JR西日本のICカード「ICOCA」のエリアが山口県の県央・県西部に広がって2週間。各駅では少しずつ鉄道利用者に浸透しています。JR九州の「SUGOCA」とエリアが接する下関駅でもICカード出場時、両エリアでレーンが分けられるなど、境界駅ならではの動線に変わっています。

 

 

下関駅の改札口。ICカード出場時、ICOCAとSUGOCAでレーンが分けられました。動線はそれぞれのコーポレートカラー(JR西日本・青色、JR九州・赤色)で示されています

 

 

 

4月1日から新たにICOCAエリアとなったのは、山陽本線の新南陽ー下関と、山口線の湯田温泉、山口の計22駅です。初日の有人駅では駅員が自動改札機の近くに立って案内するなどしていました。

 

 

新下関駅新幹線口の在来線改札。ICカードでは九州方面に直通できないことが大きく掲示されています

 

 

 

SUGOCAエリアと接する下関駅の自動改札機は、ICカード出場時に九州から来た乗客は赤色のレーンを、本州側からは青色のレーンを進むように変わりました。ICOCAが始まった1日は土曜日で多くの買い物客らが同駅を利用していましたが、駅員はプラカードを持ってレーン分けの対応をしていました。

 

 

2週間たった今も列車が到着するたびに、それぞれのレーンを進むよう放送で呼びかけているほか、電光掲示板などでも周知されています。

 

 

下関駅の改札前の動線。スムーズに出場できるように工夫されています。境界駅らしい光景になりました

 

 

 

私は1日以降に何度か下関駅を利用しましたが、ICOCA、SUGOCAともそれぞれ2レーン(ICOCAは入場レーン兼用)しかないため、混雑時には渋滞したり、入場が続くタイミングでは自動改札機の前で待つなど、スムーズに出場できない状況が見られました。

 

 

 

下関駅ではホームやコンコースなど各所にICOCA関係のポスターを掲示しているほか、電光掲示板でも出場レーンを案内しています

 

 

 

山口県西部の山陽本線でICOCAを考えるとき、一番の課題はSUGOCAエリアに直通できないことです。下関駅でもあちこちにポスターが貼られ、同駅以外から九州方面に向かう際は事前に切符を購入するよう、周知が徹底されています。

 

 

ただ、下関市民に限って言えば、定期券以外の利用客はICOCAが北九州市方面に使えないとなると「無理に持たなくてもいいかな」となってしまいそうです。また、下関市内で路線バスを運行するサンデン交通では既に西日本鉄道のICカード「nimoca」を導入しており、普段からバスを利用する人はJRでもそちらを使いそうです。

 

 

下関駅で並ぶJR西日本の115系3000番台(右)とJR九州の415系1500番台。山口県内の山陽本線から九州方面へは同一ホームで乗り換えできることが多いのですが、定期券以外のICカード利用では、ここに「見えない壁」があります…

 

 

 

ともあれ、切符を買わずにそのまま列車に乗れるのはやはりラクです。まちでは当たり前になっているキャッシュレスに、ようやく鉄道が追いついた形となりました。

 

 

まちなかの決済手段が多様化した今、クルマ社会の地方都市にICOCAがどのくらい浸透するかは見通せませんが、磁気定期券からの切り替えは徐々に進んでいるようです。自動改札機のICカード入出場時のタッチ音は、今後もっと聞かれるようになるでしょう。

 

 

 

 

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