小脳性運動失調を有する方の歩行の特徴とは? | 脳の治療を考える

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ニューロリハビリテーション研究会BRAIN代表の針谷遼です。
神経科学の論文を紹介したり臨床応用について考えたことを記事にします。
ご意見・ご指導いただけますと幸いです。

私たちがスムーズに運動を行うためには、小脳が運動を調節してくれる必要があります。小脳が脳卒中や脊髄小脳変性症などにより機能不全に陥ると、手足が震えたり、バランスが悪くなったります。

これを小脳性運動失調と言いますが、この小脳性運動失調を有する方の歩行は、どのよう特徴があるのでしょうか?今回紹介する文献では、小脳性運動失調を有する方の歩行の特徴について、関節可動域や筋活動の視点から分析しています。

<脊髄小脳変性症を有する方を対象に調査>
対象は19名、脊髄小脳変性症により小脳性運動失調を有する方々でした。床の上を歩いているときの動きの特徴について、筋電図などを用いて分析しました。

<小脳性運動失調を有する方の特徴は…>
結果として、小脳性運動失調を有する方は歩行周期の時間短縮、ストライド長の短縮、ストライド幅の拡大、足関節運動の減少、体幹回旋の増加、大腿部や下腿部の前面筋・後面筋の同時収縮が強いということがわかりました。

著者らは、歩行周期の時間短縮、ストライド長の短縮、ストライド幅の拡大は動的バランスや安定性の乏しさに起因する身体の横揺れに対する代償であると述べています。

また、足関節運動の減少は立脚後期のpush-offを減弱させ、これにより質量中心(COM)が上方かつ前方へ移動しないことで歩行時の不安定性を強めているとも述べています。

小脳性運動失調を有する患者様は「重心を落として慎重に歩く」イメージがありますが、その中身がわかると運動療法にも役立つかもしれません。

参照文献
Martino, Giovanni, et al. "Locomotor patterns in cerebellar ataxia." Journal of neurophysiology 112.11 (2014): 2810-2821.

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