京都山科・春秋山荘での中川多理さんの個展「物語の中の少女」に伺いました。巡回展だけど新作が殆どでその制作ペースとパワーに感嘆するばかり。今回は少女と謳いつつ男子比率高め。更に進化されていて本当に素晴らしかったです。

「薄明穹」で中川多理さんのお人形に心奪われて以来、個展は大体拝見させていただいてるのですが…。(地方住み故どうしても観ること叶わずな個展もあり。) 個展の度に新たな扉を開けるというか…本当に進化が止まらない感じで。それをこうしてリアルタイムで拝見出来ることは凄く幸せだな、と。
更に進化されてると言ったけど、今回の人形達を観て一番驚いたのが関節の変化でした。専門用語はわからないけど、首とか肩、肘、膝の関節が二つになってて…。頭身バランスや首の長さとかが青年の人形達に凄く生かされてました。
”物語の中の少女展”なので物語の登場人物ばかりなのだけれど。すっかり読書から遠ざかってしまいどの作品も未読だったため、彼ら彼女らのことを知った上で観ることが出来なかったのはやはり勿体なかったかな…。レイア姫のことを後に知って、そうだったのかと。(笑)
並べられた文字の木札とか凄くレイア姫のバックボーンが気になったので「この光と闇」の小説を読んでみたくなりました。あの木札つい触ってみたくなるよね…。(笑)
小鳥たちも大好きなシリーズ。本当に衣装もレースとかブーツとかいつも細やかでめっちゃ可愛い…。今回グレーの小鳥さんがとっても好きでした。おかっぱくらいの子は観たことあったけど、あのスタイルの短い髪の子は多理さんのお人形では珍しい気がする。
ヘリオガバルスは少年と青年の間くらいなのかな。ローマ皇帝らしい自信溢れた雰囲気と少し危うい美しさがありました。視線がどこを見ているのかわからない感じが不思議で印象的だった。
美童の二人は眠り目の少年は何か会うと凄く安心感があって、ハーフの少年はセーラーがとっても似合ってて可愛かったです。二人が寄り添って並んでるのが良いなぁと。
ジャヤ・ヴァルマン七世、王の肉体、王の精神が本当に素晴らしくて。本当に来て良かった。彼らに逢えて良かった…。その場から離れられなくて…いつまでもずっと観ていたくなってしまう。
中川多理さんの展示はポーズや角度、髪の毛の流し方まで全てが計算されたかのように美しいのですが。ジャヤ・ヴァルマン七世はそれが特に体現されていて。とある角度から観た構図が本当に素晴らしいバランスで美しくて…。ずっと見惚れてしまったり…。
華奢で繊細で儚げだったり異形だったり何処か欠けていたり。王の肉体はそんな今までのお人形とはかなり違う感じでした。そもそも青年のお人形が珍しくて。褐色で艶々した肌と健康的な肉付きと凛々しい顔立ち。この物語が無ければ作られなかった、まさに今回のために生まれた人だなと思いました。
そして王の精神。今回出逢ったお人形の中で一番心惹かれた人。観た瞬間に心を奪われてしまった人…。表現する語彙がないのが悔しいけれど、横たわった姿から流れるような髪と、ほんのり青白さを帯びたような透き通るような美しい肌。精神なんだと思わせる本当に儚くて美しい人でした。
水琴窟と花籠ちゃん、杏子ちゃん、花迷宮、眠り目のc-elegans、隻眼の老天使…。自分が特に惹かれてずっと忘れられないお人形達がいるのだけれど。この王の精神も忘れられない人になりそうです。
この三体を揃ってこの環境で観られて本当に良かった…。同じ展示は二度と無いし、だいたいの子はお家が決まってしまうと再び会えることは少ないから…。お人形との邂逅は本当に一期一会だなと思うし、どうしても観ておきたいのです。
囲炉裏部屋のちびっ子達はエレンディラやマルスリーヌやトシ子と新太郎と馴染みのある子達で可愛かったな。そして奥の部屋にいた老天使やコジュリン、盲目の地図と盲目の書は懐かしく。特に盲目ちゃんが大好きで思い入れが強いので再会出来て嬉しかったです。
【おまけ】
12月の第二週。前週の紅葉の混雑を避けて伺ったので、すっかり落葉していましたが。春秋山荘への道中のんびり歩きつつ、晩秋を楽しむことが出来ました。何度も山科行ってるのに初めて毘沙門堂に入りましたよ…。
京都駅はクリスマスイルミネーションが綺麗でした。
自分の写真では全然伝わらないけど。(笑)
おばんざいランチ。(*^^*)



