避難までの道のり⑥  ~県と国のパフォーマンス~ | ブログ版PB通信

避難までの道のり⑥  ~県と国のパフォーマンス~

【7月5日】


震災以降、制限された室内での生活を余儀なくされた子供たちに対し、

福島県は、元気アップ事業と称し、各学校、各学年毎にバスなどで、栃木県日光東照宮や那須ハイランドパーク、宮城県仙台市科学館、国営みちのく杜の湖畔公園などへ招待しました。


4か月ぶりの野外活動ということで、子どもたちは外の空気を思いっきり吸い、身体をめいっぱい動かして、しばし、満喫して帰ってきたようです。

(このときも、子どもたちは全員マスク着用は義務づけられていました。)


ただ、保護者の立場からすれば、


同じ隣県へ行くのだとしたら、もう少し放射線量の低い場所、例えば新潟や山形などが、なぜ候補に挙がらなかったのかが疑問でした。


教師に問い合わせても、元気アップ事業のコースの候補には、日本海側の県は入ってなかったようです。


福島県と日本海側の県の間には、奥羽山脈といわれる、山々が連なり、

それらが風をさえぎり、放射線量を遮断したため、

また、勤務にも比較的通える距離とあって、

福島県から近場の新潟、山形へ避難した人々が圧倒的に多く、

それらの人々で、受け入れした自治体などでは、一気に人口が増えたために、かなり混していたようです。



そのような状況だったために候補に上がらなかったのではないか、と担任の先生はおっしゃっていました。


確かに、3月震災直後の時点で、山形に避難した友人からは、


「避難した人が多すぎて、子どもたちの予防接種さえ受けられない」


と、子どものことを心配していました。


また、避難所にも人が差し詰めで、衛生面などからも感染症が多発し始めていました。



【7月8日】


放射線アドバイザーによる放射線説明会が、


W小学校体育館にて、行われました。

内容が難しいので低学年の児童には、理解ができないであろう、ということで


出席は、小学5、6年生と保護者のみに限定されました。


内容は、放射線と放射能の違い、シーベルト・・・といった、もはや福島県民は、知らない人はいないであろうという、基礎的な話でした。


その後、質疑応答となり、


子どもたちからは、


「僕たちはガンになるんですか?」


「あとどれくらい生きれますか?」


と、みんな次々と挙手し、質問が続きました。



小さい子供たちからの口から、こんな言葉が出るなんて


涙が止まりませんでした。


私が小学生のころ、こんなことを考えたことはなかった。

外で遊ぶのが、子どもの本来のあるべき姿なのに

今 子どもたちは、こうして仲間を気遣い、親を気遣い、自分の将来に不安を感じている。


原発に対して怒りと悔しさがこみ上げました。

何もしてくれない国に対して、福島県民を見放した国に対して、怒りと涙で気が狂いそうになりました。


国から委託された放射線アドバイザーとやらは、淡々と答えます。


「たとえば、1000人いたとして、その中の5人~10人がガンになる計算です。

だから、みんながみんな、すぐ死ぬわけじゃない。」



もし、その5人や10人に、うちの子が入るかもしれない。



友達が入るかもしれない。



僕たち、何も悪いことしてないのにね。



どうしてこうなってしまったんだろうね。



保護者からも次々と質問の手が挙がります。


「何か、放射線量を防ぐ手段はありませんか?」

「効果的な除染方法は?」

「一日何時間も過ごす、子どもたちの学習机の上を毎朝、拭くのは、どうでしょうか?」

「ヒマワリを校庭のまわりに埋め込むのはどうでしょう?」

「水を入れたペットボトル何百本で壁を作り、放射線を防ぐというのをテレビで見ました。あれをやってみたいんですが・・・」


放射線アドバイザーは、怪訝そうな顔つきで答えます。


「ヒマワリについては・・・・みなさん、よくチェルノブイリを参考にしろ、とおっしゃいますが、あの国は社会主義国でして、情報公開をすべてやっているかというと、あやしいもんです。

だから、わかりませんね・・・

我々も今 研究してるところです。


学習机を拭く?放射線量が塵とくっついて、残るからですか?なるほど・・・でも、今やることは違うと思うんですよね。もっと他にやるべきことがあるし・・・・


ペットボトルですか?水ねえ・・・・

それはよく調べてみないとわかりません。」



結局、保護者が求めている答えとは、裏腹なものが返ってきました。

何のための説明会だったのか・・・・


少しでも被ばくから守りたいゆえ、保護者も多数出席し、テレビなどの報道陣も出席しました。


それは、他のみなさんの目にはどう映ったのでしょうか。


こうして、みなさんに安全について証明していますよ、というパフォーマンスでしかないように感じてしまいました。



(避難までの道のり~⑥ 県と国のパフォーマンス) 完



過去ログ

all for one , one for all

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避難までの道のり① 震災当日~忍び寄る放射能
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避難までの道のり② 情報収集と家族の温度差
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避難までの道のり③ 閉ざされた窓と赤いコーン

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避難までの道のり④ プルトニウムと肺

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避難までの道のり⑤ 生きるための選択

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