家壁がせまり、昼尚暗く
見えるものは只ただ日陰ばかり‥

また、こんな季節がやって来ました

美しい椿 太神楽も

可愛い小菊も咲きましたが

せまる家壁に

わが家は昼でも闇に包まれ

美しい花も闇の中

わが家は春まで闇に閉ざされ

じっと春の訪れを待つという

暮らし

かつてマタギが暮らした

峡谷と少し似ている

空は澄み青空で

日当たりは眩しいくらいなのに

わが家は真っ暗

「岸壁がせまり、昼尚暗く、
見えるのは只ただ川ばかり」

という伝説があるのは
尾瀬沼から流れ出た

『只見川』

只見川の流路山地は

日本屈指の豪雪地帯で

常に安定した豊かな水量を保持する

只見川の最上流部

奥只見は両岸は切り立ち

眺望もままならぬ峡谷で

“ただ見るに過ぎない川”

深い峡谷を流れるだけの

危険な場所として

人々に嫌忌された川だったが

かつて

40戸ほどの集落があった

川魚を捕り、熊を撃ち

山菜やきのこを採り

人々は暮らしていた

かつて会津領であった

只見川最上流部岩場は

会津からは

漁や狩猟にも足を踏み入れることもない

人跡未踏の場所であったが

只見川には大量のサクラマスが遡上し

大岩魚が生息する

深山幽谷

越後湯之谷村のマタギだけが

山越え谷越え漁場に入り

漁猟をしていたという

奥只見では炭焼をしても

消費流通拠点まで数10kmもの

険しい峠道を運ぶ必要があり

困難だったため

軽いお椀等を作る木地師など

出作り小屋仕事をしたり

(山奥に小屋を建て山にこもって
木地製品を製作したり
養蚕や粟・稗栽培を行ったりする)

狩猟を主とするマタギを営んで暮らした

冬は5mをはるかに越える豪雪地で

生活は非常に厳しいものであったという

只見川の

常に安定した豊かな水量や

その立地から

只見川上流部には

水力発電の

奥只見ダムが建設され

(尾瀬ヶ原発電所計画は
地理学者や文化人から反対運動があり
占領国からも保護意見が寄せられ
中止となり尾瀬ヶ原は守られた)



只見川電源開発は進み

奥只見ダムは完成し

集落の大半は水没し

9軒だけが

釣り人や登山客や観光客相手の

宿屋、食堂、土産物屋など

観光業を営み残ったという

奥只見ダムは

マンモス発電所となり

観光新名所

「秘境奥只見湖」として

遊覧船に乗って紅葉を楽しむ

新紅葉名所として

多くの見学者が訪れる

全国的にも有名で

日本紅葉名所100選に選ばれました

マタギが暮らした地は

どこも

深山幽谷・人跡未踏の地でしたが

奥只見も

人跡未踏の

ブナの原生林が広がり

ほとんどが広葉樹で全山色が変わって

万年雪も見られ

紅葉最盛期10月下旬から

山頂には雪が見られ

中腹以下は紅葉見頃だと聞きます

伝統狩猟集落の狩人達は

伝統狩猟の継承を目的に

互いの山村の相互交流や

情報交換を行っており

新潟県湯之谷もその一員です

マタギが暮らす山村は過疎化を越え

廃村の危機に瀕しています

現在のマタギたちは

狩猟、山菜採集、林業、農業、養蜂業

地域観光サービス業

河川漁業、土木建設業

山岳登山案内、遭難救助などに従事し

一般の登山客の安全にも積極的に取り組み

山でのささやかな生活を続け

森林環境の保全や野生動物の多様性など

マタギの血であり肉体であるという

山の痛みを日常から感じ続け

このままでは永年に渡り培われてきた

マタギたちの経験、知識、技術

山に生きる喜び、ささやかな幸せは

次世代に受け継がれることなく

消えていくことになりかねない

村の将来と存続のため

知恵を絞りあうため

「ブナ林と狩人の会 マタギサミット」

という会を開いています

「クマの適切な駆除により
繁殖をコントロールしてきたと思います
狩りを行うことは、
自然と共生した暮らしを
維持するための大切な手段でした
過疎化が進むとともにマタギの数も減り
近年は動物が人里へ姿を表す
機会が増えるなど
自然界のバランスの崩れを感じます
マタギとはどのようなものか
狩りへの思いやその姿、
考え方を広く伝えていきたい」



山形県小玉川マタギで

山形県自然公園管理員で

飯豊朝日山岳遭難救助隊の

藤田栄一さんは語っています

「マタギ歴50年
自然界のバランスが崩れ
増えすぎた熊、猿、カモシカに
人里が脅かされている
マタギ集落の衰退が続く今、
誰が何をすべきか‥」

と名刺にも書いています

私は

10月第一週から

マタギ集落が沈んだという

奥只見湖と

マタギの山の紅葉を見るため

訪問チャンスを狙っていましたが

主人の風邪、用事、出張

2週連続の台風襲来で

とうとう今日までずれ込み

明日の奥只見は雨天で

9~11℃

冬です

奥只見湖遊覧船は

11月8日までの営業で

もう冬だということです

今やインターネットで

部屋にいながらあらゆる情報が手に入る

古いマタギの狩猟動画すら見られますが

やはり

自分の足で歩いて

その地の森林や土や人々の息づかいを

目で見て、耳で聞き

匂いを感じ、手で触り

肌で感じ、舌で味わい

初めて感じるものがあります

マタギ集落の一つ

長野県栄村を訪ねた時も

草津温泉のマタギの店に入った時も

記事には書きませんでしたが

感じたことがありました

正直に言うと

ある程度、予想はしてたのですが

想像以上に

「私、苦手‥ダメだ‥」

と、思ったのでした

長野県栄村の

熊の毛皮の敷物に座れず

赤茶色の温泉が気持ち悪く

どうしても湯船に座れず

シャワーのみで上がり

雪国の濃味キャラブキが食べきれず

草津温泉のマタギの店の

ワイルドなマタギ焼きや

イワナの塩焼きが

気持ち悪くて食べきれず

気持ちとは裏腹で

気持ちが凹んだのですが

それでも

明日は新潟県の秘境

奥只見のマタギの故郷に行ってきます

「奥只見レイクハウス」には

ゼンマイ、フキ、ワラビ

熊、山鳥、川マス、イワナの入った

曲げわっぱマタギ弁当

マタギせんべい

熊汁(春先)

岩魚の炭火焼きなどがあり

滑舌のよい店主の呼び込みがあるそうで

今度こそはしっかりと

完食

してこようと考えています

そうそう

曲げわっぱのお弁当箱は

もともとは

マタギが

天然の秋田杉の生木を曲げ

桜皮で縫い止めたお弁当箱を

作ったのが始まりだといわれています