死の宣告 | 甲状腺の扁平上皮癌

死の宣告

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先週金曜日に都内の大学病院内分泌外科。今日、地元の大学病院乳腺・内分泌外科へセカンドオピニオンで行ってきた。


病院選びには苦労したが、甲状腺癌で有名な大学をリストアップして、担当の医師&看護師にも相談しつつ、今、入院している病院の系列では無いということと、頭頚科じゃないところを重視して選んだ。


両方の病院でほぼ同じ事を言われたので、言われたことをまとめておく。

甲状腺癌の扁平上皮癌はとても珍しい病気なので、まだ標準治療も確立してない

その中でも効くとされている抗がん剤はシスプラチン系とタキサン系(ドセタキセル等)

うちの母の場合、その両方とも使用しているので、今現在、標準治療としては最善の治療(抗がん剤+放射線)をしている

本当に初期の初期であれば、手術で取ることも可能だったが一番最初の検査の時には食堂と脊髄を腫瘍が取り囲んでいたので、手術ということも考えられなかったのではないか

放射線を終えた現在での手術は考えられない←放射線で周りの血管まで痛んでいるので手術には耐えられない

民間療法は薦められない←医学的に根拠の無いものは逆に悪くなることもある

免疫細胞療法←進行性の早い癌ではあまり効果が見えない。腎臓などで手術で患部を採取できた場合それを元に行う事はあるが、甲状腺癌には効果は疑問的。

ワクチン療法←甲状腺癌においての効果は疑問的。

癌細胞にエタノールを注入して進行を止める?←穴が開くと大変なので(たぶん食道のこと?)現実的ではない。

腎癌用の分子標的薬が甲状腺癌にも効くかもしれないとのことだが、使えるようになるのが2年後位になるので、間に合わないだろう。

重粒子線(陽子腺)がん治療は放射線の後でもできるが保険が利かない為、1300万ぐらいかかる。今、現実的にできる治療としてはこれしかないのでは無いか。


今、現在の医療では最善の治療をしているというのが、両大学病院の医師の言葉だった。

それから言われたのが、家に帰るタイミングを逃してはいけないと。

進行の早い癌の為に、治療に拘り過ぎると、副作用の対応をしているうちに、家に帰るタイミングを逃してしまうという意味合いだと思う。


両医師からの手紙を担当医に渡し、これからの事を話した。

今現在、母の状態は白血球が一時100まで下がり、40度の高熱と吐き気が酷く、他の治療を受けられる状態ではない。2クール目の抗がん剤の副作用なので、徐々に回復には向かっているが(今日現在の白血球は2300まで回復)、この抗がん剤の効果があったとしても、次にもう一回というのは副作用の事を考えるとすすめられない。


重粒子線治療(陽子腺治療)の事を聞いてみる。

前に話があがった時も否定的だったのだが、その時はどんな治療か分からなかったので、もう一度きちんと聞いてみると、母の癌の場合、食道に穴があいてしまう危険性が高い為にすすめられないと言われる。


2クール目の抗がん剤を決めた時も、一応用意はしていたが、本当は残された時間を大切にして欲しいと言いたかったようだ。うちの母のどうしても癌を克服したいという強い思いを組んで、2クール目の抗がん剤を始めたが、奏効率が2割ということと、副作用の強さ、そういった諸々を考えるとという意見だった。


母の強い意志に僕らも同じ気持ちだった為に、2クール目の抗がん剤の決定には異論は無いが、今の副作用で弱っている母をみていると、今後、ほとんど可能性の無い治療の為に残された時間を使うのはどうかと思えてきた。


高熱と吐き気で辛い思いをしている母に全てのことを話す。

症状をみながら、良くなってから話そうかと思っていたが、母の方から聞かれた時に嘘は言えなかった。

涙を流しながら母は聞いていた。

死の宣告をしたような気分だった。


どうしたらよいのかぎりぎりまで考えて、いまだに何が良いのか分からないけど、

母の気持ちを考えると、もっと言わなきゃいけない言葉があったんじゃないかと思ってしまう。