ラブ ユ- フォ- エバ- 4 | 一日一句 花 花 花

ラブ ユ- フォ- エバ- 4

(あの時は参ったよな・・)


千桜子が上京してくる時は、いつも慌しい。

雑誌の広告の撮影を日帰りでこなす。

新幹線で朝一番に着き、撮影前にオレと会って仕事の話をする。

 たまにテレビの広告が入ると、2日がかりになることもある。


先月は、その たまに泊まる月だった。

撮影の後に会いたいと、pm10:00のアポを入れてきた。

オレの職場にほど近いホテルに宿を取ったので、そちらに

きて欲しいと。

その後、3度も待ち合わせ時刻の変更。

やっと会えたのが、pm11:30を回ろうとしていた。


「ごめんなさいね。」

「いや・・会社では、毎日この時間までいて仕事してるから、

 気にしないでください。」


事実である。

仕事は多忙を極め、会社に泊まりこむ日も少なくない。


それにしても・・

隣に座っている千桜子の顔が、やけに幼く見える。

うれしそうに、コケモモのカクテルを口にする様は、

初めてお酒を飲む許可をもらった子供の様だ。


「おいしい」

ひと口飲んで、少しあごをもち上げてニコッと笑う。

まるで猫が、のどを撫でてもらいたがっているのに似ている。


やばい!

3口目に千桜子がお酒を飲んだ時には、

首元から、みるみる朱に染まっていくのが分った。

ほんの少し首をかしげて目をつぶり、

そして・・そのまま崩れるように眠ってしまった。