年男性の哀愁を感じさせます

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こちらは視点がこのがーるとは真逆、四十代の課長5人それぞれの物語。

中年に差し掛かった5人を通して、恋・嫉妬・焦り・苦悩などを笑いのスパイスをふんだんに

取り入れ、見事に描ききっています。注目!



林真理子「ウーマンズ・アイランド」

私もお誕生日が徐々に近づいてまいりました。

今まで「25~29歳」というカテゴリだったのが、年度を越えると「30~34歳」区分に

引越しをすることになります。


だからという訳ではないのですが、ここのところ「30代女性」をテーマにした本を

立て続けに読みました。今回はその2冊を順番にご紹介します。


まずご紹介するのは、林真理子著「ウーマンズ・アイランド」です。


ウーマンズ・アイランド ウーマンズ・アイランド
林 真理子

マガジンハウス 2006-01-19
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場所を具体的に明記している訳ではありませんが、ある程度土地勘がある人ならば

すぐに分かる「汐●」を舞台にした、11人の女性の物語。

11種類のストーリーは、それぞれ何か大きな出来事が起こるわけではなく、ただ淡々と

11人の女性の生き方や思いが彼女達の目線で、そして口調で語られていきます。


大手広告代理店勤務のキャリア女性。

もともと銀座に本社を構えていた化粧品会社のPR担当者。

航空会社の客室乗務員を辞めて、その本社で受付をする女性。

外国人ばかりの環境で契約社員として勤務する、帰国子女。

海外のミュージカルを日本で上映する、芸大出身の劇団員。

老舗・外資系とキャリアを積み、新しくこの土地に出来たホテルで働くレセプショニスト。

大手広告代理店に勤める夫をもち、超高級億ションに住む主婦。

脚本家の卵として原稿を書きながらシアトル系コーヒーチェーンに勤める女。

麹町から引っ越してきたテレビ局に勤める女性。

憧れのファッション誌の編集に生きがいを感じる出版社勤務のエディター。

アイドルグループで売り出し、整形をし、歌姫として今を飾る歌手。


そして彼女達の間を交差する、アイドル上がりの俳優。



帯には「最先端の都市で生きる女たちの恋と野望」と記されています。

また「11人の女たちのホンネの思惑がリアルに交差する」とも書かれています。

人それぞれの生き方がある。

そしてその価値観はその人だけが満足するものであれば良い。

でも、どこか今、満たされていない事に気づく、女たち。


そんな姿を描いている本です。

世でキャリアウーマンといわれるような働く女性は、中盤過ぎまで展開される

11人の生き方に、ある部分共感したりもするのかもしれません。

そこで何かを感じるのかもしれません。


この本、ここで終わっていればよかったのに。

最後の1章は、11の話の随所に登場する俳優が、彼の目線で女性を語る部分です。

ここで書かれる女性(それは今までに登場してきた女性だったりもしますが)は、

まったく生き生きもしていないし、なんだか道具のような印象まで受けます。


林真理子、何を伝えたかったんでしょうか。

働く女の寂しさ?自己満足?野望?夢?

読み終わったときに、なんだか非常に消化不良のような気分を感じました。


この本、今30代の女性を演じさせたらピカイチ(と個人的に思っている)篠原涼子主演で

ドラマ化されるそうです。(2/24(金)21時より日本テレビ系にて放映)

 http://www.sanspo.com/geino/top/gt200601/gt2006011603.html

篠原が演じるのは、東京・新橋の雑居ビルに入っているフリーペーパー編集者で、

仕事も恋も中途半端な女性、祐季の役。

汐留で働く2人の女性ら周囲と触れ合うことで一歩を踏み出していくストーリーだそうです。


先日放映された「anego(アネゴ)」も同じ林真理子の作品でしたので、あのヒットを再び、

ということなのでしょうか?

「anego」も原作は、ん~、なんともという感じもありましたがドラマは非常に良かったので

今回も篠原涼子がどんな女性を演じるのか、非常に楽しみです。

ちなみに共演、資生堂CM出演する栗山千明、井川遥、中越典子などなど。


ん?このドラマは資生堂とのコラボ。

資生堂・日テレ、そしてこの本の舞台は「汐●」。分かりやすすぎる~。


帯には「話題の小説、早くもドラマ化決定!」って書かれていますけれど、

まだ発売して程無い本なのに、どの辺りが話題なんでしょうか?

んー、完全に作られた世界だなー。まぁいいか。

資生堂マキアージュCMの世界を映像化するとのこと。楽しみにしておきましょう!


anego
anego 林 真理子

おすすめ平均
stars心情描写がリアルすぎる!
starsドラマとは異質なものと覚悟して読むべし!
stars雑誌連載ゆえの展開なのかも・・・
stars期待はずれ
starsラストがね・・・・

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2006年1月 私の本棚に加わった本

2006年1月に新たに読んだ本を取りまとめておくことにします。

といっても、まだ全て感想を書ききれていないので、コレも今後の課題、ということで。


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源孝志 「大停電の夜に
石田衣良 「約束」
石田衣良 「4TEEN

石田衣良 「愛がいない部屋」
梨木香歩 「西の魔女が死んだ

藤原伊織 「シリウスの道
東野圭吾 「探偵倶楽部
荻原浩  「あの日にドライブ
歌野晶午 「そして名探偵は生まれた
貫井徳郎 「悪党たちは千里を走る
篠田節子 「讃歌
Hana 「今すぐモテ男に変わります
ダニエル・キイス 「タッチ

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13冊。新年会ラッシュで遊び呆けていた月です。

丁度よい機会なので、毎月読んだ本の数を数えて行くことにしました。

2月はどんなもんでしょうかね~。


梨木 香歩「西の魔女が死んだ」

今のように本を読み出すようになる、ずーっと前。

小学校の頃はいわゆる「児童書」というものをたくさん読んでいました。

大好きな先生の影響です。その先生は面白い本をたくさん教えてくれました。


あれからもう20年近くが経ちます。

最近はずっかりご無沙汰だった児童文学ですが、今日ご紹介する1冊は、

私の友達がオススメしてくれた本です。


西の魔女が死んだ
西の魔女が死んだ 梨木 香歩

おすすめ平均
starsほんとに。
stars幸せとは?
stars梨木さんの本で一番気に入っています。
stars本で感じる自分の成長
stars共感できる本

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薦められて購入してみたものの、なんとなく手を伸ばさずに本棚待機期間2ヶ月。

つい先日、ふと思いつきページをめくりました。


西の魔女が死んだ。

そんな書き出しで始まるこの本。西の魔女とは主人公「まい」の大好きなおばあちゃんのこと。

この話は、中学校に入った頃から学校へ行くことが出来なくなってしまった「まい」が

おばあちゃんのもとへ預けられ、一緒に過ごすひと月あまりの時間を描きます。


西の魔女(おばあちゃん)は、まいにいろんな事を教えてくれます。

いちごジャムのつくりかた、ラベンダー畑の上の干したシーツについた素敵な匂い、

まいが選んだお気に入りの場所「マイ・サンクチュアリ」、摘みたてハーブティ、

たくさんの木々の名前、そして魔女修行。


おばあちゃんのいう魔女は、自分で何でも決めるということ。

希望も喜びも、そして幸せも。それが出来たとき、まいは魔女になれるのよ、と。


そんなおばあちゃんと過ごすことで、まいは今までとは違う価値感を学びます。

1日1日を自分で決めたとおり、大切に過ごす。

おばあちゃんはまいに健やかな心を教えてくれます。幸せな平穏。人への愛情。


「人って死んだらどうなるの?」そんな問いかけをした、まい。

冒頭の通り、西の魔女が死んだ時、まいはまたひとつ魔女からの贈り物を手にします。


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疲れた気持ちに安らぎを与えてくれる本です。

せっかちに何かを急いでしまっている時、あせっている時、心に余裕がなくなっているとき。

この本は児童文学に属する本ですが、大人にこそ読んで欲しい。

独特の世界観が、私たちを柔らかく包み込んでくれることでしょう。

そして頭の中には、魔女の森が柔らかい色で浮かぶことでしょう。


このお話、「新潮文庫WEB読者アンケート1位」だそうです。

みんなが魔女とまいを大切に思う気持ち、ほんとうに同感。

人に薦めたくなる1冊です。

藤原伊織「シリウスの道」

私が女性だからかもしれません。

なにかに没頭する男性の姿は非常にセクシーでそして魅力的です。

この本の主人公「辰村」もそんな男性の1人だと思います。


シリウスの道
シリウスの道 藤原 伊織

文藝春秋 2005-06-10
売り上げランキング : 5,379

おすすめ平均 star
starストーリーテリングの妙は相変わらずだが...
star「テロリストのパラソル」とあわせて読め!
star相変わらず会話の妙にうならされます

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<STORY>

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東京の広告代理店に勤める「辰村」。

幼少の頃大阪で過ごした彼は、幼馴染の明子と勝哉との間に、決して人には言えない

ある秘密を持っていた。


あれから時は流れ、それぞれが別々の人生を歩んでいた最中、

辰村はある新会社の広告宣伝の競合プレゼンテーションに参加することになる。

競合会社の比べても条件的に厳しい戦いを強いられていた頃、彼は突然スポンサー役員から

呼び出しを受ける。その役員はかつて彼の幼馴染であった明子の亭主でもあった。


そこで辰村は明子夫妻が何者かによって送られた脅迫状を目にする。

しかしそこにはあの秘密が書かれていたのだ・・・・。

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話の展開は比較的テンポ良く進みます。

辰村の幼少時代の描写が少々長いような気がするため、この部分が後に話のキーになるんだろうな

と思っていると、現代に戻ったくだりからやはりその時代が関係した事件が始まったりします。

この辺りが若干まったりした感じにも捉えられるのかもしれません。


私が注目すべきは、この人物描写。

主人公辰村は、ちょっと昔のハードボイルドを背にした、男気あふれる人物。

ちょっと向こうみずなところがあって、でも何故かほおっておけない人物。

仕事に対して、周囲の人に対して非常に熱い男です。なかなか魅力的なため、彼を追って

行くうちにどんどん話に引き込まれて行くことでしょう。


また、冒頭ではキャリアウーマンな雰囲気を撒き散らす、女性上司。

彼女は中盤非常に人間的なエピソードを漏らす辺りから、辰村のよきパートナーとして

彼を支える側に回ります。

この辺りは辰村の男としての魅力を伝える役回りなのかもしれません。

でもちょっと格好いいな、彼女。


そして、現役官僚の父を持つ戸塚。

彼は中途入社で採用されたばかりの新人。戸塚が男になるさまも中々見ものです。


著者は以前広告代理店電通に勤めていただけあって、このあたりの描写はさすがです。

もし、ここに近い業界に勤めている方や、それに近い仕事をしている方などは、こういった意味でも

面白いのではないでしょうか?理不尽な会社組織などにも妙に共感できたりします。


エンディング含めて評価の分かれる作品かもしれませんが、

色気のある、そしてたくましい男性像に引き込まれた私にとってはなかなか楽しめた1冊です。


さて、この著者。他にも面白い作品を書いています。

貫井徳郎あたりが好きな方は彼の過去作品も読んでみて下さい。オススメ。


テロリストのパラソル てのひらの闇 雪が降る ■テロリストのパラソル

「シリウスの道」に登場する人物も出てきます。コチラも一緒に読むと楽しさ倍増!


■てのひらの闇

ここに出てくるオトコも格好良いんです。

確実に惚れます!


■雪が降る

泣ける話が集まった短編集。秀逸。

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