キューバ革命のその後・・・ | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

カストロやゲバラが目指した革命の理想は・・・・・


今日NHKスペシャルでキューバ革命後50年の検証番組がありました。「キューバ革命50年の現実」です。


1970年代からキューバで唯一取材を許されたアメリカ人ジャーナリストへのインタビューと彼が過去に取材した映像をまじえた番組構成です。


こうして見ると、キューバという国は何とも複雑な歴史を経た社会主義国と言わざるを得ません。


革命後、社会主義経済の導入により国民は皆平等になり、医療や住居は国から無償で提供され、充分満足とは言えないながらも最低限の食料は国から配給される。


しかし、アメリカによる経済封鎖により国民の生活物資は不足し、家庭製品や車などの生活必需品に不自由するようになる。


そこでカストロはソビエト連邦に近づき、ソビエトの援助により国力を復活させる。


ソビエトあってのキューバという時代が1970年代から1980年代まで続きます。


この時代、国民は充分な満足とは言えないまでも、それなりのレベルでの生活を享受していました。


しかし、1992年にソビエト連邦が崩壊。


ここからの10年がかなり悲惨です。


ソビエトからの援助が途絶えた90年代には物資が極端に不足し、自らの生活を守るために盗みなどの犯罪が多発。最悪な時代だったようです。


当然、海外へ移住する人がどんどん増えていく。


国力や国民の勤勉さや生きるためのモチベーションは下がり、革命の理想がどんどん遠ざかっていった時期です。


2000年に入るとキューバ政府は、キューバの観光資源を活用するため、積極的に外資を導入。


風光明媚な海岸近くには次々と外国資本による高級ホテルが立ち並ぶ。


そして外国人観光客が落とすドルやユーロが国を豊かにする。


キューバにはドルをペソに変えて使える兌換ペソという通貨あるんですね。要は二重通貨制です。驚きました。


ドルを手にすることができるものは兌換ペソを使って裕福な生活をおくり、ドルを手に入れることができないものは、さらに貧しくなっていく。


こうして貧富の差が生まれ、革命が理想とした平等は豊かさを分かち合う平等ではなく、貧しさを分かち合う平等になってしまったのです。


ここにはゲバラが理想とした社会主義国キューバの姿はどこにもありません。


時代の荒波に翻弄されるのはいつも一般の国民です。


オバマ政権になってアメリカの経済封鎖が緩和されるためには、フィデル・カストロの後に議長に就任した弟のラウル・カストロが革命から改革へとキューバを導くことができるか否かにかかっているという言葉でこの番組は終わりました。


ゲバラの熱き理想に燃えた映画を観た後にあらためて知るキューバの現実からは虚しさしか感じることができませんでした。


時代は変わる。


チェ・ゲバラは革命後のキューバの現実を見ずに39歳でボリビアに散った。


同じ理想に燃えたフィデル・カストロは長生きし過ぎたということでしょうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・