多少の理不尽なことは

 

受け入れて赦すのが

 

「愛」だと思うのだ。

 

 

受け入れるべし。

 

赦すべし。

 

そこに愛があるのなら。

 

 

*****

 

これまでのいきさつ:

 

我が家にトコジラミがいる。

 

トコジラミとの戦いに勝つために、

 

トトリはミニマリストを目指す。

 

*****

 

 

 

 

冬の終わり頃だったろうか。

 

夫が「これ買いたいんだよね」と、スマホ画面に表示させた商品を見せてきた。

 

チラリと視線を走らせたあと、わたしは大きなため息をついた。

 

 

「あのさ、今の状況、分かってる?

 

我が家は今、トコジラミとの戦いの真っ只中なの。

 

物の量が戦いの勝敗に大きく影響すると言ったでしょ」

 

 

だから、わたしがガンガン物を捨てているというのに。

 

夫は全然状況を理解していない。

 

 

 

 

「物があるとね、トコジラミに隠れ場所を提供してしまうことになるの。

 

だから物を減らしたいの。

 

ミニマリストになりたいの」

 

 

ぜんぜんピンと来ていない様子の夫に、とどめを刺す。

 

 

「だ・か・ら!

 

今は物を減らしていくべき局面なの。

 

物を買って増やしている場合じゃないの。

 

買わないでよね!」

 

 

 

 

平時なら、いつ何を買おうと、好きにすれば良い。

 

実際、夫から

 

「これ、買おうかな」

 

と言われたら、わたしはいつも

 

「買えば?」

 

と答えてきた。

 

 

でも今は!

 

平時ではないから!

 

戦闘中だから!

 

もうさー、

 

頼むから物を増やさないでよね!

 

 

 

 

さて。

 

先日のこと。

 

来るべき同窓会が楽しみで、楽しみで。

 

楽しみすぎたわたしは……

 

 

 

お買い物に行ったのである。

 

 

 

で。

 

 

 

服、買った!

 

靴、買った!

 

ヘアアクセ、買った!

 

コスメ、買った!

 

そしてバッグも買っちゃったー!

 

うふふ♪

 

 

紙袋をいくつも持って帰宅したわたしを見て、夫が一瞬「え?」という顔をした。

 

 

「あ……」

 

 

ここでわたし、我に返る。

 

 

 

 

いや、違うの、違うの。

 

これはね、あのね……

 

 

「平松愛理が『部屋とワイシャツと私』の歌の中で言っていたでしょ。

 

パーティーには『愛するあなたのため、おしゃれに行かせて』って。

 

つまりは、そういうこと。

 

同窓会には『愛するあなたのため』に、おしゃれに行かないといけないわけ。

 

だからこの買い物は、わたしのためでなく、あなたのためなの。

 

トコジラミとの戦いの最中だろうと、あなたのために、買わないわけにはいかなかったの」

 

 

 

 

「いや、別に、そんな言い訳しなくても、好きにすればいいけどさ……」

 

 

夫は苦笑いをしていた。

 

 

 

そうそう、言い忘れていたけれど。

 

愛するあなたに、

 

ご報告申し上げます。

 

 

 

家族カードで買いました。

 

お支払いよろしくお願いします!

 

 

 

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