避難までの道のり⑤ ~生きるための選択~
義父の葬儀も終わり、小学校校庭表土替えも完了したころ、友人から電話がかかってきました。
その友人というのは、私の長男の幼稚園で知り合ったママ友であり、広島出身で福島に嫁いだ方です。
本当ならば、今年の4月に、三男の幼稚園入園で、ひさしぶりに再会できるはずでした。
ところが、原発事故が起きたためと、幼稚園も福島市に位置していたことから、高レベルの放射能のために全園児数120名いた幼稚園も激減し、80名になっておりました。
園長先生も、ロシアから放射能測定機を購入し、園庭、教室などの高さ1メートルの空間放射線量を測定して、毎日3回(朝8時、10時、14時)の記録をメールシステムで保護者に通知していました。
※ 下記のものは、メールからの転載です。
赤の皆様 7月4日(月)8:00時点 空間放射線量測定値 単位:マイクロシーベルト/時間 園庭(100cm):1.03 園庭地表:1.15 お遊戯室:0.25 保育室(年長):0.31 保育室(年中):0.21 保育室(年少):0.25 正面玄関前:0.40 7月4日(月)10:00時点 空間放射線量測定値 単位:マイクロシーベルト/時間 園庭(100cm):1.02 園庭地表:1.15 お遊戯室:0.25 保育室(年長):0.24 保育室(年中):0.21 保育室(年少):0.25 正面玄関前:0.41
園長先生は、この他、園内の設備に浄水器を設置したり、父母の会では、高圧洗浄機を購入し、みんなで除染作業をしたりしましたが、園そのものよりも、普段生活する住宅のほうが住めるような線量ではないということで、園が悪いわけではないけれど、次々と園を転園・退園する園児が続出しました。
夏休み前の時点では、更に減少し、在籍園児が50名にまで減少していました。
退園するお友達は、黙って去ります。
それは、残っているお友達に悪い、と思うから。
自分だけ去ってごめんね。
みんなそう心で思って去っていきます。
直前まで言えないのは、人から非難の目で見られるのが怖いことと、自分だけすまないという罪悪感があるのと、仲良いお友達がいるのに引き離してしまう辛さがあるのと・・・
言い出したらキリがないくらい、隠しておかなければならない理由があるのです。
親同士でも、あの人は行っちゃったね・・・
そう思いながらも、みんな自分はどうしたらいいのだろう、と常々頭を悩ませているのです。
子供を守るために、脱出組も残る組も必死です。
そんな状況にあることを、友人に電話で話しました。
友人は、両親が原爆の被ばく者であったということもあり、3月15日には子どもたちと広島の実家に身を寄せていたそうです。
友人は
「お願いだから、広島にきてちょうだい。
週刊誌やテレビの報道を見たけど、もう辛くてどうしようもない。
悪いようにはしないから、お願いだから子どもたちを連れて、広島にきて!」
電話口で、お互い泣いていました。
義父が亡くなったばかりで、ここを離れられるような状況ではない・・・・・
友人に、そのことを伝えるのはためらわれ、
「ありがとう」
そう言って電話を切るしかありませんでした。
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