3/16
春。
たんぽぽの綿毛を飛ばした幼い頃、私はその種が、どこか遠い見知らぬ国の川辺で花を咲かせる様子を想像しては、ドキドキしていました。
1本の綿毛はたよりない。でも、皆でたくさん集めたらどこまでも行ける。
どこへだって行ける。
☆『たんぽぽのふね』
(まるやまあやこ作/世界文化社)
紙の絵本であることがありがたく思えるような、心が高くのぼり、広がる、美しい世界。
霞みがかる空、透き通る綿毛、ノアの方舟を思わす穢れなき者たち……
〈もう かぜが いくら ふいても へいきです〉
「たんぽぽのふね」は、作者まるやまあやこさんが生まれ育った安曇野へ向かうと、あとがきに記されています。
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3/16
昼間、ある住宅の前を通りかかった時、自転車にまたがった14歳くらいの男子がいて、やけにそわそわ緊張が伝わってきたので?と思ってたらドアが開き同い年くらいの女子が出てきた。
男の子がぶっきらぼうに「ハッピークリスマス」って何か渡して、女の子が「ホワイトデーだろ」と。
いいものをみた。
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3/17
仕事の合間にハッピーセット(マクドナルド)。
きたがわめぐみさん作『おわにさま』。
テーマは“過干渉と自立”……アハハうそうそ。ひたすら可愛くて楽しい、読んだ後に会話が広がるお話です👍🏻✨
(わたし、「よみきかせだいじん」やりたい。もしくは「だい2おやつだいじん」)
やっほう、和みましたー!
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3/18
ドラマ「100万回言えばよかった」最終回。
愛はねこを滅ぼさなかった。
愛はねこに生きるちからをあたえた。
愛と命のなにかを知ったねこは笑顔で立ち上がり、強く大地を踏みしめ、歩きはじめるのだった――
そうきたか。
いいドラマだった˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.
◇『100万回生きたねこ』
(佐野洋子/1977年 講談社)
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3/19
『詩と散策』(ハン・ジョンウォン著/橋本智保訳/書肆侃侃房)
しんとした佇まいにひとめぼれした一冊。詩とエッセイ。(装画は日下明)
この詩人は、歩くよろこびをほんとうの意味で分かち合える真の友に違いない。
(読者ってこうだよね)
25のエッセイを、もったいないのでひとつずつ。
風景を眺めながらひと足ひと足。
「猫は花の中に」と題されたエッセイを読んでいたら、ふいに金子みすゞの詩が現れた。
みすゞさんの「蜂と神さま」が引用されている。
かつて散歩時に餌をやった猫と桜の風景を見て、著者は、冬の終わりに伝染病で死んだ子猫を想っている。
〈蜂になっただろうか、花になっただろうか〉
〈それがなんであれ、きっと美しいものに〉
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3/20
エミリーの犬は、大きな(家より大きい)あかい犬・クリフォード。
困ったところもあるけれど、いいところはもっとある。
コンテストで1等になれなかったけど……
〈そんなこと もういいの〉
愛だろ、愛。
◇『クリフォード』
(ノーマン・ブリッドウェル/椎名かおる/あすなろ書房)
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3/22
山内マリコ著『一心同体だった』(光文社)
裏表紙に記された通り、この小説は「わたしたちの平成三十年史」。
喜びも悲しみも痛みも希望も……その道を通ってきた者だけに通じる言葉というものがある。それを痛烈に感じた。
(それ、ちょっとした絶望でもある)
絵本『ディアガール』がちらっと登場。
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3/24
可愛らしく儚げで、実は誰よりたくましい……
ちいさな子どものちいさなお話が3編収められた、19cm×14cmのちいさな絵本。
薄らと透ける標題紙に蜜蜂。
その向こうにはたんぽぽが描かれています。
こだわりの装幀
春のやわらかな気配を胸に。
◇『金曜日の砂糖ちゃん』
(酒井駒子/偕成社)初版2003年
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3/27
たくさんの情報が載っている図鑑もいいけれど、“その世界”をまるごと体感するために――
科学絵本、それも美しく緻密に描写された絵本を、お子さまにぜひ。
冬の間、土の中でも、たんぽぽは準備しています。
ゆっくりと手順を踏み
花を咲かせ、
そしてつぎへ、つぎの世界へ……
☆『たんぽぽ』
(荒井真紀 文、絵/金の星社)
京都
3/29 京都のふたば書房御池ゼスト店にて。(相互フォロー)児童書担当の伊達さんとお会いすることがができました。
いい絵本がたくさんです。
手描きのPOPはどれも心がこもったあたたかいもの。
ふたば書房伊達さん、ありがとうございました!
🌸 絵本コーディネーター東條知美