2007年02月03日

手紙 / 東野圭吾

テーマ: 東野圭吾

東野さんってどうしていつも私を悩ませるのだろうか・・・。

この手紙は弟の学費を稼ぐために強盗殺人を犯してしまった兄と、その弟のことを描いた作品です。ニュースなどで殺人など話を聞くたび、被害者には同情し、加害者には憤る。でも、その加害者の家族にまでは想いが達しないのです。想像力がない私を補ってくれるようなストーリーに、ため息が出ました。東野さんの作品は、どれも読み終わると複雑な気持ちになります。


弟の学費を得るために強盗殺人を犯し、服役中の兄・剛志から月に一度届く手紙を弟・直貴は複雑な気持ちで眺める。進学や恋愛、就職などあらゆるところで直貴が幸せになろうとすると「強盗殺人犯の弟」というレッテルが邪魔をする。どんなに自分が努力しても、すべてその一言で覆される現実に直貴はショックを隠せない。直貴を大学に行かせたいという理由で罪を犯したと知ってはいても、兄を憎む気持ちがだんだん強くなる。

犯罪加害者の家族は差別をされる存在なのか・・・。

加害者の罪はいつか償えるのだろうか・・・。

どんなに努力しても、たった一言「強盗犯の弟」という言葉だけですべてが帳消しになってしまうつらさ、葛藤、憤り。直貴の気持ちが手に取るように伝わってきました。自分が何をしたわけじゃないんだからと思っていても、周囲はそう思ってくれないんですよね。結局のところ人は「血」というのを信じていて、強盗犯と同じ血が流れているという事実が不安にさせるだと思います。人間としての防衛本能ですよね。かわいそうだとは思うけど、自分は関わりあいたくないというのが本音なんだと思います。心が痛みました。こうやって本を読んでいるだけだから「直貴がかわいそう!」って思うのだけど、私だって実際に身近にそういう人間がいるとわかったら普通に接することができるかどうか・・・。別に直貴が悪いことすると思うまではいかなくても、なんとなくぎくしゃくしてしまうんじゃないかな。


直貴が勤めた会社の社長が彼にこう言うんです。


差別はね、当然なんだよ。


我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。

自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる

-すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。

この社長は犯罪者の家族が差別され続けるのは、仕方のないことなんだと正当化しているんです。これから犯罪を犯そうとしている人に「犯罪者の家族は周囲から差別されるんだ」ということを思い知らせる必要があるってことでしょうね。そうすることによって犯罪を抑制できるのならいいのだけど、既に加害者になってしまった家族にとってはとてつもなくつらいことだと思います。犯罪者の家族であるという事実がどんなに隠しても一生ついてまわるんですから。

悩んだからといって解決する話ではないのですが・・・。

また1つ、東野さんは私の心に石を投げ入れていった感じがしました。


タイトル:手紙
著者:東野 圭吾

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2006年12月07日

赤い指 / 東野圭吾

テーマ: 東野圭吾

直木賞受賞作「容疑者Xの献身 」を書いた後の最初の1冊です。この本がデビューから数えて、ちょうど60冊目にあたる本らしいですね。


主人公はさえないサラリーマンの前原昭夫。家族は妻、中学生の息子、そして痴呆がすすんだ実の母の4人暮らし。そんな一家に事件が起きた。身内が殺人事件を起こしたとき、その家族はどうするのか・・・。刑事・加賀恭一郎のシリーズです。


さっそくですが。。。

この夫婦はとても愚かだと思う。特に夫の昭夫は最悪。何かトラブルが起きるたびに見ないふりをしてうやりすごす。できるだけ良いところにだけ目を向けて、あとは見なかったことにしておく性格なんです。読み出してすぐに犯人はわかってしまうので書きますけど、この家の長男が殺人をおかすんです。そう、中学生の長男ね。でも、この夫婦は息子の癇癪をなだめることに必死で、殺人をした息子を起こることもできない。昭夫自身も息子をちゃんと叱ることもできないし、妻がバカみたいに息子を甘やかしていても「自分は育児に参加してこなかったから・・・」とかいって、わけのわからない理由をたてにして見逃すんですよ。こんな夫婦、最悪。もうね、読んでいて腹がたって仕方なかったんです。痴呆のすすんだ母を妻が冷遇しても、なにひとつ文句言わないなんておかしすぎますよ。(まぁ、この妻も嫌なヤツなんですけどね)


とまぁ、物語の夫婦に腹をたてても仕方ないので、ここらで感想を。

この本がなぜ赤い指というタイトルなのか。なぜなら、これがキーになるから。東野さんの作品は中ほどでたっぷり伏線はって、最後にどーんと驚かせてくれるのがおもしろいと私は思っていたんですけど・・・。残念ながらこの作品はそれほどでもなかったです。なんとなく途中から結末が見えてきていたし、うむむむーって感じでした。あまりに愚かな夫婦に腹を立てながらも、結末が見えてしまった私にはイマイチ物足りない作品のように感じました。受賞後1作目にしては、気合いがたらないと思ってしまったのは私だけでしょうか・・・。


辛口コメントになってしまってごめんなさい。

タイトル:赤い指
著者:東野 圭吾
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2006年09月02日

時生 / 東野圭吾

テーマ: 東野圭吾

時間の時に、生まれると書いて「時生」。それが宮本拓実夫婦に生まれた息子。不治の病をわずらう時生に最後のときが訪れたとき、拓実は20年以上前に出会ったある少年との思い出を語りだす。それはずっと忘れていた過去の記憶。

「ずっと昔、俺はあいつに会っているんだ。」

23歳のの拓実の目の前に突然現れた「トキオ」と名乗る少年。謎を残して消えた恋人の千鶴をトキオと共に探す旅にでた。トキオはいったい何者なのか・・・。


23歳だった拓実は自分が養子だったことを知った&その後に家族崩壊したせいで人生最悪の状態を過ごしているんです。きっかけはそれだけど、おそらく拓実の性格がもともと楽な方へ流れるタイプだったんじゃないかな。ストーリーの中でしょっちゅうキレているんだけど、あまりに瞬間湯沸かし器みたいな人なので「え!?そのタイミングでキレる???」みたいなところもいくつかありました。そんな馬鹿とも言える拓実を変えていってくれたのが突然であった謎の少年・トキオです。トキオが何者なのか疑問に思いつつも、なんだか不思議な親近感を覚える拓実。2人の微妙な関係がとてもよかったです。過去を変えることはやってはいけないと知っているから自分のことを秘密にしていても、ついつい未来のことを伝えたくなってしまうトキオの気持ちもよくわかる。それをぐっと我慢して必死に説得するトキオの姿がいじらしいくらいです。知らぬ間に息子によって未来を良いものに導かれていくことができたのは、いい意味で拓実が素直な馬鹿だったからかなという気もしてます。


時生がかかっているグレゴリウス症候群という病気は実際には存在しない病名らしいです。でも、それに近い病気は存在していると思います。男の子だけに遺伝するもので、染色体異常の病気で脳神経が次々に死滅していくものという設定でした。10代半ばくらいまで兆候がないが、発症してからは運動機能障害、意識障害と順番に発症し、2~3年で最後は脳が停止してしまうというもの。生まれたとき、いや、生まれる前から不治の病にかかると知りながらその子を産むのはとても勇気がいったと思う。「あの子に聞いてみたかった。生まれてきてよかったと思ったことがあるのか。幸せだったかどうか。」という最後を迎えた息子を前にして言った母親のセリフがこの本のキーになっていると思います。こればっかりは本人しかわからないと思うけど、私が思うに時生は幸せだったんじゃないかと・・・。


「明日だけが未来じゃない」

トキオの言葉が、とても心に残っています。

タイトル:時生
著者:東野 圭吾
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2006年08月14日

容疑者Xの献身 / 東野圭吾

テーマ: 東野圭吾

容疑者Xの献身 東野さんの直木賞受賞作品です。読み終わってはいたのですが、ようやくゆっくりパソコンの前に座れたので感想を・・・。


数学だけが生きがいだった男・石神が主人公。石神は高校の数学教師だが、通学途中に毎朝よるお店がある。そこは隣人の靖子が勤めるお弁当屋さん。毎朝、彼女の顔を見たいがために靖子が出勤している日は必ずお弁当を買いに行くのだ。ある日、靖子と娘の美里が人を殺してしまったのを知った石神は、2人を命に代えても守る決意をした。しかし、それに対抗するのは昔の友人・湯川。警察にいる友人のためにアドバイスを与えるのだが、こちらもやはり石神と同じく天才。石神はどこまで犯罪を隠しとおせるのか、そして、2人を守ることができるのか・・・。


石神は隣の部屋にすむ靖子親子が犯してしまった殺人を、なんとかして隠蔽してあげようとします。2人のアリバイを考えてあげたり、死体を処理したり。石神の頭のよさは並大抵ではありません。数学にささげてきたものすごい才能を、この母と娘のために使うのですから警察がいくら調べても完璧なんです。ちょっと調べたらボロがでるようなアリバイではないので、この母娘は容疑者になったにも関わらず犯人としての決め手が見つかりません。石神はいったいどんな作戦でこの2人を守ったのか。ここで書いてしまうとつまらないので書きませんが、すごいです。こんなにも誰かのために自分を捧げることができるのかと驚きました。愛とかそういうレベルではないのかもしれません。この本はミステリーなのか、恋愛物なのかわからなくなりました。でも、殺人を隠蔽しようとした石神の作戦は私に想像もできないものでした。


石神と湯川の対決もなかなかのものでした。彼もやはり頭がよいだけに、警察官が見抜けなかったような石神のトリックを湯川は気がついてしまうんです。古い友人が守ろうとしているものを思うと今回ばかりは警察の味方をしたくない湯川。2人のやりとりがとてもよかったです。


自分の人生をかけて誰かを守る。たとえそれが報われなくても。

ちょっと歪んでいる気もしますが、やっぱり愛なのかもしれないですね。

タイトル:容疑者Xの献身

著者:東野 圭吾

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2006年04月25日

幻夜 / 東野圭吾

テーマ: 東野圭吾

ドラマ化された白夜行 の続編とも言われる作品です。 読みながら「亮司も雪穂もでてこないし、なんでこれが続編なんだ?」ってとても不思議だったのですが、終盤にかかってようやく納得。やっぱりこれは続編なんです。でも、白夜行と一番違うところは、主人公の2人の感情がちゃんと見えているところ。亮司と雪穂は作品中で2人が会うところなんて一度もなかったんですけど、この作品では主人公の2人がしっかり会っています。


ちなみに、今度の主人公は雅也と美冬の2人です。時代は白夜行よりも少し現代に近づき、阪神大震災のシーンから始まります。震災の混乱のさなか、雅也と美冬は被災地で出会います。美しく冷酷な美冬に恋した雅也と、自分の意のままに操れる男を手にした美冬。美冬は雅也の助けを借りて、男を利用してどんどんのし上がっていくのです。もちろん不要になった男を捨てるときは、徹底的に排除して・・・。

そして、事件が起こるたびにそんな彼女に疑惑の目を向ける刑事・加藤の存在。

雅也と美冬は本当に幸せになれるのか。


美冬はかなり怖いです。なにが彼女をここまでしたのか。彼女自身の感情や思考が書いてあるだけに、白夜行の雪穂の時よりもぞっとしました。美しく聡明な女性に悪知恵がついてしまうと、とてつもなく怖いことがおこります。男でも女でも、邪魔なものは徹底的に排除してく姿勢はものすごいです。そして、そのために仕掛ける罠の巧妙さ。頭のよさは認めますが、人間性としては・・・。最終的に彼女が求めているものはなんなのか、最後まで読んでもわかりません。白夜行の時と同じ「お金・地位・仕事での成功」なのでしょうが、これらを手にして仮面のような表情で暮らしていく美冬は本当に幸せなのでしょうか・・・。



タイトル:幻夜
著者:東野 圭吾
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