2022年度から高校数学C復活との事で,制度設計に関して所感 | 教育に資するべく発言を重ねるページ

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中高一貫校をはじめとした進学校に在籍する生徒を多く見てきた経験から,受験生・保護者・教育者を対象として意見を述べていきたいと思います.大局的な話題を主眼としますが,「受験テクニック」のようなものに言及する事もあるかもしれません.


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文部科学省の中央教育審議会案によると「次期学習指導要領で高等学校数学C復活」だそうで,「前回」の指導要領(現行分)制定段階から議論を真横で見ていた立場として,申したいところは諸々あります.


「数学C」復活へ 次期学習指導要領で
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24HA7_U6A520C1CR8000/


※旧課程(2003~2012)「数学C」について知らない方のために,一応記事中の概観内容を確認しておきます:より詳細な内容を知りたい方は,各自公式資料(旧課程学習指導要領)を確認してみて頂ければと存じます.

数学Cは「行列」や「平面上の曲線」などを学ぶ科目として1994年度に設置されたが、2012年度に始まった現行指導要領で他科目と統合して廃止された。



2022年度以降に導入される高校の次期学習指導要領で、現行の指導要領で廃止された選択科目の数学Cが復活する見通しとなった。
現在は数学3の対象になっている「複素数平面」などを数学Cに移行する方針。


次期の最新「数学C」科目の内容として,果たして何が詰め込まれるのか,次第ではありますが,
「高校数学の量的合計自体が,既に限界を超えているのではないのか?」という論点は,
既に現行課程が審議中であった時代(前課程の施行開始後ほどない2006年頃と記憶しています)から,議論の俎上にあったものと存じています.

そして,現在の次期学習指導要領審議段階においても,本質的に此の問題点に際して,解決の算段が見えているとは,到底考え難いように見受けられます.



実は,現行指導要領で「数学IIIが5単位と設定される」事がおおよそ決まった時点から,現場を知る高校教諭らの間では既に「5単位科目(標準50分授業で週5時間相当)は重い,授業を受ける生徒がもたない」との指摘がありました.
当時の私は,「そんなもんかねぇ? どのみち高校数学をマトモにやろうとすれば相応に重い≒『覚悟が要る』事には違いないのだから,科目内容の量的側面も含めて,あらかじめ了知した上でやろうと思う人が取り組めば良い,という当り前の制度の範疇でしかないのでは」などと,(民間教育事業者として直接実務をも担っていた立場にもかかわらず)ある意味で"高みの見物"を決め込んでいたものでしたが,
結果的にこの現場教諭判断は,大局としてその通りの実態を予言していたという事になります:

数学3は学習範囲が多く、高校から「十分な授業時間を確保できない」との声があがっていたという。



今回速報は未だ公式情報ソースが出ていないので,引き続き状況動向を注視していきたく思いますが,
例えばもし,現行課程策定時に再題の物議を醸した「行列」単元が高校数学に復活となれば,現行学習指導要領が結果的に「穴」となってしまった可能性が,浮き彫りになってきます.
教育指導要領改訂というのは凡そその側面を含み得るものではありますが,「特定の学年世代に限って,科学技術の基盤となる知識における『穴』の形に顕著な差異がある」となれば,それは即ち国家百年の計が「存亡を揺るがす」話に違いなく,約十年に一度の大議論は一体何を寝ぼけているのか,と問責されかねない事態です.


また,今課程に関しては,「数学活用」の教科書も全種類(!)入手して概読しましたが,何よりも先ず根本的なところで,制度設計上の科目そのものとしての「やる気の乏しさ」感を禁じ得ません.著者のネームバリュー(無論大いに実績に基づく)とか,内容の具体例を見てもその興味深さとか,惹かれる要素こそ多々有るのですが,「この教科書を実際に使う高校環境が,果たしてどれほどあるのかなぁ…私の母校あたりではまず使われてないだろうなぁ」と一目で察せられてしまう状況が,おそらく実態認識を一番近く反映した形容なのではないかと思います.

高校で22年度以降に始まる次期学習指導要領では、数学と理科を合わせた科目「理数探究(仮称)」が新設予定で、社会生活との関連から数学を学ぶ「数学活用」も廃止となる見込みだ。

数学活用は当初から「鳴り物」ですらなかった,という事ですが,次期「数学C」の位置付けや,果たして如何に.




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