扉の向こうへ お江戸編 9 | 蒼のエルフの庭

蒼のエルフの庭

蒼の方への愛を叫んでおります
主に腐小説中心の妄想部屋でございます
ご理解いただける方のみお入りください
(男性の方のご入室はお断りいたします)

沢山のお客様をお迎えする場合

襖を外すと大広間のようになります

若智屋にも狭いながらも

二間続きの客間がございますので

そちらに昼餉の膳をご用意させていただきました

 

「皆様お帰りなさいませ」

 

最初に戻ってきたのは

蒼幻燈で絵付けを体験した蒼組の皆様

縁側で座ったまま

皆様を迎えるのは若智屋主の弟和也

(若ちゃんは給仕中)

 

「若ちゃんはお勝手か?」

 

7名の皆様を連れ帰ってくれた蒼灯が尋ねる

 

「ええ、最後の仕上げは

 兄しかできませんので」

 

「それはそうだな

 俺も手伝ってくるか」

 

にこやかに笑って

そのままお勝手の出入り口に向かう

 

「皆様、お上がりくださいませ

 障子の開いている

 座敷にお入りください」

 

その言葉で蒼組の皆さんは

濡れ縁から上がり

昼餉の膳が置かれる座敷に入って行った

そのすぐ後に

上ちゃんと翁に案内された緋組の皆さんが

裏木戸から庭に入ってきた

 

「お帰りなさいませ」

 

先ほどと同じように出迎える和也

 

「和さん 智は?」

 

何を置いても若主人の翔旦那が

何かあったのかと心配そうな顔で聞く

それを見ていた翁が呆れた顔で

 

「昼餉の支度に決まっておろう

 お前さんはお前さんの役目を果たすんじゃ!」

 

上ちゃんを𠮟りつけた

 

「翁、翔旦那のはいつものことですよ

 兄さんの手伝いをお願いできますか

 翁は皆様のご案内を」

 

「確かにそうじゃな

 お前さんは智の手伝いじゃ」

 

翁に叱られ

バツの悪そうな顔でがっくりしてた上ちゃん

お許しが出てので

嬉しそうに笑みを浮かべ

 

「皆様、座敷に上がり

 お待ちください」

 

断りを入れて

そのままお勝手に向かった行った

 

「困った奴じゃのう(笑)

 でも、よく頑張ったから褒美じゃな

 昼からもあるからな」

 

「ええ、翔旦那、かなり頼もしくなりましたよ

 まだまだ及第点はあげれませんが(笑)」

 

何を置いても兄さんの和也

かなり辛い採点ですが

頼りがいのある兄だと認めております

 

昼餉にご用意いたしました席は

蒼、緋の組関係なく

好きな場所に座って頂き

ご一緒した皆様で親交を

深めていただきたいと存じます

 

 

「智、ちらしずしの色合いが綺麗だな」

 

皿に盛られたちらしずしを見た上ちゃんが

若ちゃんの発想に感心し

目を大きく見開いて歓声を上げる

 

「どんなものでも絵にしてしまう

 此奴は根っからの絵描きだな」

 

「見た目で楽しんだ後

 食べて楽しむ ・・・

 二度おいしいからな」

 

錦糸卵は菜の花畑のようで

薄紅の田附は桜の花びら

青菜は若葉を表し

干しシイタケの佃煮は幹を表した

春の野が再現された絵が完成

 

「さあ、膳を運んでおくれ!」

 

出来上がった昼餉の膳は

客間迄3人が運び

和也と翁が並べていく

並べ終えた頃

澄まし汁が運ばれ

若ちゃんが膳の上に置いていく

 

「若智屋は青物問屋でございます

 季節の青物を中心にした料理を

 ご用意いたしました

 どうぞお召し上がりください」

 

 

 

ご馳走ではございませんが

若智屋の皆が考えた料理です

どうぞお召し上がりください

 

 

 

 

 

 

<続きます>