西洋医学では病巣や癌などの異常細胞を

発見することから始まる。


これは獲物を発見することに全力を注ぐ狩猟の

やり方とよく似ている。


発見すると、抗生物質・放射線・薬などで、

原因となる物質を殺したり、手術によって

取り除く方法を取る。


これは獲物を弓矢や銃で撃ち殺したりする

狩猟の方法と同じやり方である。


これに対して東洋医学ではからだの中に異物が

入ってきたり、余分なものが溜まったりしても

異物を殺したり無理に取り出すことは考えない。


人体に備わった異物排ぜつ機能を高めて、

体外に早く追い出すやり方をとる。


畑を荒らす動物がきても動物を殺さずに、

早く畑の外に追い出すとうい農耕民族的な

発想になる。


体内で細菌やウィルスが増えないよう体づくりを

重要視する考え方は、作物がよく育つような

土壌づくりをするという考え方に似ている。


西洋医学では膝の水を抜くという生命操作

の方法論を工夫するのに対して、


東洋医学では水分の排ぜつ機能を高めるという、

自然治癒力を重視した方法論が工夫される。


これはどちらが劣っているという事ではない。


東洋医学の対処方法だけを過信したり、

西洋医学の対処方法だけを過信しないように

気をつけなければならない。


西洋医学と東洋医学には長所・短所があり、

いずれも人間が作ったものであり、

未完成の学問だからである。



西洋医学は病気の原因をからだの内部の

物質に求めて、原因となる物質をより細かく

見ることによって発展してきた。


器官・組織・細胞・ウイルス・遺伝子より小さく

研究を対象にしている。


ミクロの世界を原因とし、マクロの世界を結果と

みなすところにある。



これに対して、東洋医学は様々な

要素の関連性を重要視する。


人間を宇宙の一部に構成するものとしている。

人間の生理現象を自然界との関連性、

自然現象との対比によって理解する。



例えば、西洋医学では膝の痛みをやわらげる。

注射・投薬・手術などの外的介入による排除。

自然治癒力とういう概念はない。


膝に溜まった水を抜くなど局所的な対症療法

を主眼にする西洋医学に対して、


東洋医学では人間のからだに備わっている機能に

よって自然に水が体外に排出できる状況を作り出す

ことを主眼に置いている。


からだは宇宙の一部であり、自然にコントロール

されているのが特徴である。


自然環境や生活を重視し、痛みの原因をからだの

特定した部位の異常とみなさい。関連となる臓器

・生活環境・風土・食べ物に密接な関係を持つ。


この異なる発想は、狩猟生活を母体としてきた

西洋文化と、農業を母体としてきた東洋文化に

関連がある。



                     <つづく>



 70才の患者が1週間前から、

 右腰が痛いと突然来院された。


 腰ではなく右の骨盤が痛いようだ。

 問診中も自分の指でグリグリ押して

 圧痛を確認しているようだ。


 痛みが強いようなので簡単な問診後、

 検査・説明・治療をすることにした。


 治療中、患者が何度も言った言葉があった。


 「右腰が痛いのになぜ左を治療するの?」

 「痛みがある場所は右側だよ」

 「腰が痛いのに肩を治療するの?」


 どうやら整形外科の局所的な治療をして

 もらえると考えていたようだ。

 

 つまり痛む場所が原因で

 あるようだと思い込んでいる。


 わたしも昔腰が痛かったので、

 痛む場所に原因があるという

 思い込みがあった。


 私は親切に5回以上は説明をした。

 

 「外傷歴もないようなので原因は、

       痛む場所ではないですよ」

 

 「からだは各器官とつながって機能しています。

  痛む腰以外で肩・膝・首・筋肉・神経・血管・

  リンパ・内臓などに異常があると症状は起こります」


 「右側の筋力だけでなく痛くない左側の筋力も低下し

  体重の支えが悪くなっています」


 上記以外にも説明をした。


 治療後痛みが軽減しているので、

 不思議がっていた。


 帰りの玄関口の一言

 

 「だいぶ軽くなったけど

 痛む場所に治療しないの・・・」


 まだグリグリさせて痛みを探しているようだ。


 理解されていないようだ・・・。

 説明不足だったので次回も説明する。

 

 理解していないと受身になり依存するため、

 治癒が遅くなることは経験上分かっている。


 自分の体に関心をもってもらうためだ。

  

 この患者さんは痛みがあると病院で痛む場所に

 電気・注射などを当てていてもらっていたようだ。


 「痛みは原因ではない結果である」