カクレモグノミのブログ

アートと歴史を感じるものの事を
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8月の夏休みを利用して歌舞伎座にて、「野田版桜の森の満開の下」を見て来ました。内容が良いのはわかっていましたが、勘九郎さん七之助さん染五郎さんの野田演劇へのハマりっぷりが心地が良く本当に良い夏の思い出になりました。

歌舞伎のパンフレットに野田さんのエッセイが見開きで掲載されていました。
シアターガイドの対談と合わせてじっくり読んでからいざ観劇と参ります。

今回歌舞伎座なので安い席を取ってお子様も連れて行くつもりでした。歌舞伎はそんな初心者にも優しい設定金額のお席があってありがたい〜なんて思っていたのに予想外に三等からはけてしまっていました。そういうもの?S席からはけるんじゃないんだ?約束してしまった手前仕方なく結構なお席で親子鑑賞となりました。

インタビューで染五郎さんも遊民社の舞台を見たそうだ。あの舞台で俳優人生を見直すきっかけになったと話す染五郎さんと同様に私もあの舞台で、人生を変える事こそなかったものの自分の進路や未来に対し真剣な想いを熱くした思い出の舞台だ。
最近あらしのよるにの歌舞伎版や俳優祭をテレビで見て歌舞伎に興味をもったポチとネコ(別に子ども達に伝統文化を触れさせようとか全然思ってないけど、私が好きで家で見ている側で一緒に見ていてだんだん好きになったらしい)私が野田秀樹の言葉を人生の支えにし始めた頃に出会った舞台が歌舞伎になるのも何かの偶然なのか縁なのか。親子3人で一等は痛い出費だったがやっぱり行って良かった思い出深い夜となった。

野田版歌舞伎も前作から結構あいたのは勘三郎さんがいない野田版歌舞伎への違和感と喪失感との事。それを乗り越えてまたこうしてよくぞ続いてくれました。
野田さんは勘三郎さんがもしいたら、という話をなさっていました。もしいたらこの耳男役はきっと渡さなかっただろうと。でもねぇ、ホントにこの耳男役は勘九郎さんを待っていたに違いないと思う程ハマリ役。この耳男役は勘九郎だからこそ成立したと思う。見る前から勘九郎さんの耳男が夜長姫に振り回されて戸惑い舞台を駆け回る姿が目に浮かんでくる。前回の再演は大好きなキャストだったのになんかキャラが合わないような気がしてなんとなくしっくりこなかった分今回の再演は楽しみでたまらなかった。

確かに勘三郎さんもそんな戸惑い彷徨う姿は似合うだろうけど、勘三郎さんには周りを振り回すイメージも強い。この耳男役は野田さんの30歳位の作品、この作品の中の耳男の野心はやはり役と同世代の勘九郎さんの方がピッタリくる。この作品が勘三郎さんご存命のうちに具体化しなかったのは勘九郎さんと七之助さんを待っていたみたい。確かに勘九郎さんの耳男は弱くて不安でいっぱいなのに野心があって七之助さんの魅惑的な夜長姫に振り回されて飛び回って冒険する姿はぴったりだ。

セリフが七五調に書き直されたらしいがその変化に違和感など微塵も感じないが歌舞伎の舞台装置に上手く馴染んでいていい感じ。少し手作りの温もりのあるような舞台セットはかえって遊民社時代のそれを思わせて懐かしいような馴染み具合。セット自体も遊民社時代の物とおなじでないもののイメージはそう遠くない感じで作られていて記憶の中の初演版と大きくズレはないようだ。

今回歌舞伎独特のサービスで音声ガイドがありました。幕間に野田さんのインタビューがあるというので子供達用にお借りしたのに始まると耳元でささやかれてくすぐったくなって邪魔だからといらないというので私が聞いてみました。野田さんの独特な世界をていねいに解説してくれて、壬申の乱の設定とかぼんやり思い出す事が出来ました。
幕間のインタビューも結構たっぷりで最後に後でこんなのを見たなと思い出してくれたら、みたいなメッセージにポチはいたく感激しておりました。

昔は気がつかなかった細かな小ネタに気がつけた事が良かった。
例えば、冒頭の3人の鬼女はマクベスっぽいとか。
染五郎さんがイルカを背負っていたのはオオアマが天智天皇の子供で天智天皇は蘇我入鹿を倒して天皇になったから、イルカを捕まえてるのでは?なるほどぉ〜この辺りはまさに音声ガイドの解説がヒントですが真相はいかに。
大江戸りびんぐでっどでも冒頭イルカの干物になってましたね。逆鱗の中のイルカ君も澄んだ目をして大義のために命を賭ける事に迷いなく飛び込める人、このオオアマと少しテイストは違いますが通じるところのあるキャラクターでした。染五郎さん可愛いです。
それから、こないだ観た足跡姫のラストシーンがまさかの桜でこの『野田版桜の森の満開の下』に繋がっていた事。あの猿若の
「やがて猿若勘三郎の肉体が消える。だが消えたのに消える事なくずっと続いてみせる。(中略)姉さんのひたむきは生き返る。あの無垢の板で出来た花道の先、大向こうでひたむきな心は生き返る」
このセリフのように消える事なく次の代の勘九郎さんが演じている。こうして足跡姫の続きが2月の猿若祭へ続いて、こうして8月歌舞伎まで続いていた事の感動は全て見届けた者としてはたまらないものがあります。

演者さんについて言えばまず、染五郎さん。
この方芝居はもちろん2枚目から三枚目、ヒールと幅広くこなしますね。2枚目はもちろん爽やかでも悪者でもみんなカッコいいどれもカッコイイのですが今回もコミカルでいい感じの悪者で可愛かったです。染五郎さんはプロデューサーとしてもすごく才能がおありになりますよね。歌舞伎役者の方の中では1番センスがイイと思うので今回の経験を踏まえてさらなる表現に期待します。これまで通りまた次回の野田版には絶対出て欲しい!
七之助さんの夜長姫も本当にぴったりで、夜長姫と言えば毬谷友子だった私ですが、七之助さんならあり。
女形独特の浮世離れした感じがそのまま夜長姫の不思議な存在感となって美しくて可愛いくて残酷な姫が降臨したって感じで痺れました。良いとか悪いとかいう事ではないのですが不思議な事に男性であるのに声自体は深津絵里さんより七之助さんの方が毬谷友子さんに近い気がします。毬谷友子夜長姫がしっくりくる私には七之助さんの夜長姫はドンピシャでありました。
そして勘九郎さんの耳男ですよ。もともと勘九郎さんぴったりだなとは思っていたんですが、想像以上。
そして、どことなく勘九郎さん若かりし日の野田さんに雰囲気が似ていらっしゃいます。
そして遊民社作品の根幹であるスーパーボールのような動きのある演技。これ勘九郎さん見事に体現されてます。こんなにポテンシャルが高いとは野田さん自身もきっと思ってなかっただろうな。今の勘九郎さん自身が重なって見えて物語が凄くしみてきました。
勘九郎さん野田地図にもまた出てください。強く希望します。

野田さん自身の若い頃を描いた青春の記念碑のようなこの作品。自分の心の醜い部分を吐き出すように作った鬼の彫り物が傑作となったのに、世間に認められて高い地位を手に入れてから作った大仏の顔がへのへのもへじで凡作であった事。そんな自分の醜さやズルさ汚さに向き合い葛藤した日々が青春だった。そんな青春の日々を共に駆け抜けた美しくて残酷な姫は創造をもたらすミューズなのか芸術そのものの化身なのか。
初めて観た時、そんな自分と同じように天才野田秀樹が葛藤していたんだと共感に似たような不思議な感動で涙が止まらなくなったのを思い出した。

さて、初めて歌舞伎を観たポチとネコですが、意外な事に2人ともとても感動しておりました。ラストシーンの桜の場面ではやっぱり泣いていました。正直わからないと言われるだろうと思ってました。
子供達にとっての生で見る初めての歌舞伎が野田版で良かったなと思います。家で映像でいくつか私のそばで野田地図の舞台を見ていたポチとネコ、野田演劇に生で触れて生意気にも野田さんのファンになったようでした。
春夏秋冬シリーズ歌舞伎、シアターガイドのインタビューでは花火師の話と言ってましたが次回作も楽しみです。また明日へのチカラをいただきました。

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