逐次通訳のポイント その2に引き続き、今回は「特に数字に関しては、間違いがないように確認しておく」というポイントです。
簡単なように思えるかもしれませんが、流暢さが求められる通訳では、これが案外ややこしくなります。
通訳中は、発表者の話していること正確に伝えることができるように、集中力を働かせる必要があります。
プレゼンでは、いかに成功しているか、ということを強調するために具体的な数字、特に大きな数字が出てくることが、しばしばあります。
こんな時、日本語と英語では、単位が異なることを意識しなければなりません。
日本では「千」の次の位は「万」ですが、英語ではone thousandの十倍はten thousandsです。
英語のmillionという単位は、日本語では「百万」です。
アラビア数字では1,000のように、3桁ごとにコンマ(,)がつけられます。
これは西洋由来で日本には適していないのですが、仕方がないことです。
実際の数字は、もっと細かくなります。こんな単位換算を瞬時にできればよいのですが、英語と日本語に集中力を働かせている上に、瞬時の計算ができるかというと、必ずしも簡単ではありません。
また、「million」の上の単位「billion」は10億です。
でも、少し昔のイギリスでは、1兆を意味していました。今でもその名残はあるので、オーストラリアの英語ネイティブが、イギリス人に意味を確認していたのを聞いたことがあります。
また、プレゼンの中では「thousands」や「millions」なんて言葉もよく使われます。← 複数形に注意!
これは単純に「非常に多くの」という意味で使われますので、注意していないと誤訳になってしまいます。
また、別の観点では、通貨の問題があります。
発表者は、米ドルだけでなく、現地通貨で数値を示すことがあります。
日本人にとっては、米ドルであれば理解される可能性は高いですが、その他の通貨だと為替レートがすぐにわかるとは限りません。
ここでも、大きな金額になると同様の混乱があり得ます。
可能であれば、日本円に換算した数字を「参考」としてプレゼンに併記できるとよいでしょう。
為替レートは常に変動します。過去からの数字を遡ってみている場合は特に、参考値を出すために使用した、一定の為替レートも併記するとより分かりやすいものになるかと思います。
日本語、英語を問わず、プレゼンの中の数字は、大きな意味を持つことが多いものです。
通訳の際には、数字の準備をしておくことによって、大きな安心を得て、よりよい通訳をするできるでしょう。
今日もお読みくださいまして、ありがとうございました。