遠くの街へ行くような転校は、私には無縁ですが、


転居先が近所でも、学区を外れてしまうが故の転校という事は、


よく考えれば可能性としては十分ありえる事だったのです。




そして4年生の3学期になる頃に、引っ越しが正式に決定し、


T君と再び同じ学校に通う事になったのです。


3学期の終業式の日。好きではなかった先生 ですが、


最後は笑顔で、一緒に記念写真のフレームに納まりました。


寂しさみたいなものが無かったのは、やはり転居先が近所であり、


我々がT君に会いに行ったように、いつでも会おうと思えば


みんなに会えるという思いがあったからでしょう。


ただ、転校する子の親が良く、クラス全員にノートを


差し入れたりする事がありますが、


私の親がそれをしているのを見て、


改めて自分は転校するんだなと強く思いました。




それから、一つ残念だったのは、クラスで一番仲の良かったI君という


友達がいたのですが、終業式前に、理由は忘れましたが仲違いしてしまい、


関係修復できないまま転校してしまった事です。


この1年後くらいに、I君とは会う事ができ、仲違いしたままだった事は


すっかり忘れていた様子だったので良かったのですが、


もしそのままだったら、未だに後悔していたかもしれません。




転校初日。この日は5年生に進級して最初の始業式でもあるので、


全校児童を校庭に集めての朝礼がありました。


そこで転校生は、新しいお友達という事で、朝礼台の横に


立たされていたのですが、初めての登校日なのに、


私の事を呼ぶ聞き覚えのある声がしました。


T君です。


実はT君には、転校するという事を全く伝えていなかったので


(もしかしたら人づてに聞いてたかも知れませんが)、


驚いた事と思います。その日の帰りはT君に、


新しい家を早速教えました。




後から気がついたのですが、T君はいつのまにか、


苗字が変わっていました。


そこで初めて、転居先がアパートだった事情が理解できました。


せっかくまた同じ学校に通ったのに、クラスが違ったせいもあって、


卒業までの2年間は、結局ほとんど遊びませんでした。


卒業後も会う事はなく、気がつけば彼が住んでいた


アパートも無くなっていました。


また、前の学校の友達とも、街でたまに偶然会う程度でした。


まあ、そんなものなのかも知れません。


ちなみに、転校前の小学校の学区は、全域がAという中学校の学区であり、


私立等に行く人や転居する人でない限り、100%A中学校に行きます。


で、私とT君が転校した小学校の学区は、3分の1ほどがA中学校の学区で、


残りの3分の2ほどが、B中学校の学区です。


T君はA中学校の学区ですが、私はB中学校の学区です。


そうするとT君は、中学で旧友と再会しているはずであり、


本当の意味で転校したのは私だけかもしれませんねしょぼん




今頃T君はどうしているのでしょうか。月並みな言い方ですが、


この空の下のどこかで、元気でやっていてくれればいいなと思いますかお