2024 ベネチア・ビエンナーレ、その13
ベルギー館
Petticoat Government
by Denicolai & Provoost、Antoinette Jattiot、Nord、Spec uloos
なんか、巨人がいました、笑。
これって、お祭りで見る巨大人形だと思います。人形、とは言わんか。竹馬みたいのに乗った人がかぶって、これで練り歩いたり踊ったりするやつ、旅の最中に、どこかで遭遇したことあります。
ある意味、典型的な
なんじゃこりゃ?
的展示でして、笑、一応、現地にあったものを読んでも、さっぱり、爆W。
「ペティコート・ガバメント」は、スペインのバスク地方、北フランス、ベルギーのさまざまなコミュニティから借用した 7 つの既存の民話に出てくる巨人を集めた学際的なシナリオです。巨人たちは旅の仲間とともに、アルプスのレイア湖の凍った水上で祝祭のピクニックを楽しんだり、ガゼッタ・ディ・パドヴァ印刷所で一緒に踊ったり、ボートでヴェネツィアの潟湖を渡ったりしました。彼らがベルギー館に到着すると、7 か月と 7 日間続く新たな章が始まります。この旅の次の目的地はダンケルクとシャルルロワです。」
意味わかります?
仕方ない、とネットのビエンナーレ公式に行って、もうちょっと情報を得ようとしたんですが…。
「芸術、活動、キュレーション、建築、タイポグラフィ、地図作成を融合したの集団 (Denicolai & Provoost、Antoinette Jattiot、Nord、Spec uloos) は、連続する章とその物語の可能性を通じて、従来の展示形式を覆します。集団のメンバーは、長年にわたる協力関係と、芸術分野内外での仲介者および批評家としてのそれぞれの役割によって結びついており、そこから集団、大衆、オルタナティブ組織とその共有モードに対する私たちの考え方に疑問を投げかけています。
「ペティコート・ガバメント」は、ベルギー、フランス、スペインのさまざまなコミュニティに現存する民俗学の巨人に基づいた学際的なシナリオです。2024年3月9日にレージア峠を通過し、2025年にシャルルロワとダンケルクに戻るイタリアへのパフォーマンスの旅は、さまざまなスケールのゲームと人間と非人間、風景と現実の間の緊張を利用して、現実に喜びに満ちた激動を引き起こします。建築、国境、そしてその侵害。閉じられた作品とは異なり、パビリオンは万華鏡のような視点を持つ通過点として想像されています。口承や共同での物語の創作、そして巨大な人物たちの空中や音響による演出に与えられた役割のおかげで、現代の神話や何世紀も昔の物語の起源が疑問視されています。」
分かったようなわからないような…。まあ、ここでも総合テーマを意識した思想があるんでしょうねぇ。
展示が見るからに単純なのに意図がわからず、思わず後付けでもちょっと調べてしまう、というのは、それなりに興味を喚起するものがあったということで、作品としてはありだろうけど、でも、なんか…。
タイトルとなっているペチコート。これさ、すでに死語カテゴリーかもだよね?今の若い人知ってる?そんでGovernmentって、もうまったく。皮肉みたいなニュアンスもあり?
私が遭遇したのは、ほぼ間違いなくスペインとどこかなんだけど、ベルギーなどの北方にも同じようなものがあるというのは、ちょっと面白いと思ったんだけど、それはアートとは全く別物。
スペイン館
Migrant Art Gallery by Sandra Gamarra Heshiki
Curator Agustin Perez Rubio
スペイン館は、かなりスペースが広いのです。それがネガティブに作用して、まとまりないような展示だったりすることも多いように思うのですが、今回、正直意図がよくわからないなりに、ポイントポイントで好きなものがあり、急ぎ足ながら割としっかりと見学できました。
上のボタニカルアート的な作品、よく見ると人の腕や手が…。そもそも、スーパーレアリスムが好きな私(今回、それを激しく認識したわけなんですが)、ボタニカルアートのような細密画というのは好きなのですよ。
中世の宗教界がなどでも、いわゆる金箔キラキラのミニアチュールとかね、ああいうの、つい細部まで見てしまうタイプ。手仕事が好きだったりするのと通じるのかなぁ。と言って、どんな手仕事でも、繊細なことは一切できないんですけどね。自分が好きなのにできないからこそ、魅力を感じるのかもねぇ。
しかし、この展示、スペースごとに、まったくタイプの異なる作品が並んでいます。
どういう意図か、首をひねりながら見学して回り、出がけに、入口に掲げられていたテーマに気付くという…笑。現場で、さわりだけ読んで、軽く納得して出た、という流れでした。
今、改めてテーマを読むと、これはよく考えられた展示で、スペイン館というよりも、一つのテーマ館になっているというわけで、アプローチとして面白いと思いました。
「Migrant Art Gallery は、第 60 回ヴェネツィア ビエンナーレのスペイン館のためにペルー系スペイン人アーティスト、サンドラ ガマラ ヘシキが創設した斬新な施設です。1 世紀以上にわたる参加の中でスペインを代表する最初の移民として選ばれたこのアーティストは、この国の絵画の伝統を批判的に紹介しています。博物館は覇権的な機関であり、展示内容の起源に関係なく、展示や表現の方法が「普遍的」なものとして受け入れられている壮大な物語の語り手であることが明らかになりました。
美術館の創設に浸透しているヨーロッパ中心主義を参考に、移民アートギャラリーは、移民の概念が拡張された歴史的な西洋絵画館の転覆として構想されています。旧植民地にも輸出された西洋の美術館の覇権主義的概念は、歴史的に沈黙させられた一連の物語を明らかにすることによって逆転している。これらの物語の主人公は、人間と非人間の両方の移民、植物、そしてしばしば行き来の旅を強いられる原材料です。
Migrant Art Gallery は、帝政時代から啓蒙時代までの公共コレクションや美術館に所蔵されている 150 点を超えるスペインの伝統的な絵画や物品に対するアーティストの研究に基づき、絵画の流用を通して芸術の体系的構造を分析しました。ガマラ氏の改訂版は、脱植民地主義の物語が存在しないことを挿入して示し、博物館で植民地主義者と抑圧された人々が偏見を持って表現されてきたことを明らかにしている。ここでは社会学、政治学、美術史、生物学が重層的に組み合わされ、しばしば無視される歴史的結果が現代性と結び付けられた再解釈が提供されます。
ピナコテカの最初の 5 つの部屋では、風景画、静物画、科学的なイラスト、植物学など、古典絵画のさまざまなジャンルが使用されています。これらの作品は、他の形態の社会組織の破壊によって維持されることが多すぎる国民国家の一枚岩的な構築を促進する政治的アジェンダを持つツールとして捉えられています。Migrant Art Gallery は、建設と劣化の継続的なサイクルを物語ります。この作品は、スケッチ、完成品、あるいは永久修復中の作品などを、流動的な歴史と植民地時代の傷から切り離せない現代の西洋に対する制度的責任のメタファーとして提示しています。
「移民の庭Migrant Garden」は、その軌跡を締めくくるにあたり、美術館に対する対抗物語として機能し、植民地主義の覇権的階層構造を永続させる構造と表現を解体しようとする、目に見えない他者の象徴的な回復の場となっています。同時に、アクセシビリティ、多様性、持続可能性のプロトコルを見直し、人種差別、性差別、移民、搾取主義に関連する現代の状況に対処する制度を提案します。」
大変な力作です。
それにしても、パヴィリオンの在り方に合わせて、展示内容を考えるというのも、アーティスト及びキュレーターの力量が大いに試されますねぇ。小さいなら小さいなり、大きいなら大きいなり、変則スペースだったり、二階建てだったり。そういった点は、結構チャレンジングかもねぇ。
ベネズエラ館。
Participatory Experience by Juvenal Ravelo
スペイン館から、そのまま出口に向かおうと思いつつ、ちょっと悪あがきして、立ち寄りました。
気持ちはもう出口に向かっているうえに、肉体的にはへとへと。でも、見残しはなるべく少なくしたいというもったいない病に取りつかれているので、ついつい、ってやつなんですけれど、ちょっとのぞいただけで、諦めました。もうね、楽しむ余裕がなかったですわ。
一応、キュレーターのお言葉を読んだので、貼っておきますが、上の作品しか見ていないので、何の判断もできないです。
「ベネズエラ館は、70 年以上にわたり国内外で研究とアート作品の制作に携わってきたキネティック アートの巨匠、ジュベナール ラベロに敬意を表します。芸術家は、自身の哲学と取り組みの一環として、社会における芸術の文化的要素を擁護し、それが自身の創造プロセスの基本的な軸となっています。
ラベロが考案したプロジェクトは 3 つの空間で展開されます。これは、互換性のある解釈と実践の同期を示す大規模なインスタレーションとして設計されており、各アートワークは構築と構造化の進化のプロセスに従います。展覧会は、集団的な構築プロセスが進行中のアート作品から始まり、感覚的な道を進み、その総合的な探求の旅を締めくくる没入型デジタルアートで終わります。
これらの提案は、見る人の体内で絡み合うシンクロニカ、感覚、運動、精神効果によって生み出される色と視覚的外観(カラーセシア)の相互関係によりリアルタイムで発生する錯覚を通じた光の分解と断片化に焦点を当てています。光と色との出会いとして、ダイナミックな相互作用を通じて、それらは、芸術を瞑想の対象としてではなく、反省、活性化、社会的変革の出来事として認識するように刺激します。
作品と鑑賞者の間に確立される関係は、新たな時間的次元を生み出し、感覚が研ぎ澄まされ、作品に対する理解、解釈、相互作用が促進される一連の経験、知識、専門知識をもたらします。
「参加型体験」では、常に現代的な作品を通じてラヴェロが芸術界に貢献した様子が紹介されます。彼の技法とスタイルの創造は、創造されたそれぞれの形態の物質性から、彼の痕跡と独特の表現言語を強化します。」
ジャルディーニは以上となります。
賞を取ったり、一般に評判が良いパヴィリオンは、自分にとっても面白かったり興味深かったり、というのはあります。同時に、つまらないところは本当につまらなくて、無視してもよいくらいだと思うのだけど、もったいない病もあり、どうしても全館制覇を目指してしまうのですよねぇ。
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