トコジラミは、「紙一枚」が入る隙間ならば入ることができるという。
成虫のトコジラミって、いくらなんでも紙一枚よりは厚みがありそうな気がするのに。
それでも入ることができるとは。
敵ながらスゴイぞ。
狭い隙間が好きなトコジラミ。
今も紙一枚程度の隙間にピッタリ収まり、
「はぁ~落ち着く~」
などと思っているのだろうか。
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これまでのいきさつ:
我が家にトコジラミがいる。
トコジラミがベッドに登ってこられないよう、マットレス側面にはハエトリ粘着シートを貼りつけている。
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かつて、夫とベッドを買いに行ったときのこと。
わたしが選んだのがワイドダブルのベッドだったので、夫はこんなことを言った。
「ダブルかクイーンにした方が良くない?」
ワイドダブルは他のサイズに比べて少数派だ。
夫は、定番サイズと比べシーツの種類が少ないのではないかと指摘してきた。
だけどわたしは、「大丈夫、大丈夫」とその意見を流した。
だって、ダブルよりは広い方がいいけど、クイーンでは大きすぎると思ったから。
ワイドダブルのシーツは、実店舗にはないこともあったが、ネットには豊富にあった。
ほーら。
やっぱり大丈夫だった。
そう思っていたのだが……
昨年、好みの柄物のボックスシーツを見つけた。
しかし、そのシリーズにワイドダブルのサイズはなかった。
だったらサイズの合う他の物にすれば良いのだけど、その柄が好みだったのだ。
だからわたしは、一つ上の「クイーンサイズ」を購入することにした。
大は小を兼ねるのだから、大丈夫、大丈夫。
クイーンサイズのボックスシーツをワイドダブルのベッドにつけると、当然ピッタリとは合わなかった。
でも、多少ゆとりが多いものの別におかしくはなかったし、普通に使うことができた。
良かった良かった。
そうしてわたしは、そのシリーズのボックスシーツにすべて買い替えることにしたのだった。
そんなわけで、我が家のシーツはすべてクイーンサイズとなった。
なんの問題もなかった。
ところが。
トコジラミ騒動が勃発し、トコジラミ対策としてマットレス側面にハエ取り粘着シートを仕掛けることにしたとき。
困ったことに気がついた。
「あー。これだとダメだ……」
ボックスシーツがマットレスにピッタリとフィットしていないと、ハエ取り粘着シートを上手く貼りつけられないのだ。
厳密にいえば、貼りつけることはできるけど、ヘンなしわが寄り、そこに隙間ができてしまうのだ。
隙間ができてしまえば、最後。
そこからトコジラミがベッド上に上ってきてしまう。
最初は、しわが寄ることによってできた隙間をすべてテープで塞ぐことで対応していた。
けれど、途中で断念。
結局は、トコジラミ対策の断捨離の最中、新たにワイドダブルのボックスシーツを購入するはめになった。
ワイドダブルのマットレスにつけたワイドダブルサイズのボックスシーツは、当然ながらシンデレラフィット。
ピッタリとマットレスに沿っているシーツには、ハエ取り粘着シートが格段に貼りつけやすかった。
貼りつけ作業をしながら、わたしは高2の夏を思い出していた。
サイズの合わない靴を履き、血豆を作ったあの夏のことを。
大事なのはサイズ。
とにかく、サイズ!!
今度こそ、今度こそ忘れるものか。
これから先、わたしは何よりも「ピッタリしたサイズであること」を最優先して生きていこうと思う。
紆余曲折を経てたどり着いたこの結論を夕食時に夫に話すと、夫はおかしそうに笑った。
「そう言うけどさ。
トトリってば……
今着てる服が、
すでにサイズ合ってないよー!」
アハハ、と肩を揺すって笑っている。
は?
ちょっと、なに言ってるの?
これは、オーバーサイズ!
ビッグシルエット!
「わざと」大きい、
そういうファッションなの!!
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