これまでお話しして来ると、
耳を傾けるということは、簡単なことではないことが
わかってきますね。
今日お話しする傾聴を邪魔してしまう要因というのは
「励ましや慰めを急ぐこと」です。
目の前の要支援者の話を聴いていて、
おもわず、「だいじょうぶだよ」「元気だして」といった言葉を
かけたくなることがあるかもしれません。
「わすれなよ」「気持ちをきりかえて」などともいいたくなることがあるでしょう。
シンプルに、正直に、
相手を、勇気づけたい、元気になってほしいという思いから出る声かもしれません。
かけられた側はどうかしら?
うれしいこともあるかもしれません。
だけど、カウンセリングにいらっしゃる方たちの多くは、
すでにそうした言葉を周囲からかけてもらっても
どうにも心が変化できず、苦しみ続けていることがあります。
そんな体験をしている人にとってこのような声掛けは、
心に届くどころか、
「やっぱりわかってもらえない」という気持ちにさえしてしまうかもしれません。
支援をしようとする人たちは、共感する力をもっています。
だからこそ、いっしょに悲しくなったり、つらくなったりということも
あります。
「共感疲労」なんて言葉もあるくらいです。
ですが、自分自身が感情に耐えられなくなって、
こうした声を急いでかけてしまうとたん、
相手の心に耳を傾けることはできなくなっていることに気づいておかないといけません。
どんな感情も感じてはならない感情はありません。
苦しみも、哀しみも、
怒りも、寂しさも、です。
つまり、どんな感情も否定しないでいいのです。
だけど、ひとりで抱えるのはとっても大変。
カウンセラーというのは、
不安をなくすためにいるというよりも、
安心して不安を抱えていられるためにいる存在だと思っています。
安心して、苦しみや悲しみや怒りを抱え、向き合い、
認め、否定しないでいられるために必要な支援者です。
支援者自身も人間ですから、特定の感情を恐れてしまうこともあります。
でも、どんな感情も否定しない、一緒に抱えてみる、
そんなことを大切にできるときがあれば、
それは傾聴ができている時かもしれません。