石巻の友人からの便り -2- | Asian Life

Asian Life

   .

石巻市に住む友人Naomiちゃんのブログです。

6月11日のつづきです。

---------------------------------------------

3月11日(金) 15:48

そして、15時48分。

ちょうど2階の自分の部屋におりましたら、

家の裏からちゃぷちゃぷっと水の音がしたので、

何の音だろうと階段の窓を開けて家の裏を見おろしました。

家の裏は県道が通っており、

家と家の間から道路状況を見ることができます。

見てみると、トラックが走ってるのではなく、

浮いて流され、ハンドルの操作もきかないようなかんじで、

他の普通車と接触していたので、

ただごとではない!と思って、

慌てて部屋に戻り、

今度はベランダから家の前を見てみることに。

公道から波打際のような水がそろそろと庭に入ってくるのが見え、

いよいよ来た!!

と慌てたんですが、同時くらいに視界を上げると、

1階の屋根の高さの黒い水が目前に迫ってきていました。

ダムでせき止められていた水が決壊して

一気に溢れ出るようなかんじでした。

あっという間に辺り一面海になり、

さきほど止めた自分の車が

浮いて家の玄関の屋根のところまで流されてきました。

勝手にテールランプが点灯し、フロントはすっぽり水の中。

ああ!!車がぁぁぁ…っと、

どうすることもできないまま叫んでいました。

まだ買って1年しか経っていない新車だったし、

ローンで買ったので返済が残っていますし(泣)

水没する自分の車を、ただ見て嘆いていると、

お向かいの平家の屋根に女性が流されて来て

必死でよじ登りはじめました。

はじめのうちは、『やだぁ~><濡れた~』

と言ってたので、

助けられないのに私もなんて声をかけたらいいか、

とりあえず『大丈夫ですか?』と聞いたものの、

ただ見てるだけしかできなくて申し訳なくて。

ところが、『あれ!?テツオがいない!!』

と泣き叫び出したのです。

その時に大変なことが起きてるんだなって目が覚めた感じでした。

そして車が流されたくらいで騒いでた私は

なんて心が狭いんだろうと恥ずかしくなりました。

テツオ君って、その女性の小学3年生のお子さんでした。

車から脱出したが、

繋いでいた手を離してしまったのぉって言って泣いてました。

あちこちで悲鳴や、

流される人の必死の『助けて』や

物や屋根に登ろうとする人への『がんばれ』

という声が聞こえてきてましたが、

しばらくすると静けさだけが漂い出し、

その中で女性の声だけが響いてました。

テツオ~!

お願いだから返事してぇ~!

今も耳から離れない叫び声です。

ずっと、ず~っと叫び続けてました。

雪が降ってきて、

凍えてだんだん体が動かなくなってきた

と言いながらも叫び続けてました。

ご近所でも2階に避難していたところが多く、

その女性に助けてあげたいけどどうしようもないもんねぇ

などと話し掛けることで精一杯で、

遠くの方からも『がんばれ~!』

という声援が聞こえたりしていました。

つづく・・・