2.PRESSO LTD AGS 60UL-SMT インプレ 後編
PRESSO LTD AGS 60UL-SMTの穂先には
超弾性型NiTiワイヤーが使われています。
NiTiワイヤーって?といわれると、
昔、学研の付録などで(昔すぎますかね?)
付いていた、「形状記憶合金」のことです。
Nickel-Titanium、要はチタン合金です。
インターラインロッド用の中通しワイヤー
巻き爪を治すときに貼ったりするワイヤー
歯列矯正に用いるワイヤー
などでよく使われています。
私の矯正のお師匠様が、
・矯正用のNiTiワイヤーの開発と
・臨床応用→NiTiワイヤーだけを使った治療方法を開発した
という経緯がありますので、
私は、「ほぼ毎日、NiTi合金に触っています!!」
というわけで
普通のひとよりは詳しいであろうNiTi合金の使用経験を踏まえて、
取り扱いの注意点など幾つか小話を致します。
超弾性型NiTiワイヤーの特性には、
・形状記憶特性
・超弾性特性
(他に振動吸収能というのもあります)
というものがあります。
形状記憶特性については、
ワイヤーをクニュットまげてもお湯につけると
もとの形に戻るというものです。
超弾性特性とは、
簡単に言うとフックの法則(F=kX、比例のことですね)に
従わない弾性のことを言います。
<トミーインターナショナル社より>
これは、矯正用のワイヤーでの応力ひずみ曲線といわれるですが、
簡単に、
縦軸が力の大きさ、横軸がたわみの量と考えて下さい。
超弾性型NiTi合金以外は、
すべてフックの法則に従う合金です。
ざっくり見ていただくと
原点から直線が伸びる”比例”のグラフになっています。
一方、
超弾性型NiTi合金のグラフでは、
原点からしばらくは比例で立ち上がりますが、
その後plateauな部分(プラトー、横に真っ直ぐ平坦な部分)が出てきます。
この部分を超弾性領域と呼び
このグラフでは、
偏位量2%から10%までの間で50gの力が一定で発揮されることを示しています。
もう少し補足をいたします。
まず、ふつうの弾性について説明します。
ゴムをイメージして下さい。
ゴムを引っぱります。
たくさんの距離を引っぱると力が強くなりますよというのがフックの法則です。
ゴムパッチンでは
たくさん引っ張られると痛い!!
というもので、
引っぱった距離(x)と力(F)は比例します。
これが
フックの法則 F=kx です
釣竿の場合は
竿が魚に引っぱられるということを想定しますので、
魚が引っぱる F[g] → 竿先が変位する k・x[cm]
という関係になります。
kは竿の硬さだと思って下さい。
・魚に違和感を与えない→柔らかい方が良い→kは小さい方がよい
・感度が高い→固い方が良い→kは大きい方が良い
と相反する状態になりますので、
釣りの種類や魚種によって、最適はk値があって、
そのあたりのバランスが絶妙に取れた竿=名竿
ということになるのでしょう。
さて、
超弾性は、前述の通りフックの法則に従わない弾性で
どれだけ変位を加えても力が一定の状態をいいますので、
先ほどのゴムの例で言うと、
例)1cm引っぱっても2cm引っぱっても5cm引っぱっても
一定の力が発揮される。
引っぱった量によって力の大きさが変わらない
となります
感覚的には、”なんとも不思議な”状態ですね!
仮に、
超弾性の輪ゴムというものが存在したとします。
輪ゴムの一端を、おでこにくっつけて
思いっきり引っぱって離した時と
ちょっとだけ引っぱって離したときの
強さ(痛み)は一緒というのが超弾性です。
ですから、
前述の釣竿に最適なkの値があって、
その値にNiTI合金を調整しておけば、
竿先がどんどん変位していっても、
魚が違和感を感じないギリギリの強さが維持されるので、
その間にフッキングしてね!!
という理論なのだと思っています。
もちろん、
穂先以外のカーボン、テーパー、ガイドセッティングなど
いろいろな条件が複合して竿はできあがるので
簡単な話ではありませんが、
D社:「良いものだから、使ってみろ」
私: 「わかりました」
となっております。
まずは使ってみてから、好みなど判断すればよいでしょう。
ちなみに、
歯列矯正用の形状記憶合金の場合などでは、
歯の移動に最適な力が発揮されるように調節されているものもあります。
私は、このようなタイプ(+白いもの)のワイヤーを
好みで”選択して”使っていますよ。
<トミーインターナショナル社より>
以上が、超弾性についての説明になりますが、
超弾性型NiTI合金の取り扱い上の注意点があります。
1.熱に弱い
→やや高温状態では、変形してももとの形に戻ります
高温下では、新しい形を記憶してしまいま。
超高温にさらされると、永久変形して戻らなくなります
2.kinkから破折につながる
→キンクが入ってしまうと、将来的には、ほぼ間違いなくそこから破折しますので、
折れ癖がつかないように注意する必要があります
3.温度変化で強さが変わります(ヒステリシス)
→竿の取説にも書いてありますが、低温時には竿先が戻らなくなりますとのこと
これもNiTI合金特有で、温度が上がると力は強くなり、温度が下がると力が弱くなります
→気温によって、タックルバランスを変えないと駄目かも知れませんし、
絶妙に働くかもしれません
→なお、矯正治療中で、氷を舐めると歯の痛みが軽減するのは、
この特性を利用しています。
SMTでもこれらへの注意点は必須でしょう!!
先日、王禅寺で、60UL-SMTでボトムを探っていたら、
根掛かりで切られた「ライン+ルアー+魚(!)」を拾ってしまい、
それら”ゴミ”の回収に手間取っていたら、魚が走り出して、
穂先が270°位曲がりかなり焦りました!!
大丈夫でしたが、かなりひやひやでした。
くれぐれもキンクには注意です!!
なお、
マイクロスプーン(0.4gのBF)の表層引きでは
魚の自重(表層ではほとんど反転してくれます)による
オートマチックフッキングのありがたみを感じました!!
何せ、巻に集中できるので、釣果も上がります。
竿の特性と破損のリスクを合わせて考えると、
乗せる釣りに”大切に”使っていこうと思います。
またまた長文になってしまいましたが、
ご容赦下さい。
超弾性型NiTiワイヤーが使われています。
NiTiワイヤーって?といわれると、
昔、学研の付録などで(昔すぎますかね?)
付いていた、「形状記憶合金」のことです。
Nickel-Titanium、要はチタン合金です。
インターラインロッド用の中通しワイヤー
巻き爪を治すときに貼ったりするワイヤー
歯列矯正に用いるワイヤー
などでよく使われています。
私の矯正のお師匠様が、
・矯正用のNiTiワイヤーの開発と
・臨床応用→NiTiワイヤーだけを使った治療方法を開発した
という経緯がありますので、
私は、「ほぼ毎日、NiTi合金に触っています!!」
というわけで
普通のひとよりは詳しいであろうNiTi合金の使用経験を踏まえて、
取り扱いの注意点など幾つか小話を致します。
超弾性型NiTiワイヤーの特性には、
・形状記憶特性
・超弾性特性
(他に振動吸収能というのもあります)
というものがあります。
形状記憶特性については、
ワイヤーをクニュットまげてもお湯につけると
もとの形に戻るというものです。
超弾性特性とは、
簡単に言うとフックの法則(F=kX、比例のことですね)に
従わない弾性のことを言います。
<トミーインターナショナル社より>
これは、矯正用のワイヤーでの応力ひずみ曲線といわれるですが、
簡単に、
縦軸が力の大きさ、横軸がたわみの量と考えて下さい。
超弾性型NiTi合金以外は、
すべてフックの法則に従う合金です。
ざっくり見ていただくと
原点から直線が伸びる”比例”のグラフになっています。
一方、
超弾性型NiTi合金のグラフでは、
原点からしばらくは比例で立ち上がりますが、
その後plateauな部分(プラトー、横に真っ直ぐ平坦な部分)が出てきます。
この部分を超弾性領域と呼び
このグラフでは、
偏位量2%から10%までの間で50gの力が一定で発揮されることを示しています。
もう少し補足をいたします。
まず、ふつうの弾性について説明します。
ゴムをイメージして下さい。
ゴムを引っぱります。
たくさんの距離を引っぱると力が強くなりますよというのがフックの法則です。
ゴムパッチンでは
たくさん引っ張られると痛い!!
というもので、
引っぱった距離(x)と力(F)は比例します。
これが
フックの法則 F=kx です
釣竿の場合は
竿が魚に引っぱられるということを想定しますので、
魚が引っぱる F[g] → 竿先が変位する k・x[cm]
という関係になります。
kは竿の硬さだと思って下さい。
・魚に違和感を与えない→柔らかい方が良い→kは小さい方がよい
・感度が高い→固い方が良い→kは大きい方が良い
と相反する状態になりますので、
釣りの種類や魚種によって、最適はk値があって、
そのあたりのバランスが絶妙に取れた竿=名竿
ということになるのでしょう。
さて、
超弾性は、前述の通りフックの法則に従わない弾性で
どれだけ変位を加えても力が一定の状態をいいますので、
先ほどのゴムの例で言うと、
例)1cm引っぱっても2cm引っぱっても5cm引っぱっても
一定の力が発揮される。
引っぱった量によって力の大きさが変わらない
となります
感覚的には、”なんとも不思議な”状態ですね!
仮に、
超弾性の輪ゴムというものが存在したとします。
輪ゴムの一端を、おでこにくっつけて
思いっきり引っぱって離した時と
ちょっとだけ引っぱって離したときの
強さ(痛み)は一緒というのが超弾性です。
ですから、
前述の釣竿に最適なkの値があって、
その値にNiTI合金を調整しておけば、
竿先がどんどん変位していっても、
魚が違和感を感じないギリギリの強さが維持されるので、
その間にフッキングしてね!!
という理論なのだと思っています。
もちろん、
穂先以外のカーボン、テーパー、ガイドセッティングなど
いろいろな条件が複合して竿はできあがるので
簡単な話ではありませんが、
D社:「良いものだから、使ってみろ」
私: 「わかりました」
となっております。
まずは使ってみてから、好みなど判断すればよいでしょう。
ちなみに、
歯列矯正用の形状記憶合金の場合などでは、
歯の移動に最適な力が発揮されるように調節されているものもあります。
私は、このようなタイプ(+白いもの)のワイヤーを
好みで”選択して”使っていますよ。
<トミーインターナショナル社より>
以上が、超弾性についての説明になりますが、
超弾性型NiTI合金の取り扱い上の注意点があります。
1.熱に弱い
→やや高温状態では、変形してももとの形に戻ります
高温下では、新しい形を記憶してしまいま。
超高温にさらされると、永久変形して戻らなくなります
2.kinkから破折につながる
→キンクが入ってしまうと、将来的には、ほぼ間違いなくそこから破折しますので、
折れ癖がつかないように注意する必要があります
3.温度変化で強さが変わります(ヒステリシス)
→竿の取説にも書いてありますが、低温時には竿先が戻らなくなりますとのこと
これもNiTI合金特有で、温度が上がると力は強くなり、温度が下がると力が弱くなります
→気温によって、タックルバランスを変えないと駄目かも知れませんし、
絶妙に働くかもしれません
→なお、矯正治療中で、氷を舐めると歯の痛みが軽減するのは、
この特性を利用しています。
SMTでもこれらへの注意点は必須でしょう!!
先日、王禅寺で、60UL-SMTでボトムを探っていたら、
根掛かりで切られた「ライン+ルアー+魚(!)」を拾ってしまい、
それら”ゴミ”の回収に手間取っていたら、魚が走り出して、
穂先が270°位曲がりかなり焦りました!!
大丈夫でしたが、かなりひやひやでした。
くれぐれもキンクには注意です!!
なお、
マイクロスプーン(0.4gのBF)の表層引きでは
魚の自重(表層ではほとんど反転してくれます)による
オートマチックフッキングのありがたみを感じました!!
何せ、巻に集中できるので、釣果も上がります。
竿の特性と破損のリスクを合わせて考えると、
乗せる釣りに”大切に”使っていこうと思います。
またまた長文になってしまいましたが、
ご容赦下さい。