多少の理不尽なことは
受け入れて赦すのが
「愛」だと思うのだ。
受け入れるべし。
赦すべし。
そこに愛があるのなら。
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これまでのいきさつ:
我が家にトコジラミがいる。
トコジラミとの戦いに勝つために、
トトリはミニマリストを目指す。
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冬の終わり頃だったろうか。
夫が「これ買いたいんだよね」と、スマホ画面に表示させた商品を見せてきた。
チラリと視線を走らせたあと、わたしは大きなため息をついた。
「あのさ、今の状況、分かってる?
我が家は今、トコジラミとの戦いの真っ只中なの。
物の量が戦いの勝敗に大きく影響すると言ったでしょ」
だから、わたしがガンガン物を捨てているというのに。
夫は全然状況を理解していない。
「物があるとね、トコジラミに隠れ場所を提供してしまうことになるの。
だから物を減らしたいの。
ミニマリストになりたいの」
ぜんぜんピンと来ていない様子の夫に、とどめを刺す。
「だ・か・ら!
今は物を減らしていくべき局面なの。
物を買って増やしている場合じゃないの。
買わないでよね!」
平時なら、いつ何を買おうと、好きにすれば良い。
実際、夫から
「これ、買おうかな」
と言われたら、わたしはいつも
「買えば?」
と答えてきた。
でも今は!
平時ではないから!
戦闘中だから!
もうさー、
頼むから物を増やさないでよね!
さて。
先日のこと。
来るべき同窓会が楽しみで、楽しみで。
楽しみすぎたわたしは……
お買い物に行ったのである。
で。
服、買った!
靴、買った!
ヘアアクセ、買った!
コスメ、買った!
そしてバッグも買っちゃったー!
うふふ♪
紙袋をいくつも持って帰宅したわたしを見て、夫が一瞬「え?」という顔をした。
「あ……」
ここでわたし、我に返る。
いや、違うの、違うの。
これはね、あのね……
「平松愛理が『部屋とワイシャツと私』の歌の中で言っていたでしょ。
パーティーには『愛するあなたのため、おしゃれに行かせて』って。
つまりは、そういうこと。
同窓会には『愛するあなたのため』に、おしゃれに行かないといけないわけ。
だからこの買い物は、わたしのためでなく、あなたのためなの。
トコジラミとの戦いの最中だろうと、あなたのために、買わないわけにはいかなかったの」
「いや、別に、そんな言い訳しなくても、好きにすればいいけどさ……」
夫は苦笑いをしていた。
そうそう、言い忘れていたけれど。
愛するあなたに、
ご報告申し上げます。
家族カードで買いました。
お支払いよろしくお願いします!
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