「女は二度決断する」新作映画 今日の試写室 | 永田よしのりの映画と唄と言霊と  映画批評と紹介記事など 

「女は二度決断する」新作映画 今日の試写室

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「女は二度決断する」


4月14日公開
106分
監督 ファティ・アキン
出演 ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ヨハネス・クリシュほか
配給 ビターズ・エンド


 「ザ・ターゲット」「ナショナル・トレジャー」「マリー・アントワネットに別れを告げて」などのダイアン・クルーガーが、第70回カンヌ映画祭で主演女優賞を獲得した1本。           
 ドイツでのネオ・ナチテロ事件に想を得て製作。
 移民問題や麻薬問題、そして不条理な世界にたった一人で立ち向かうための術はどこにあるのか、を一人の女性の姿を通して描く。
 テロ事件に遭遇し、最愛の夫と息子を失ったカティヤ。犯人は逮捕され裁判が始まるが、カティヤが移民であり麻薬の前科があったことから、裁判は遅々として進まない。怒りと絶望に陥った彼女は、たった一人での復讐のために釈放されてしまった犯人を追う。
 世界の中で正義はどこに、どのような形であるのか、なぜ、正義と思われるものは正々堂々と執行されないのか。
 そんなことを考えながら映画を観ていくと、主人公であるカティヤの行動を否定できなくなるのではないだろうか。
 目には目を。
 というハムラビ法典の教えは、もしかしたら人間の根源的な立法なのではないか、とさえ考えてしまう。
 我々は常に理不尽な世の中に生きている。
 それは全く予期せぬことからも降り注ぐことだろう。
 結局自分を、自分たちの周囲を守るには、自分から鎧を強固なものにするしかないのだろうか。
 そして、我々はカティヤの最終的な決断をただ見守るしかないのだろうか。
 苛立ちと怒りと寂しさと共に。