「永田よしのり選出の第33回 2011年度ヨコハマ映画祭ベストテン選考結果」 | 永田よしのりの映画と唄と言霊と  映画批評と紹介記事など 
2011-11-26 23:30:25

「永田よしのり選出の第33回 2011年度ヨコハマ映画祭ベストテン選考結果」

テーマ:映画について

「2011年度ヨコハマ映画祭ベストテン選考結果」





 今年も早いもので、映画ベストテンの選考時期になった。

 2011年度は3月11日の東日本大震災のために、3月中旬から4月一杯くらいまで、映画会社での試写も通常通り行われないことが多かった。

 なので、3、4月はほとんど何もすることがない(試写や取材)、という2カ月間だった。

 選出リストをチェックしてみると、今年僕が観た日本映画は約160本ほど。

 それが多いか少ないかは別として、何を基準にしてベストテンを選ぶか? に例年以上に苦慮してしまった。

 それはやはり、震災のことが僕の中で大きく関係しているからにほかならない。

 ブログにはあえて書かなかったが、4月と5月に僕は被災地域に出かけている。少しでも何か手伝いができないかと思ったからだ。

 だが、そこではあまりに無力であり、本当に被災地の人たちが何を必要としているのか、が結局は分からなかった(自分では分かった気でいただけのことだ)。

 なので、それ以降は被災地には直接出かけずに、被災地基金などで(復興支援チャリティープロレスもそのひとつだ)参加するようにしているのだが。

 なので、一体今年はどんな視点からベストテンを選出したら良いのかにずっと悩んだ。

 こんな時だからこそ、能天気に笑える作品を選ぶべきか、それとも厳しい現実を受け止めながらも変容していく人間を描くものを選ぶべきか。

 震災に関係したドキュメンタリーも何本も公開された(「がんばっぺ、フラガール」や「大津波のあとで」「槌音」「青空どろぼう」など)ので、それらを中心に据えることも考えた。

 だが結局、僕は〃厳しい現実の中で苦悩しながら、前に進もうとしたり、何かを変えようとする人間の姿〃を描いたものをベストテンに選出することにした。




ヨコハマ映画祭選考も締め切りを過ぎたので、僕が選出した結果だけお報らせしておこう。


映画祭自体のベストテン確定は、まだしばらく先になるのだが、参考までに。


あくまで僕の個人的選考なので、くれぐれもお間違えのなきよう。






 以下は第33回ヨコハマ映画祭ベストテンの僕の選考結果だ。


1/恋の罪

2/冷たい熱帯魚

3/軽蔑

4/アントキノイノチ

5/探偵はBARにいる

6/八日目の蝉

7/青い青い空

8/一枚のハガキ 

9/一命

10/婚前特急




監督賞/園子温(恋の罪、冷たい熱帯魚)

新人監督賞/前田弘二(婚前特急)

脚本賞/婚前特急

技術賞/一命

主演男優賞/三浦友和(死にゆく妻との旅路、RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ)

主演女優賞/鈴木杏(軽蔑)、大竹しのぶ(一枚のハガキ)

助演男優賞/伊勢谷友介(あしたのジョー、カイジ2)

助演女優賞/神楽坂恵(恋の罪、冷たい熱帯魚)

最優秀新人賞/相葉香凜、草刈麻有、橋本わかな、平沢いずみ、田辺愛美(青い青い空)

審査員特別賞/原田芳雄

特別大賞/新藤兼人


 簡単な選出理由も明記しておこう。

1、2位は、人間の欲望の髄を描いたという意味で、これ以上に痛く怖いものがなかったゆえに。

 3位は、鈴木杏の演技に〃女優〃を見たゆえに。

 4位は、苦しみの中から変革していくものを確かな演技で見せる若い俳優たちゆえに。

 5位は、娯楽映画として最近なかった、どこか懐かしくも続編を観たいと思った作品ゆえに。

 6位は、映画として見せるべきものをしっかりと、濃密に見れたゆえに。

 7位は、若い人たちがこの映画を見て、商業主義の映画でなくても観るべき映画の1本となりえるゆえに。

 8位は、新藤兼人の最終監督作品でありながら、まったく衰えることのない映画人生と俳優陣の確かさゆえに。

 9位は、映像に〃凄み〃さえ漂ってき始めたゆえに。

 10位は、コメディとして脚本構成のうまさとセンスを感じたゆえに。


 もちろん、これは僕の個人的感覚の選出なので、人それぞれ全く違うベストテンになることは百も承知。

 「ツレがうつになりまして」「薔薇とサムライ」「あぜ道のダンディ」「奇跡」「大鹿村騒動記」「監督失格」「天国からのエール」「スノーフレーク」「電人ザボーガー」「武士の家計簿」「ばかもの」「死にゆく妻との旅路」「あしたのジョー」「日輪の遺産」などなど、選出から削った作品はまだまだあるのだが、今年160本ほど観た日本映画からすぐに30本ほどを選出し、そこから今回の選出趣旨に合うものをさらに選ぶまで、悩みながら10日以上かかってしまうことになってしまった結果だ。

 

 全選考委員の集計がヨコハマ映画祭実行委員会で確定し、決定するベストテンに僕の選出作品が何本入るかは分からない(大体毎年4本くらいだろうか)。

 第33回ヨコハマ映画祭は、2012年2月5日(日曜)、関内ホールにて行われることになっている。


 次は日本アカデミー賞の選出願いがそろそろ来る頃だろう。

 僕は毎年「これは日本アカデミー賞では選ばないだろうなあ」という作品ばかりをわざと選出している。そこには映画は産業ではない、という明確な意図があるのだが。もちろん、儲けが出なければ映画は作れない、ということは当たり前のごとく分かってはいるけれど。

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