命の値段~恐怖を知る訓練 | ブルージェットの空からブログ|プライベートジェットの機長・航空会社社長ブログ

命の値段~恐怖を知る訓練

アラスカは8月になると天候が変わりやすく毎日のように小雨が降り、滑走路も滑りやすくなり

約80年前に作られた鉄の塊のような戦闘機で飛ぶことは危険極まりない。命がいくつあっても足りない。

「タケ、毎日1時間半で10回の着陸、どんな天候でも2週間飛び続けろ」教官は湾岸戦争で帰ってきた英雄だ。

最初の2日間はよかったが、3日目くらいになると段々怖くなってくる。5日目になると誰ともしゃべりたくなくなる。

アラスカの悪魔のような空が、「死ぬかもしれない・・・」と本当に思わせる、死神が訪れるようだった。

今日は大雨だと、飛行機をひとりで格納庫に入れてランチをして飛行場を通ると、なんと飛行機がある。

教官から電話があった「タケ、飛んでこい、帰ってこれなかったら、どこかに着陸しろ、とにかく飛べ」

この飛行機は雨の中を飛ぶような飛行機ではない。離着陸で少しでもミスしたら、すぐにひっくり返る。

僕の命の値段はいくらだろう?クレジットカードの保険金が出るか電話して聞いたら死亡保険金は出ない。

僕には守る人たちがたくさんいる。思い出したら、急に恐怖が襲ってきた。パイロットで25年以上飛んできて

飛ぶ前から、足が震えるほどの恐怖を感じたことは経験がなかった。

恐怖を知る訓練だとわかった。

僕が所属するCAF(全米組織の記念空軍)アラスカ支部のパイロットは戦争経験者だらけだ。レベルが違う。

僕は命の値段を教わった。

「命がけのフライトの前は、どのようにすれば死なずに帰ってこれるか?」戦争経験パイロットに聞いてみた。

「ドレスを買って、いい女と食事の約束をすることさ笑」

なるほど、その約束は破れない。

 

bluejet