乙丑を動かしている天堂星は最大値の天将星が一歩下がった位置にある。

この「下がる」という本質が天堂星を象徴している。

 

『天堂星の役割は自己を強く出さない所に真の価値がある』

 

これが最大の特徴で、みんなが前に出る場面でも、「私はいいです」と一歩下がる本能的な習性をもっている。謙虚なわけではなく、そこが天堂星の居場所。

その位置で役割を果たす。

 

『「引っ込み思案」「自制心」等の意味合いがありながら、中身のエネルギーは天将星の次とあって相当に強いものを持っています』

 

 

天堂星はその働きのように調整役の土性支から成っている。

4干支に共通しているのは「表の静けさと裏の剛情」。頑固さと芯の強さを抑制して隠居老人風を装った干支に見える。そこに役割があるということ。

天堂星は干支の強さを抑制するために与えられたエネルギーという一面がある。

 

乙丑は天堂星で動くことによって、一歩退いた位置で調整力を発揮する。

自分が身につけた空間を現実に投影する時に必要なのは、強引さやリーダーシップではなく、粘り強い努力と人の間における調整力。乙も丑も天堂星も、それを天性に与えられている。

 

もう一つ、経験から受け継いだ空間を現実に植え付ける(乙剋丑)という働きは、今現在に役立つことではなく、丙寅以降の次世代へと向かう流れのためと考えられる。

それを成し遂げやすくする特徴も天堂星にはある。

 

それは「間断の気」と呼ばれるもの。「間断の気」とは同じ目線ではなく、次元の異なる世界との交流を可能にし、そこで能力を発揮できる特殊な気の働きをいう。

 

 

天胡星や天馳星にも同じような次元のズレはあったが、それは現実を離れて精神世界へと気が向かう作用だった。

 

天堂星の特徴は同次元の目線からは外れるが、身は常に現実にある。

 

『有から無を学びそれを有に転じる才能』

 

いきなり無を学ぶのではなく、現実経験を精神に置き換えて思考ができ、それを別次元の現実世界へと還元できる乙丑の働きには、この「間断の気」が大いに役立っている。それは身につけた空間を次の世代へと継承する働きにも通じる。

 

有から学ぶ無という言葉にはすでに次元の違いが含まれている。

特に天堂星乙丑・辛未の二つは、目の前の現実から異次元の精神を直感することに優れている。

 

『人の心を把握する技術的な天分をもっている』


この「間断の気」は人間ではない対象物(動物や植物)との融和作用や、子供や老人など年齢差のある人たちや、男と女という性差によって世界が違っている人たちとの自然な交流も生む。それが役割にもつながっている。

 

先にあげた天堂星の4干支は共通して、子供や老人、動植物との交流が、同次元同性の世界の人たちよりも居心地のよい居場所になるという特徴を持っている。

 

『人生は現実的なものへ進み、心が精神を求めるが故に現実を根底にした中でのみ精神向上を図ろうとするのです』

 

これはどの天堂星にもいえることだが、剋線の目の前の今で動く客観星(車騎星・禄存星)は、現実を離れることはできないので、乙丑、辛未の二つの干支は特に地に足を付けた精神向上に特徴がある。

 

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